インダストリー4.0の基礎知識を解説!日本製造業に必要な対応とは

  • 2023年3月17日
  • 2024年5月13日
  • DX・IT

2011年に提唱されたインダストリー4.0は、製造業界にどのような課題を与えたのでしょうか。

本記事では、インダストリー4.0の基礎知識・日本の製造業に求められる対応を解説します。

インダストリー4.0の日本版Connected Industriesが提唱した内容とあわせてご覧ください。

【基礎知識】インダストリー4.0(第4次産業革命)とは?

総務省は、インダストリー4.0を以下のように説明しています。

「インダストリー4.0」とは「第4次産業革命」という意味合いを持つ名称であり、水力・蒸気機関を活用した機械製造設備が導入された第1次産業革命、石油と電力を活用した大量生産が始まった第2次産業革命、IT技術を活用し出した第3次産業革命に続く歴史的な変化として位置付けられている。

引用元:総務省 平成30年 情報通信白書のポイント 第1部 特集 人口減少時代のICTによる持続的成長

インダストリー4.0では、IT技術を活用するほか、IoTを活用したスマート工場・エコシステムの構築を提唱しています。

もともとインダストリー4.0とは、ドイツの産業政策を参考に日本の製造業の発展を目指したものであり、そのために必要な4つの原則も設定されていることをご存知でしょうか。

次章にてインダストリー4.0の基礎知識として深堀りしてみましょう。

1.インダストリー4.0はドイツの産業政策、目的は製造業の競争力強化

インダストリー4.0は、少品種大量生産と多品種少量生産を両立させる「マスカスタマイゼーション」を理想として、2011年にドイツが打ち出した産業政策です。

少品種大量生産と多品種少量生産の両立は困難なものの、実現すると生産性と収益性の高い工場を目指せます。

ドイツがインダストリー4.0に取り組んだ背景にあるのは、アジアやアメリカの商品に対する危機感です。

トヨタ生産方式やリーン生産方式により、低価格・高品質な賞品を実現したアジア・アメリカに対して、ドイツは一歩出遅れている状況に陥っていたのです。

ドイツはものづくり大国として知られており、現在も熟練の職人が多数活躍しています。

そんな中、インダストリー4.0を推進することで、ドイツ製造業の強みを活かしつつ業界全体のレベルアップを図ろうとしているのでしょう。

2.インダストリー4.0は4つの設計原則がある

インダストリー4.0の設計原則は下記の4つです。

  • 相互運用性:ヒト・モノ・システムをつなぎ、データのスムーズなやりとりやリアルタイムのデータ収集を行う。最終的に自律的な意思決定が可能となる。
  • 情報の透明性:収集したデータをもとに仮想空間でシミュレートする。工場の可視化が進み、製品開発・需要分析などに活用できる。
  • 技術的アシスト:データ収集はセンサー・デバイスを使用し、重労働・危険度の高い業務はロボット化する。IT技術・AIなどを活用し、より効率的かつ安全な業務が可能になる。
  • 分散型意思決定:収集したデータを仮想空間上で分析し、フィードバックする。生産ラインでの意思決定を自律化できる。

インダストリー4.0は、4つの設計原則をもとにスマートファクトリー化が進められています。

【インダストリー4.0のメリット】生産性向上・工場自動化

インダストリー4.0のメリットは、工場自動化による少人数の生産体制構築及び生産性向上が可能な点です。

少人数の生産体制は、人口減少が続く中で、少品種大量生産と多品種少量生産を両立させるためには必須でしょう。

インダストリー4.0により、マンパワーが完全に不要になる訳ではありませんが、生産ラインの省力化に期待できます。

インダストリー4.0の軸、6つのテクノロジーとは?

インダストリー4.0の軸になっている、以下6つのテクノロジーを解説します。

  • インダストリー4.0に必要なデータ収集「IoT」
  • 収集した情報を分析「エッジコンピューティング」
  • データ統合でスマートファクトリー化を推進「クラウドコンピューティング」
  • データを最大限に活用「AI(人工知能)」
  • 安全なインダストリー4.0を実現「セキュリティ」
  • サイバー空間をインダストリー4.0に応用「デジタルツイン」

それでは、上記6つのテクノロジーの詳細をみていきましょう。

テクノロジー1.インダストリー4.0に必要なデータ収集「IoT」

モノのインターネットのIoTは、スマートファクトリー化の実現に必須な要素です。

工場内にセンサーを取り付け、各種データを分析すると、工場の見える化にもつながります。

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テクノロジー2.収集した情報を分析「エッジコンピューティング」

エッジコンピューティングとは、コンピュータネットワークの端(エッジ)でデータ処理をする技術です。

データをクラウドに送信する前に加工・分析などをすることで、不要な通信を抑えてネットワーク上の負荷を軽減できます。

エッジコンピューティングにより、クラウド上には必要なデータのみが集約するため、より効率的なデータ活用が可能です。

テクノロジー3.データ統合でスマートファクトリー化を推進「クラウドコンピューティング」

クラウドコンピューティングは、インターネットをはじめとしたネットワーク経由でサービスを提供する形態です。

インダストリー4.0は、工場内で発生した大量のデータを扱う必要があるため、クラウドコンピューティングが必須。

近年の日本でも、ビッグデータを活用する必要性が高まっています。

テクノロジー4.データを最大限に活用「AI(人工知能)」

工場の省力化には、ヒトに代わって思考・判断するAIの存在は欠かせません。

AIは学習機能によってインダストリー4.0を支える役割となっており、オートファクトリー化の可能性を広げてくれる存在です。

テクノロジー5.安全なインダストリー4.0を実現「セキュリティ」

インターネットをはじめとしたネットワークを使用する以上は、セキュリティ対策が必要です。

インダストリー4.0の関連企業は、堅牢なセキュリティを確保できるよう、デジタル技術に磨きをかけているでしょう。

テクノロジー6.サイバー空間をインダストリー4.0に応用「デジタルツイン」

デジタルツインとは、工場の状態をデータ化し、仮想空間で再現して分析する技術です。

分析結果は現実世界にフィードバックされ、業務改善・効率化などに活用します。

デジタルツインは、正確な製造数予測や機器の故障予測などが可能です。

日本で展開されるインダストリー4.0「Connected Industries」とは?

画像引用:経済産業省「Connected Industries」

インダストリー4.0に対して、日本ではConnected Industriesが提唱されています。

本章では、Connected Industriesで提唱される戦略を解説します。

1.Connected IndustriesはIoT・AIを活用した戦略

Connected Industriesとは、サイバー空間と現実空間を融合させたシステムによって経済発展させるSociety 5.0を実現するために、2017年に提唱された取り組みです。

現在は経済産業省が中心となって取り組みを進めており、詳細は経済産業省の政策一覧「ものづくり/情報/流通・サービス Connected Industries」で確認できます。

提唱される内容は、チーム・集団・部門などの枠組みにとらわれない横断的な取組を通して、IoTやAIを駆使して新たなビジネスモデルを創造すること。

現代の製造業は、慢性的な人材不足・多様化するニーズといった環境の変化に耐えうるよう、データを活用した柔軟な体制づくりが求められています。

2.Connected Industriesは5分野が柱

Connected Industriesの柱となっている5分野は、以下の通りです。

  • 自動走行・モビリティサービス
  • ものづくり・ロボティクス
  • バイオ・素材
  • プラント・インフラ保安
  • スマートライフ

いずれの分野でも、IoT・AIを駆使したスマート化が必要な内容となっており、DX(デジタルトランスフォーメーション)の必要性が高まっているのが現状です。

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3.インダストリー4.0は国主体、Connected Industriesは企業主体

ドイツのインダストリー4.0と日本のConnected Industriesの違いは、国と企業のどちらが主体かという点です。

インダストリー4.0は国策として取り組まれている反面、Connected Industries推進は企業に一任されています。

【事例】インダストリー4.0導入効果とは?

世界の企業は、インダストリー4.0にどのように取り組んでいるのでしょうか。

本章では、インダストリー4.0の取り組みと導入効果について、事例をもとに紹介します。

IBM:AI+IoTでインダストリー4.0戦略を支援

アメリカの大手テクノロジー会社「IBM」は、AIとIoTを活用したソリューションを開発・提供しています。

近年では、次世代通信規格の5Gを活用したモバイル資産管理により、生産性の向上を実現。

災害や感染症などのリスクを想定したソリューションで、インダストリー4.0をけん引しています。

BMW:デジタルツイン・AI活用の新工場が完成

2021年4月に、工場とロボットのCADモデルをデジタルツインに配置したBMWの新工場が完成したことが発表されました。

プラットフォームとして利用されるのは、アメリカのAI・GPU企業「Nvidia」です。

新工場では、データを活用した生産ライン構築のトレーニングが進んでおり、今後は生産ライン構築に必要な時間の大幅な短縮に期待されています。

インダストリー4.0・Connected IndustriesにはERPが有効

本記事では、インダストリー4.0の基礎知識とともに、以下3つのポイントをお伝えしました。

  • インダストリー4.0と同様に、日本ではConnected Industriesが提唱されている
  • インダストリー4.0は製造業の効率化・生産性向上に大きな効果がある
  • Connected Industries・DXは今後、必要性がさらに高まる

インダストリー4.0を実施したドイツ企業のようにさらなる成長を遂げるには、ERPのような柔軟性に優れるシステム導入が鍵となります。

なぜなら、ERPは煩雑化・老朽化したシステムが抱える課題解決と同時に、ビッグデータの効果的な活用が可能なためです。

当メディアを運営するチェンシージャパン株式会社は、使いやすさに秀でたコンポーネント型ERPの導入支援をしております。

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下記にてERPを導入いただいた声・製品資料をまとめておりますので、ぜひご覧ください。

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