立ちはだかる「2025年の崖」2020年以降DXが重要な理由・対応策とは?

  • 2021年8月24日
  • 2022年7月25日
  • DX・IT

「2025年の崖」という言葉は聞いたことがあっても、具体的な内容やイメージが湧かない方もいるのでしょうか?

「2025年の崖」とは、DX(デジタルトランスフォーメーション)の必要性を訴えるべく、経済産業省が発表したレポート内に登場する言葉です。

この記事では、「2025年の崖」とは何か・現在DXが注目を浴びている理由を紹介します。

経済産業省が発表したレポートをもとに、今後の日本企業が取るべき行動を考えてみましょう。

DX(デジタルトランスフォーメーション)が必要な「2025年の崖」とは?

「2025年の崖」とは、経済産業省が発表したDXについてまとめたレポート内で使用している言葉です。

DXとは、2004年にスウェーデンのウメオ大学教授エリック・ストルターマンが提唱した概念で、「ITの浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向へと変化すること」と定義しています。

では、DXに取り組む企業が増えたきっかけのDXレポートと「2025年の崖」を見てみましょう。

DXの基礎知識をより詳しく知りたい方は、下記の記事を参考にしてみてください。

なぜDXが必要なのか?デジタルトランスフォーメーションの意味・ビジネスモデルを解説 | IFS LABO

DXへの注目を集めた経済産業省のDXレポート

DXレポートは、正式名称「DXレポート :ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開」という2018年に経済産業省が発表した報告書です。

記載内容は、「2025年の崖」・「DX実現シナリオ」・「DX推進に向けた対策について」の3つに分かれています。

DXレポートによると、企業が使用しているレガシーシステムでは変化する新しい時代に対応できず、維持費や運用費は大きな負担になります。

レガシーシステムとは、過去の技術や仕組みで構築している古くなったシステムを指す用語です。

新しいシステムに変えないと、海外企業に比べて日本企業はデジタル競争の敗北者になり、回避するには、各企業や業界がデジタルトランスフォーメーションを推進するしかありません。

目標としては、2025年という期限が定められています。

DXに取り組まないと「2025年の崖」に直面する

DXレポート内に登場する今後の日本における重要な言葉が、「2025年の崖」です。

もし、日本企業が現在のまま2025年までにDXを推進できなかった場合、最大で年間12兆円もの経済的な損失が発生する恐れがあると経済産業省は警告しています。

企業がDXを推進できないと、現在使用しているレガシーシステムを2025年以降にも残り続けることになるでしょう。

レガシーシステムは、生産性の低下や大きなコストが発生するため、企業の成長を妨げる足かせとなります。

「2025年の崖」が生まれる原因とは?

2025年に年間12兆円もの経済損失は、なぜ発生するのでしょうか。

経済産業省は、レガシーシステムが大きな原因と説明しています。

DXレポート内では、「2025年の崖」という言葉とともに、現在のITシステム基盤に対して警告。

「2025年の崖」の背景に存在するのが、日本企業のレガシーシステム問題です。

会社の基盤となっている既存システムが老朽化・複雑化・ブラックボックス化していくことで、国際競争の遅れや日本経済の停滞が起こります。

起こりうる経済損失は、大企業だけではありません。

「2025年の崖」はレガシーシステムが存在する中小企業にとっても、大きな問題となります。

多くの企業が「2025年の崖」に進行している

DXレポートでは企業の基幹系システムの稼働年数を調査した結果、2025年には21年以上稼働しているレガシーシステムを使用している企業が60%を占めると予測しています。

今後、レガシーシステムを刷新する必要があり、変化に対応できていない企業はデジタル時代において生き残ることはできないでしょう。

以上の点を踏まえると、レガシーシステムによるシステムリスクはますます上昇し、2025年以降では最大12兆円もの経済損失が生じると推定しています。

日本企業のITシステムに関する問題は、非常に深刻なものです。

一つの企業や産業だけの問題ではなく、国益まで大きく損なう可能性が高いため、経済産業省は現在の企業に対して強い警告を発しています。

デジタルトランスフォーメーションで「2025年の崖」解決への課題3つ

「2025年の崖」に向けた企業の課題は以下です。

  • 既存システムの老朽化や肥大化
  • 時代遅れのビジネスモデル
  • 経営戦略が練られていない

では、DX推進に向けた3つの課題を紹介します。

DX2025年課題1.既存システムの老朽化や肥大化

既存システムは、長年使用しているため使いやすく、正常に稼働しているため問題ないと思われるかもしれません。

しかし、既存システムの老朽化や肥大化はDX推進の妨げとなります。

開発から時間が経つ古いシステムは技術的に蓄積できるデータの量が少ない場合や、必要以上に修理を繰り返してきたためシステムが複雑化していると改修が困難です。

システムの基盤である既存システムは、万が一再構築に失敗した場合の業務的リスクが大きいため、DX推進を躊躇する原因となります。

DX2025年課題2.時代遅れのビジネスモデル

情報サービス産業における既存のビジネスモデルは、陳腐化するため新たなものへと変えることが必要です。

DXレポートによると、日本企業のITに関する費用は90%以上、現ビジネスの運営や維持に使用しています。

つまり、情報サービスを提供するベンダー企業はシステム開発や運用、保守の受託事業が主なビジネスモデルです。

しかし、このようなビジネスの規模は、大型開発の一巡、企業統合等による情報資産の共有、クラウド化の進展により今後縮小する見込みであるとDXレポートでは予測しています。

DX2025年課題3.経営戦略が練られていない

DXレポートでは、DXを活用した経営戦略やビジョンが欠如していると問題視しています。

DXの必要性を理解する経営者は増えており、DX推進に取り組もうと動く企業は存在するものの、具体的な方向性が定まっていない企業が多いとDXレポートでは指摘。

「競合がデジタル化しているから」や「AIの導入が流行っているから」などの抽象的な支持を経営層から受けても、企業が変革できる可能性はほとんどありません。

DXによってビジネスをどのように変革したいのか、経営層が明確な経営戦略・ビジョンを立てることで社内全体のDXに向けての意識が高まります。

デジタルトランスフォーメーションで企業が「2025年の崖」を阻止する3つの方法

DXに取り組み、企業が「2025年の崖」を阻止する方法は以下です。

  1. 社内全体で目標を共有
  2. 既存システムの再構築
  3. PDCAサイクルの導入

では、起こりうる大きな経済損失を阻止する3つの方法を解説します。

DX2025年対策1.社内全体で目標を共有

DX推進において、社内全体でDXをおこなう目的やビジョンを共有することが大切です。

企業が目指す方向性を従業員がしっかりと理解していないと、経営者についてきてくれません。

製品やサービス、ビジネスモデルの変革を目指すDXでは、IT部門や一部の事業部門だけでなく、経営者や多くの事業部を含めた体制づくりが必要です。

仮にDXを進めたとしても、目標を共有できていないと、既存システムの変化に対して従業員が不満を抱いたり企業に対して不信感を持ったりする可能性もあります。

DX2025年対策2.既存システムの再構築

今は古くなくても既存システムに頼ったビジネスでは、いずれシステムが老朽化し、変化する時代に遅れてしまうでしょう。

企業がデジタル競争の敗北者にならないためには、既存システムの再構築・刷新が必要です。

たとえば、クラウドサービスを利用すると企業情報をクラウド上で管理できるため、企業全体でスムーズな情報の共有や保管ができます。

DX時代におけるビジネスモデルやテクノロジーをより詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。

DXで抜本的な変革を!目指すべきビジネスモデルやテクノロジーとは? | IFS LABO

DX2025年対策3.PDCAサイクルの導入

PDCAサイクルとは、Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Action(改善)の4つの行動を繰り返し、続けることです。

PDCAサイクルは各部門のビジネスモデルに合わせて業務改善をおこなうのに最適な手法といえます。

DX推進に向けて、企業にPDCAサイクルを導入し、上手く軌道に乗れば計画から改善までスムーズに進むことが可能です。

PDCAサイクルの活用により、業務改善・生産性向上を促し、DXを推し進め「2025年の崖」を阻止しましょう。

経済産業省が選定するDX銘柄とDX注目企業2020

経済産業省は、2020年に東京証券取引と共同でデジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)を選定し、「DX銘柄2020」選定企業35社と「DX注目企業2020」21社を発表しました。

では、DX銘柄と2020年のDX注目企業を紹介します。

DX銘柄とは?

DX銘柄とは、東京証券取引所に上場している企業の中から、DX推進に向けた仕組みを企業内で構築し、デジタル技術の活用により企業価値の向上をおこなっている企業を指す言葉です。

2020年のDX銘柄には全部で35社選ばれて、鹿島建設やダイアン、アサヒグループホールディングスなどが入っています。

2020年のDX注目企業

DX注目企業とは、DX銘柄には選定されなかったものの、DXにおける観点から総合評価が高かった企業や注目すべき取り組みをおこなっている企業を指します。

2020年のDX注目企業には、サッポロホールディングスや三菱ケミカルホールディングスグループ、花王など全21社が選ばれました。

2020年を過ぎた現在では「2025年の崖」に向けたDX推進の取り組みが必要

この記事では、「2025年の崖」とは何か・現在DXが注目を浴びている理由を紹介しました。

経済産業省によると、日本企業が既存システムをこのまま使い続けると2025年には最大で年間12兆円もの損失が発生します。

デジタル時代において、企業価値の向上や競争優位性の確立にはDXへの取り組みが非常に重要です。

経済産業省と東京証券取引が共同で発表しているDX銘柄に選ばれれば、投資家から注目を集めることも期待できます。

DX推進は、大企業だけでなく中小企業にとっても「2025年の崖」を阻止する重要な取り組みです。

 

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