DX需要拡大の背景には、消費者行動の変化・競争力の強化が影響しています。
とはいえ、DX化に挑んだ際に必ず大きな成果を得られるとは限らず、多くの企業が「なかなかうまくいかない」と悩んでいるのが現状です。
DX推進がうまくいかない企業には、ある共通点があります。
失敗につながるポイントを事前に把握していれば、無駄な投資や手間をかけずに済むでしょう。
そこで本記事では、DX化にうまくいかない現状・失敗する理由を解説します。
DXに挑戦しようと検討している担当者・苦戦している方は、ぜひ参考にしてみてください。
DX化を目指す企業の大半はうまくいかない?
IPA独立行政法人情報処理推進機構が2020年に発表した「DXの実現に向けた取り組み」によると、日本の大企業・中小企業の多くがDX実践に苦戦していると回答。
同レポートには、約300社もの大企業・中小企業がDX推進指標の自己診断を実施し、結果をIPAがまとめています。
DX推進指標とは、各企業の経営幹部、事業部門、DX部門、IT部門などが議論し、自社のDX推進を簡易的に自己診断した数値です。
新型コロナウイルス感染症の影響もあり、DX化への取り組みに踏み切る企業が増えているものの、なかなかうまくいかず苦戦を強いられています。
しかし、DXへの取り組みを躊躇し、このまま国内の企業がDXを推進できなければ、年間12兆円もの経済損失を生む「2025年の崖」問題に直面するでしょう。
2025年の崖について詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
「2025年の崖」という言葉は聞いたことがあっても、具体的な内容やイメージが湧かない方もいるのでしょうか? 「2025年の崖」とは、DX(デジタルトランスフォーメーション)の必要性を訴えるべく、経済産業省が発表したレポート内に登場する言葉[…]
DX化がうまくいかず失敗する4つの理由
ビジネスモデルや製品、サービスを変革し、従来の働き方を変え、競争社会を生き抜くにはDXへの取り組みが欠かせません。
DX化には失敗するリスクがある反面、成功したときのアドバンテージは計り知れないでしょう。
DX化に失敗する企業には、以下のような共通点があります。
- 明確な目的を持っていない
- 何となくツールやシステムを導入している
- DXへの理解が足りていない
- DX人材が不足している
失敗する理由を把握していれば、事前に対処できるため、無駄な労力やコストを軽減できます。
それでは、DX化に失敗する4つの理由をみていきましょう。
失敗する理由1.明確な目的を持っていない
DXによってどのような成果を得たいのか、明確な目的がないまま取り組もうとしても従業員は戸惑ってしまいます。
DXによる成果は短期的に得られるものではないため、中長期的に会社全体が一丸となって協力する必要がありますが、一人ひとりがDXに対して理解していなければ、推し進めることはできません。
各企業によって異なりますが、一般的には以下のような目的でDX化に挑みます。
- 業務の効率化や自動化
- 生産性向上
- コスト削減
- 売上アップ
- 顧客体験価値の向上
- 新しいビジネスモデルへ変革
- 業界内の革命
DXに取り組む目的を明確に立てるには、デジタル化との違いをしっかりと理解しておく必要があります。
なぜなら、DX化と混同しがちなデジタル化は意味が異なり、違いを理解せずにDXへ取り組んでも、手段であるITシステムの導入が目的となり、うまくDXを推し進められないためです。
DX化とデジタル化の違いについては、下記の記事で詳しく解説しています。
IT技術の発展により、DX・デジタル化に取り組む企業が増えています。 従来の設備・仕組みを変えるという意味を持つ、DXとデジタル化。 混同しがちですが、具体的には意味が異なります。 簡単に表すと、DXは概念でデジタル化は取り組みです。[…]
失敗する理由2.何となくツールやシステムを導入している
新しいツールやシステムを導入すれば、自然に自社が抱える課題を解決し、生産性が向上すると思い込んでいる場合には注意が必要です。
やみくもにツールやシステムを導入しても、使用方法がわからなければ意味がありませんし、課題の解決に適していなければ無駄な投資となります。
まずは、自社が抱える課題を洗い出し、テクノロジーを利用すべき部分を絞り込んだうえで、導入するツールやシステムの選別をすることが大切です。
課題の洗い出しによって、新しいツールやシステムの導入が不要な場合もあります。
新しいツールやシステムの導入はあくまでDX化の手段であり、目的ではありません。
明確な目標をもとに、必要に応じて自社に必要なIT技術を活用しましょう。
失敗する理由3.DXへの理解が足りていない
従業員だけでなく、経営層がDXの本質を理解していなければ、取り組みは失敗に終わるでしょう。
DXは単なるIT技術の活用ではなく、既存のビジネスモデルや業務システムの根本的な変革です。
経営層がDXやIT技術に対する理解を深めたうえで、従業員に対してDXに取り組む目的やビジョンを明確に説明する必要があります。
経営層がDXへの理解が足りていないと、IT部門の担当者やITベンダーに丸投げし、結果的に成果が出ない可能性があるでしょう。
失敗する理由4.DX人材が不足している
DXに取り組むうえで、DX人材の確保や育成は非常に重要です。
DX人材とは、IT部門でシステム設計やデザイン設計をする・現場で実際に設計や運用をする人材を指し、職種によって業務が異なります。
日本は少子高齢化の影響もあり、労働人口が減少しているため、IT分野に精通した人材の確保が困難な状態です。
DX推進に必要な人材を確保すべく、各企業の競争はますます激化しています。
DX推進に必要なDX人材や人材不足の解消方法を詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
消費者ニーズの変化や新型コロナウイルス感染症の影響により、国内におけるDXへの関心が高まっている現在。 企業はDXに取り組もうと検討しているものの、人材不足によってなかなか実施できていないのが現状です。 今は何とか社内リソースでやりくり[…]
DX推進を成功へ導く3つのポイント
DX推進を成功させるには、以下3つのポイントをおさえておきましょう。
- 社内全体の意識改革を実施する
- 一貫性のあるシステムを構築する
- 少しずつDX化していく
それでは、各ポイントを解説します。
ポイント1.社内全体の意識改革を実施する
DX推進には、各事業部の担当者はもちもん、経営層のコミットメントが不可欠です。
現場レベルでDX推進を図っても、一部の事業部のみの取り組みで終わってしまい、社内全体でのDXが進まない可能性があります。
経営層が指揮を取り、DXによってどのようなビジネスモデルを変革したいか明確にしたうえで、必要な人材や予算を割り当て、現場とコミュニケーションを取りながら社内全体で変革への意識を高めることが大切です。
ポイント2.一貫性のあるシステムを構築する
既存システムの老朽化・複雑化・ブラックボックス化によって、システム同士がうまく連携ができず、データをうまく活用できないという課題を持つ企業が国内には多数存在します。
事業部ごとにデジタルツールを導入しても、事業部内システムのレベルで終わってしまい、全社的に活用できるシステムを構築できない場合がほとんど。
DX推進を成功させるには、一貫性のあるシステムを構築し、全社でデータを供給・活用できるように変える必要があります。
データやシステムをうまく活用できれば、業務の効率化によって生産性が向上するため、企業の競争力を高めることが可能です。
ポイント3.少しずつDX化していく
はじめから全社的に大きな変革を起こそうとしても、期待値だけが高まるばかりで、投資対効果が見えず、長期的に継続できません。
一方で、投資対効果を意識しすぎると、成果が小さすぎて事業部内で取り組みが終わってしまうでしょう。
多くの企業が抱えるレガシーシステム(老朽化システム)は、DX推進の足かせとなっています。
しかし、レガシーシステムを刷新するには長期間での取り組みが必要です。
とはいえ、何もせずに放置していると、企業競争力は低下し、競合との格差が広がっていきます。
重要なのは、レガシーシステムを抱えながらでも少しずつDX化に取り組むことです。
DXのスモールスタートとして、身近な業務にデジタルツールを導入し、効率化を図る方法をおすすめします。
うまくいきにくいDXに取り組む企業が増えている理由
うまくいきにくく、取り組みに失敗する企業も多いDX。
不適切な方法や進め方でDXに取り組んでも、なかなか成果が得られず、多額の投資を無駄にしてしまうリスクもあります。
さらに、DX推進の失敗は、ビジネスの停滞や事業部の閉鎖などにもつながりかねません。
なぜ、リスクを冒してまで多くの企業はDX推進に挑むのでしょうか。
それは、DXへの期待と取り組まない代償を比較し、失敗するリスクより成功して得られる成果の方が大きいためです。
世界的な大企業のGAFAのように、DXに挑み成功している企業を目の当たりにした経営者は「自社も同じような成果を出したい」と思うはず。
競争力や収益の向上、BCP対策、レガシーシステムの脱却など、DX化の目的はさまざまですが、失敗を恐れずに挑戦する企業だけがこの先の競争社会を生き抜くでしょう。
DXがうまくいかず失敗する理由を分析しよう
本記事では、DX化にうまくいかない現状と失敗する理由を、DX化の成功ポイントとともに解説しました。
大企業や中小企業の多くがDX推進に苦戦しているなか、一部の企業はデジタル技術の活用によって、業界にディスラプションを起こし、大きな成果を得ています。
DXがうまくいかず失敗する理由は、各企業によって多少異なるものの、目的が定まっていなかったり、人材不足だったりと社内に問題がある場合がほとんどです。
DXによる成果は短期的に得られるものではないため、まずは身近な業務から効率化を図り、少しずつビジネスモデルや既存システムを変革していく必要があります。
ERPを活用すれば、社内データを統合的に管理し、経営の効率化を図ることが可能です。
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