製造業が直面する課題とは?解決に向けたDX推進と改革成功の秘訣

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近年、経済産業省や財務省など、さまざまな行政機関が製造業の課題について言及しています。

しかし、これらの課題に実感を持てない方も、多いのではないでしょうか。

この記事では、製造業の現状を踏まえたうえで、直面しつつある課題とその解決策を紹介します。

自社に少しでも不安要素がある方は、ぜひ最後までご覧ください。

日本製造業の現状・課題とは?

日本製造業の課題を理解するには、現状を把握することが重要です。

  • 就労人口の推移
  • 既存システムの動向
  • 現場における技能伝承の実態
  • 市場ニーズの移り変わり

この章では、上記4つの観点から製造業の現状を紹介します。

製造業の現状1.就労人口の推移

近年の製造業では、就業者の高齢化と就業者数の減少が進んでいます。

引用:デジタル技術の進展とものづくり人材育成の方向性|経済産業省

上記は、34歳以下の若年就業者数を示したグラフ。

2,000年には423万人いた若年就業者が、2019年には264万人にまで減少しています。

また、就業者全体に占める若年就業者の割合も低下しており、2019年には24.8%であることから、就業者の高齢化が進んでいるといえます。

引用:デジタル技術の進展とものづくり人材育成の方向性|経済産業省

一方、就業者人口も20年間で大幅に減少しました。

集計を開始した2002年には、1,202万人だった就業者人口が、2019年には1,063万人にまで減少しているのです。

また、企業から見た就業者人口の過不足状況を示すDI指標を見ると、年々人手不足の深刻さが見てとれます。

DI指標は0を起点に値が+なら人員が多く、−なら人員が不足していることを示すもの。

引用:デジタル技術の進展とものづくり人材育成の方向性|経済産業省

2008年〜2013年は、ピンクのライン(値0)を上回っていますが、それ以降はマイナスの値で推移しています。

つまり、生産工程の機械化・自動化による生産性向上・省人化以上に、就業者人口が減少していることを示します。

製造業の現状2.既存システムの動向

多くの資材や在庫などを管理するため、生産管理システムや基幹システムを導入している企業も多いでしょう。

経済産業省のDXレポートによると、2015年時点でシステム導入企業のうち、2割もの企業が21年以上前のシステムを利用しているとのこと。

システムやソフトウェアの耐用年数は、3年〜5年と言われているため、21年以上前のシステムでは、システムトラブルの発生や業務を支えきれない恐れがあります。

また、システム運用を支えるIT人材は、全体で約17万人(2015年時点)不足しており、2025年には約43万人にまで拡大するとのこと。

老朽化したシステムの運用・維持には多くのIT人材が必要なため、システムを一新しなければ維持管理コストの高騰が推測されます。

参照:DXレポート|経済産業省

製造業の現状3.現場における技能伝承の実態

日本製造業が誇る高い技術力・ノウハウは、日本をものづくり大国と言わしめた要因のひとつです。

しかし、昨今の製造業では、技能伝承の必要性を理解しているものの、達成にいたらない・取り組めていない企業が多くみられます。

一般社団法人の大阪中小企業診断士会がおこななったアンケート調査によると、全体の80%以上の企業が、技能伝承の必要性を感じているとのこと。

引用:中小製造業における「技能伝承(継承)」の実態調査と提言|大阪中小企業診断士会

ただ、技能伝承の取り組み状況に関する調査で、「うまくいっている」と回答したのはわずか30%にとどまっています。

残り70%もの企業は、実施しているが達成できない・実施できていない状況です。

この背景には、技能伝承の仕組み・マニュアルが整備されていないことが挙げられています。

製造業の現状4.市場ニーズの移り変わり

製造業に限らず近年の市場ニーズは、「モノ」から「コト」へと移り変わっています

以前であれば機能が良い製品、デザインが優れた製品など、製品自体に価値を見出していました。

しかし、近年の市場ニーズは、製品を介して得られる効果に価値を見出す傾向があります。

市場ニーズが移り変わった要因は、主に下記の2つが挙げられます。

  •  デジタル化により類似商品を容易に生産できるようになった(製品全体の希少価値低下) 
  • 情報技術の発達により製品完成後でも機能拡充が可能となった(ex.テレビゲーム)

こうした市場ニーズの移り変わりを受け、昨今の製造業では市場ニーズへの対応が求められています

製造業が直面する4つの課題

現状を踏まえると、昨今の製造業が直面しつつある課題は、下記の4つが挙げられます。

  • 生産性向上の実現
  • 2025年の崖への対応
  • 技術・ノウハウの属人化回避
  • 顧客価値への対応

4つの課題を順に紹介します。

製造業の課題1.生産性向上の実現

1つ目の課題は、長年製造業で求められてきた、生産性向上の実現です。

従来は、競争力強化やコスト削減など収益性を高めるために、生産性の向上が求められていました。

しかし、就労者の高齢化と就労者人口が減少している昨今の製造業企業では、生産性を高めなければ生産能力の維持すら困難なのです。

また、日本の人口は減少しているため、今後さらなる人材確保競争の激化が予測されます。

したがって、昨今の製造業では、少ないリソースで高付加価値を生み出す、高い生産性の実現が重要課題なのです。

製造業の課題2.2025年の崖への対応

2つ目の課題は、経済産業省が示した「2025年の崖」への対応です。

2025年の崖とは、老朽化した既存システム(レガシーシステム)を放置した場合、2025年以降下記の損失が生じる可能性があるというものです。

  • 最大12兆円の損失
  • データを処理しきれずデジタル競争の敗者になる
  • DX(デジタルトランスフォーメーション)を実現できない
  • システムの維持管理費が高額化し、IT予算の9割以上を占める
  • システムトラブル・データ滅失等のリスクの高まり

先述のとおり、現状全体の2割もの企業が、21年以上前の基幹システムを使っている状態です。

また、DXレポートが発表されたのが、2018年であることから、実際にはさらに多くの企業で老朽化したシステムが運用されていることが予測されます。

間近に迫った2025年以降、上記のリスクを顕在化させないためにも、老朽化したシステムの一新やデジタル化の推進が求められています。

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「2025年の崖」という言葉は聞いたことがあっても、具体的な内容やイメージが湧かない方もいるのでしょうか? 「2025年…

製造業の課題3.技術・ノウハウの伝承と属人化回避

3つ目の課題は、技術・ノウハウの属人化を回避することです。

製造業の現状で紹介したとおり、若年社員への技能伝承が進んでいない企業が多く見られます。

技能・ノウハウは、長年業務に従事する中で培われる製造業企業にとっての資産です。

この資産を伝承できないまま、熟練従業員が退職した場合、製造業企業にとって大きな損失となるでしょう。

そのため、技能伝承の仕組み・マニュアルを整備し、技能伝承に努めることが重要です。

また、従業員が得た技術・ノウハウを社内で共有し、特定の従業員に属人化しない仕組み作りも重要です。

今後の製造業では、すでに属人化した技能の伝承属人化回避に向けた取り組み2つが求められます。

製造業の課題4.顧客価値への対応

4つ目の課題は、顧客価値への対応です。

顧客価値が変化した昨今の製造業では、製品のサービス化とも呼ばれる「サービタイゼーション」というビジネスモデルが注目されています。

サービタイゼーションとは、製品自体(モノ)ではなく、製品を介して得られるサービス(コト)によって価値提供するビジネスモデルのこと。

たとえば、農業機器メーカーの「クボタ」が提供する「KSAS」が挙げられます。

KSASは、農業機器とICTを活用したクラウドサービスで、トラクターに取り付けたセンサーの情報をもとに収穫量や食味などのデータをクラウド上で管理してくれます。

畑を耕す農業機器(モノ)で価値を提供するのではなく、営農サポート(コト)で価値を提供する、新たなビジネスモデルなのです。

市場ニーズが変化した昨今では、いかに顧客価値へ対応していくのかが求められています。

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課題解決で求められる製造業のDX推進

製造業の課題解決策として注目されているのが、DX(デジタルトランスフォーメーション)です。

すでに多くの製造業企業がDX推進に取り組んでおり、成果を出しているケースも見られます。

この章では、製造業におけるDXの定義と推進する必要性を紹介します。

製造業のDX課題の定義

DXの始まりは、「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面で豊かにしていく」という大学教授が提唱した概念。

この概念から派生し、経済産業省がビジネス向けに再定義しました。

要約すると、「DXとは、ビジネス環境の変化に対応しつつ、デジタルデータの活用により、市場競争を勝ち抜く優位性を確立すること」です。

製造業におけるDX推進の必要性(課題解決)

製造業でDXが求められる理由は、さまざまなものが考えられますが、根底にあるのは下記の2つです。

  • 競争力を維持するため
  • 競争力を強化するため

一見同じようにも見えますが、達成する目標が異なります。

競争力の維持とは、刻一刻と成長する他社に遅れを取らないよう、自社の収益性・生産性などを高めることです。

たとえば、デジタル技術を用いて現場業務を効率化するなど、社内に向けた守りのDXを目指します。

一方、競争力の強化には、これまでにない新たなビジネスモデルを構築する、破壊的イノベーションなどが含まれます。

先述したクボタのサービタイゼーションのような、社外に向けた攻めのDXを目指します。

製造業がDXを成功させる3つの解決策

製造業がDXを成功させるには、下記3つのポイントが重要です。

  • 社内全体を巻き込んだ改革の実施
  • 段階的にIT化を推進し、課題解決を狙う
  • DX人材の確保と育成

それぞれのポイントを順に紹介します。

解決策1.社内全体を巻き込んだ改革の実施(製造業の課題)

1つ目のポイントは、社内全体を巻き込んで改革を実施すること。

企業の生産活動は、単独部門により遂行されるのではなく、複数の部門が相互に連携しながらおこなわれます。

仮に各部門が独自のDXを推進した場合、部分最適化に終わるばかりか、部門間の連携に支障をきたす恐れがあります。

そのため、DXを成功させるには社内全体を巻き込み、1つの達成目標に向かってデジタルデータの活用を推進することが重要です。

解決策2.段階的な製造業IT化を推進し、課題解決を狙う

2つ目のポイントは、段階的にIT化・デジタル活用を推進すること。

1から100を目指すよりも、1から2・2から3を目指す方が、方向性を見失いづらい上に失敗のリスクを最小限にとどめられるためです。

たとえば、まずはペーパーレス化やクラウド活用を目指し、社内にデジタル活用の基盤を構築します。

その後、デジタル・データを活用して業務の効率化や高付加価値化を目指すなど。

DX推進の事例を見ると、大企業による大々的な成果が報告されていますが、いずれの会社でも段階的に推進されています。

したがって、DXに取り組む際は、自社なりのロードマップを策定し、方向性や途中経過を確認しながら、段階的に推進しましょう。

解決策3.製造業DX人材の育成と確保(課題解決)

3つ目のポイントは、DX人材の育成と確保

DXやデジタル技術は比較的新しい取り組み・技術であり、精通する人材が少ないのが現状です。

また、製造業以外の業種でも、DXを推進する企業が増加しているため、DX人材の需要が高まっています。

しかし、DX人材には明確なスキルセットがない上に、企業によって求められる役割も異なるため、増加しづらい傾向があります。

そのため、はじめはアウトソースを活用して知見を蓄積し、DXプロジェクトを通して、自社の人材を育成するのが効果的です。

課題解決に向けた製造業DXに取り組もう

この記事では、製造業が直面する課題と解決策としてのDXを紹介しました。

近年の製造業が抱える課題は、いずれも事業の収益性や企業の今後を左右する大きなものばかり。

自社に当てはまる課題がある場合には、デジタル技術・データを用いたDXによる解決が良いのではないでしょうか?

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