IT技術の発展やデジタル化によって、DXに関心を持つ企業が増えてきました。
今後のビジネスにおいて、DX推進は非常に重要といえます。
DX（デジタルトランスフォーメーション）とは、IT技術を活用し生活をより良いものへと変革させること。
この記事では、DXとは何か・DX推進させる必要性とポイントについて解説します。
DXの定義
DX（デジタルトランスフォーメーション）とは、IT技術を活用し生活をより良いものへと変革させるという概念です。
DXは、2004年にスウェーデンのウテオ大学のエリック・ストルターマン教授によって提唱されました。
経済産業省は「DX推進ガイドラインVer.1.0」の中で以下のように定義しています。
本ガイドラインでは、DXの定義は次のとおりとする。「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。
広義のDXとは、進化したデジタル技術を浸透させ、人々の生活をより良いものに変革することです。
ビジネス面に該当する狭義のDXは、既存の価値観や仕組みを根底から覆す革新的なイノベーションをもたらすものといえます。
企業をDX推進させる3つの必要性とは？
DX推進とは、企業内でDXを進める・変化し続けることです。
近年、重要視されているDXですが、まだ多くの企業ではDX推進できていません。
では、なぜDX推進が必要なのか3つの理由について解説します。
必要性1.システムの老朽化・複雑化・ブラックボックス化【企業のDX推進】
1つ目の理由は、システムの老朽化・複雑化・ブラックボックス化です。
システムの改善を繰り返すことで複雑になり、レガシーシステム（古くなったシステム）を放置すると、維持管理に大きなコストがかかります。
また、引継ぎがなく扱える人材が少なくなることで、システムがブラックボックス化するでしょう。
このような問題が、ITシステムやデータを頻繁に活用する企業の成長や戦略の邪魔になります。
DX推進に取り組まなければ、大きな損失が発生する可能があります。
必要性2.IT人材不足【企業のDX推進】
2つ目の理由は、IT人材不足です。
IT技術が日々進化しているため、IT人材が非常に重宝されます。
しかし、経営層や現場にIT人材が不足しているのが現状です。
ネットワーク通信の高速化やAIによる莫大な情報量の解析など、競合企業と競うためにはIT技術が必要になります。
また、新規サービスを始める際にシステム開発を外部のIT企業に頼むと、素早く反映させることができません。
ビジネスにおいて、スピード感は非常に重要であるため競合企業に遅れを取ってしまいます。
DXの推進とともに新しいサービスを素早く市場に投下するためにもIT人材の確保・育成は重要です。
必要性3.生産性の向上【企業のDX推進】
3つ目の理由は、生産性の向上です。
業務をデジタル化し最適化することで生産性を向上させて、作業時間の短縮や人件費の削減、人的ミスを減らすことができます。
また、これまで人がしていた作業をデジタル化することで従業員の負担を減らし、より重要な業務に集中できるでしょう。
2025年の崖
2025年の崖とは、2018年に経済産業省が発表したDXレポートで使用した言葉です。
レポートには、2025年までに日本企業がデジタル化に取り組まなければ、2025～2030年にかけて毎年最大12兆円の経済損失が生じる可能性があると警告しています。
しかし、現在のDX推進に取り組んでいる日本企業はごく一部の企業のみです。
DX推進している企業の特長2つ
DX推進企業には以下2つの特長があります。
- デジタル化による経営課題の解決
- テクノロジーの導入により企業が変化し続けている
DX推進企業の特長を知ることで、自社との比較が可能です。
では、2つの特長について見ていきましょう。
DX推進企業の特長1.デジタル化による経営課題の解決
1つ目の特長は、デジタル化による経営課題を解決してる点です。
各部門ごとにバラバラだったデータ情報を共有化・可視化するすることで得られる情報量を増やすことに成功している企業があります。
また、AIによる自動見積もりと加工プログラム自動生成のより、従来より1週間以上納期を短縮でき、生産性を向上させている企業もあり、人手作業をデジタル化することで人件費も削減可能です。
DX推進企業の特長2.テクノロジーの導入により企業が変化し続けている
2つ目の特長は、テクノロジーの導入により企業が変化し続けている点です。
マイクロソフトといえば、Officeソフトが有名ですが、実は昔と今ではビジネスモデルが異なります。
昔は、売り切りでライセンスを販売・PCとセットで販売していました。
しかし、時代に合わせてDX化し、Office365としてクラウドサービスを販売しています。
結果として、ユーザー数・収益が大幅に増加しました。
企業をDX推進させる4つのポイント
DX推進させるポイントは以下の4つです。
- 一貫性のあるシステム構築
- IT人材の確保・育成
- 経営トップと社員の協力
- DX評価指標を知る
では、4つのポイントについて解説します。
企業をDX推進させるポイント1.一貫性のあるシステム構築
1つ目のポイントが、一貫性のあるシステム構築です。
経済産業省の「DX推進ガイドラインVer.1.0」では、以下の内容がDXを実現する上で基礎となるITシステムの構築と記載されています。
- 全体的なITシステムの構築のための体制
- 全体的なITシステムの構築に向けたガバナンス
- 事業部門のオーナーシップと要件定義能力
- IT資産の分析・評価
- IT資産の仕分けとプランニング
- 刷新後のITシステム：変化への追従力
参考：産業界におけるデジタルトランスフォーメーション（DX）推進施策について｜経済産業省
社内のレガシーシステムは、DX推進が遅れる原因の一つになります。
多くの人員がシステムの構築・改修をすることで、複雑化し一貫性のないシステムになっている場合も少なくありません。
内部構造や動作原理が分からないブラックボックス化したシステムは、操作性が悪く不具合の原因になります。
そのため、無理に使用せず、場合によってはシステム自体の見直しも検討する必要があります。
担当者一人ひとりが共通理解を持ち、一貫性のあるシステム構築をし連携した開発業務をしましょう。
企業をDX推進させるポイント2.IT人材の確保・育成
2つ目のポイントが、IT人材の確保・育成です。
経営層や現場にIT人材が不足しているため、多くの企業が外部のIT企業に依存しています。
DX推進に精通したIT人材の獲得と育成を避けることはできないでしょう。
IT人材を獲得したら、今後ますます激しくなるIT技術の競争に勝てるように優秀な人材を育成することが重要です。
企業をDX推進させるポイント3.経営トップと社員の協力
3つ目のポイントが、経営トップと社員の協力です。
DX推進は、経営トップのコミットメントが欠かせません。
経営トップがDXにどのような価値を生み出し、どのようにビジネスを変革するのかを明確にし、現場の社員と意思疎通をし、会社全体の意識を変える必要があります。
DX推進には、時間がかかるため数年単位のプロジェクトを見据え、経営トップと社員でしっかりとコミュニケーションを取り、DX推進でどのような価値を生み出すのか経営ビジョンを立てましょう。
企業をDX推進させるポイント4.DX評価指標を知る
4つ目のポイントが、自社のDX評価指標を知ることです。
DX評価指標とは、企業がDXを推進するために自社の課題を自己診断できるツールで、経済産業省が2019年に公開しました。
DX評価指標は、全35項目を経営層や各部門で回答することで、企業のDX推進レベルを自己判断できます。
現状が分からない・何から始めればいいか分からない場合にDX評価指標を利用し、分析結果から次のプランを立てましょう。
始めから大きな変革に挑むのではなく、部分的に最適化し、業務を効率化することが大切です。
DX推進企業が見落とす問題点、解決策とは？
DX推進企業が抱えるよくある悩みは、DX人材の獲得です。
確かに、IT人材の獲得は重要ですが一番のポイントは他にあります。
それは、DXの目的を明確化することです。
多くの企業はDX化する際に適切な人材が分からない状況でスタートします。
DXの目的を明確にするためには以下4つを意識しましょう。
- ターゲットの決定
- テーマ・対象の把握
- プロセスのイメージ
- 成果をイメージ
DX推進に重要なのは「変革をもたらす人材」
DX推進に必要なことは、IT人材を投入することだと思われがちですが、実は「変革をもたらす人材」が一番重要です。
DX戦略において、マネージャーやリーダークラスの人材はニーズが高いですが、決してIT人材とは限りません。
変革をもたらす人材を投入することで、既存社員では見えない視点で分析が可能になります。
会社の固定概念に囚われることなく、豊かな発想のもと変革の推進を実施しましょう。
また、求職者も自身の変革への意欲やDXに対する興味・関心を持っている人が増えており、お互いに上手くマッチして同じ方向を見て進むことができるます。
企業をDX推進させて大きな変革をもたらそう
この記事では、DXとは何か・DX推進させる必要性とポイントについて解説しました。
DXとは、人々の生活を変革するものであり、革新的なイノベーションをもたらすものともいえます。
企業がDX推進する必要性は、以下の３つです。
- システムの老朽化・複雑化・ブラックボックス化
- IT人材不足
- 生産性の向上
レガシーシステム（古くなったシステム）を放置すると、コストがかかり生産性を下がります。
また、IT人材は企業がこれからの競争に勝つためには必要でしょう。
しかし、DX推進において一番重要なのは「変革をもたらす人材」です。
企業をDX推進させて、人々の生活に変革をもたらしましょう。