フォーキャスト(FCST)とは?意味や使い方、営業・製造業での活用例

  • 2024年1月25日
  • 2024年6月17日
  • 製造業

営業・製造業で用いられる分析手法、フォーキャスト(FCST)。一度は耳にしたことがあるものの、具体的にどのような手法か疑問に思う方も多いでしょう。

この記事では、フォーキャストの意味と営業・製造業での活用例を紹介します。後半では、実践編としてフォーキャストを使う際のポイントも解説していますので、ぜひ最後までご覧ください。

フォーキャスト(FCST)とは?

フォーキャスト(Forecast)は、日本語で「予測・予想」という意味です。ビジネスシーンでは「業績目標管理」とも呼ばれます。

フォーキャストとは、これまでの売上や需要などをもとに、将来の着地点を高い精度で予測する手法のことです。現状と予測した着地点とのギャップを埋めるためには、「何が必要か?どのような戦略が効果的か?」を精査します。

なお、フォーキャストの用途は多岐に渡り、営業の売上管理製造業の受注・生産管理などに用いられます。ここでは、フォーキャストの意味をより深く理解するために、以下の内容を紹介します。

  • フォーキャストの重要性
  • 営業でのフォーキャストとは?
  • 製造業でのフォーキャストとは?

それでは、詳しく見ていきましょう。

フォーキャストの重要性

市場の変化が目まぐるしい近年では、フォーキャストの重要性が高まっています。

フォーキャストは、定量的なデータ分析に基づく予測です。勘や経験による予測よりも精度が高く、直近の市場や情勢など環境の変化を反映しやすい点が特徴です

着地点と目標のギャップを正確に把握できれば、必要な対応策を明確にでき、目標の達成確率が高まります。また、予測の見誤りによる、キャッシュフローの悪化や販売機会の損失などのリスクを回避できます。

不確実性の高い現代だからこそ、定量的なデータで根拠に裏打ちされた未来予測が重要なのです。

営業でのフォーキャスト

営業でのフォーキャストは、チームの売上目標に対して使用するケースが一般的です。過去の営業データを分析し、期間内にどの程度の売上を作れるのかを予測します。

もし売上目標とのギャップがある場合は、原因を分析し改善策を検討・実行します。なお、営業活動を進めるなかで、取引先の都合による失注も発生するでしょう。そのため、営業マネージャーは定期的に着地点を予測し、その都度必要な対応策を講じる必要があります。

製造業でのフォーキャスト

製造業でのフォーキャストは、受注数や需要の予測に用いられます。過去の実績をもとに将来の受注数を予測し、原材料の調達計画や生産スケジュールを策定します。

特に見込み生産の場合は、予測した受注数に応じて生産・調達・在庫管理などの業務が稼働するため、予測の精度が肝心です。万が一予測を見誤ると、在庫の過不足やキャッシュフローの悪化、納期遅延などを引き起こします。

QCDを最適化し利益の最大化を目指すためにも、精度の高い予測が求められます。

豆知識:QCDとは?
→Q(クオリティ:品質)・C(コスト:費用)・D(デリバリー:納期)の頭文字。製造業にとって欠かせない要素です。

フォーキャストの手順

基本的なフォーキャストの手順は、以下4つの段階があります。

  1. データの収集と分析
  2. 将来の着地点を予測
  3. ギャップを埋めるための戦略を策定
  4. 施策のモニタリングと改善

フォーキャストの具体的な進め方・必要工程は、業種や予測内容によって異なります。上記の流れをベースに、用途にあわせて改善しましょう。

手順1.データの収集と分析

まずは、予測に必要なデータの収集です。

営業の場合は、売上実績や商談の進捗状況などを参照します。また、季節やトレンドの影響を強く受ける場合は、市場動向に関するデータも収集しましょう。一方、製造業の場合は、受注実績や製品ライフサイクル、在庫情報などを参照します。

なお、予測の精度を高めるには、古いデータから直近のものまでを広く分析することが大切です。分析の対象期間が短いと、当時の傾向が予測結果へ強く反映されてしまうためです。

多くのデータを収集・分析し、予測の精度を高めましょう。

手順2.将来の着地点を予測

分析結果をもとに、将来の着地点を予測します。着地点を予測する際は、以下の順序で進めるのが効果的です。

  1. すでに確定している案件
  2. 確定率の高い案件
  3. 案件化できそうなもの

確実性の高いものから積み上げることで、不確定要素を取り除きやすく、予測の精度が高まります。

手順3.ギャップを埋めるための戦略を策定

次に、目標値と予測した着地点のギャップを埋めていきます。なお、代表的な営業戦略のフレームワークとして以下の4つが挙げられます。

  • 3C分析:市場における自社の立ち位置を分析
  • SWOT分析:市場における自社の強み・弱みを分析
  • 4P分析:マーケティング・営業方法の分析
  • 4C分析:顧客視点で製品・サービスを分析

戦略を決定する際は、さまざまな観点から自社・プロジェクトの状況や課題を分析することが大切です。課題が不明確なまま戦略を計画すると、成果につながりにくいためです。

また、根拠がはっきりしない戦略では、メンバーのモチベーションが低下する恐れもあります。目標と予測結果のギャップを精査し効果的な戦略を策定してください。

手順4.施策のモニタリングと改善

「施策開始したら終了」ではありません。施策の効果モニタリングし、目標とのギャップが埋まらない場合は戦略を見直します。

なお、時間の経過とともに、市場環境・トレンドの変化が生じる可能性もあります。この場合、戦略の見直しのみならず、予測した着地点の見直しも必要です。

着地点は過去の実績をもとにしているため、市場変化によって大幅にズレる恐れがあるためです。戦略と予測地点を定期的に見直し、成果の最大化を目指しましょう。

フォーキャストの懸念点

フォーキャストが正常に機能すると、目標達成率の向上やリスクヘッジにつながります。一方で、以下の点には注意が必要です。

  • 予測の精度がデータの品質に依存する
  • 予測結果は過去の傾向に依存する

フォーキャストも万能ではないため、懸念点を把握し対策を講じましょう。

予測の精度がデータの品質に依存する

フォーキャストでは、実績データをもとに将来の着地点を予測します。そのため、分析したデータが最新のものに更新されていなかったり、誤りがあったりすると、予測の精度が著しく低下します。

また、事業や経営の方針は、この予測に基づいて設定されるため、万が一誤りがあると大きな損害につながります。フォーキャストを実行する際はデータの品質を確認し、問題があればデータの修正・加工から取り組みましょう。

予測結果は過去の傾向に依存する

フォーキャストでは、「過去と同じ傾向が将来にも続く」という前提のもと予測を立てます。もちろん、直近の市場トレンドやニーズなどを加味しますが、あくまでもベースとなるのは過去から現在までの傾向です。

当然、将来的な変化は、予測に組み込めません。例えば、革新的な技術の登場や法令制度の改訂は、予測結果に大きな影響を及ぼします。

こうした大きな変化が生じた場合は、フォーキャストの予測結果を見直し、必要に応じて予測を立て直すことが大切です。

フォーキャストの精度を高めるには?

フォーキャストの精度を高めるには、以下3つの取り組みが必要です。

  • 社内データの見える化・整理
  • データの鮮度・正確性を保つ
  • システムでフォーキャストを実施

上記は、フォーキャストの予測精度を高めるだけでなく、業務の効率化や管理コストの削減にも効果があります。一朝一夕では実現できませんが、ぜひ業務改革の一環として着手してみてください。

社内データの見える化・整理

フォーキャストの精度を高めるには、社内で管理されているデータを整理することが大切です。例えば、営業実績が担当者のパソコンでのみ管理されていたり、メンバー・部門間でフォーマットが異なったりするケースが多いでしょう。

この場合、データの収集・加工に多くの手間がかかるばかりか、必要なデータを取りこぼす恐れがあります。また、管理の体制が整備されないままでは、データを取り出せなくなるブラックボックス化が懸念されます。

フォーキャストの予測ではデータの品質が肝心なため、必要時に必要なものを活用できるよう整理しておきましょう。あわせて、データ管理の体制も整備しておくと安心です。

データの鮮度・正確性を保つ

正確な分析をするには、データの鮮度と正確性が不可欠です。一般的に、事業実績には社内の状況のみならず、当時の市場環境や法令制度の影響が色濃く反映さえれています。

年々、市場環境や法令制度は変化するため、時間の経過とともに情報の鮮度が落ちます。古いデータでは、当時の傾向が予測結果に反映されてしまうため、定期的に情報を更新する必要があります。

また、手入力でデータ管理する以上、入力ミス・共有漏れなどのヒューマンエラーは確実に起きます。収集したデータをそのまま使用するのではなく、誤りがないかを確認しましょう。

システムでフォーキャスト管理を実施する

手順でも紹介した通り、フォーキャストには多くの時間と手間がかかります。仮に、小規模プロジェクトや試しにフォーキャストを行う場合は、エクセル・スプレッドシートなどでも可能でしょう。

しかし、事業規模・会社規模の予測ともなると、システムの活用がおすすめです。システムであれば、管理データを自動で取得できたり、分析機能で将来の着地点を予想できたりします。

システムの活用は、少ない労力で効率良く実行可能なだけでなくヒューマンエラーの防止にもつながるため、予測精度を高めることができるでしょう。

なお、フォーキャストに役立つシステムは、以下が挙げられます。

  • SFA(営業支援システム):営業向け
  • 生産管理システム:製造業向け
  • ERPシステム:事業・経営分析向け

フォーキャストの用途に合わせ、適切なシステムを活用しましょう。

フォーキャストによる管理精度の向上を目指す方へ

この記事では、フォーキャストの意味と活用例を紹介しました。フォーキャストは、現在を起点として将来の着地点を高い精度で分析する思考法です。

目標値とのギャップを可視化することで目標達成率を高め、リスクヘッジにもつながります。ただ、分析・予測には多くの手間がかかるうえに、ミスによって予測精度が低下する恐れもあります。

システムを活用するなどし、効率化と予測精度の向上に努めましょう。

当メディアを運営するチェンシージャパン株式会社は、製造業向けのERPシステム「IFS Cloud」を提供しています。IFS Cloudでは、受注・生産実績の一元管理や高度な分析が可能です。

IFS Cloudの活用例や導入事例も公開していますので、興味がある方はお気軽にご請求ください。

IFS Cloudの資料ダウンロードはこちら

 

チェンシージャパンは、ERPソリューションIFS Cloudの販売・導入・構築・運用までワンストップで提供中。

ERP専門コンサルタントによる丁寧なヒアリングのもと、最適なご提案をさせていただきます。

最新情報をチェック!