基幹システムの刷新で失敗しないために。事例別の原因と解決策

  • 2023年11月28日
  • 2024年8月22日
  • DX・IT

基幹システム刷新の緊急性・重要性が高まり、自社の既存システムを刷新しようとお考えの方も多いでしょう。

ただ、基幹システムの刷新は、非常に難易度の高い取り組みです。

この記事では、基幹システムの刷新で起こりがちな失敗例と原因・対応策を紹介します。

基幹システム刷新の失敗を回避するためにも、ぜひ最後までご覧ください。

【基礎知識】基幹システム刷新とは?刷新が迫られている理由

基幹システムの刷新とは、問題を抱えた既存システムを新たな基幹システムへ置き換える取り組みのことです。

基幹システムの刷新は、近年多くの企業で求められています。

この一番の要因は、既存の基幹システムが老朽化です。

長年運用してきた基幹システムが以下の問題を引き起こし、解決を迫られています。

  • 度重なる改修によって構造が複雑化
  • ベンダーによる保守・サポートの終了
  • 新たなデジタル技術に対応できずDXの足かせに

これらの課題は業務効率だけでなく、企業の成長にも大きな影響を及ぼすとして、経済産業省が警鐘を鳴らしています。

基幹システム刷新の必要性や進め方について、以下の記事で詳しく解説しています。

関連記事

組織再編や情報管理の見直しに伴い、基幹システムを統合するケースが多く見られます。 しかし、具体的にどのようにして統合するのかが分からずお困りの方も多いでしょう。 本記事では、基幹システムの統合に関する基礎知識と進め方を紹介。 後半では[…]

基幹システム刷新で起こりがちな失敗例3選

基幹システム刷新は、難易度の高い取り組みです。

実際、大手の企業や自治体でも取り組みが失敗に終わるケースも見られます。

特に発生しがちな失敗は、以下の3つです。

  • 予算・納期を大幅に超えてしまう
  • 新たな基幹システムが現場業務とかけ離れてしまう
  • ベンダーへの依存度が高く自社で運用できない

各失敗例を見ていきましょう。

失敗例1.予算・納期を大幅に超えてしまう

基幹システム刷新では、予算と納期を大幅に超えてしまうケースが後を経たちません。

システムと業務の適合性を高めるあまり、必要以上の改修をしているためです。

たとえば、業務への適合度を高めるために、利用部門から集めた意見を可能な限りシステムに反映するなど。

もちろん、利用部門の意見を取り入れることは重要ですが、予算・時間には限りがあります。

また、システムの機能が増加すれば、その分運用コストも増加します。

システムを改修せずとも、業務プロセスを変更したり、構築し直したりすることで改善できる課題も多いでしょう。

安易に、新たな機能を追加するのではなく、費用対効果を意識し正しい方法で課題の解決を目指すことが大切です。

失敗例2.新たな基幹システムが現場業務とかけ離れてしまう

基幹システムの刷新では、業務と新たなシステムとの間にズレが生じやすいです。

意外にも、現行システムの機能をそのままに、新たなシステムへ移し替える場合にズレが発生します。

これは、システムの利用部門が、プロジェクトの難易度・優先度を見誤るためです。

多くの場合「現行システムと同じものを構築すればいい」と聞くと、簡単なプロジェクトのように思えてしまいます。

また、同じものを構築するだけなので、情報システム部に任せれば良いと判断するでしょう。

しかし実際には、新たなパッケージで、度重なる改修を経てきた現行システムと同様の機能要件を満たすのは困難です。

現場をよく知る利用部門の助け無しでは、業務とかけ離れたシステムが構築されてしまいます。

こうしたプロジェクトの難易度・優先度の誤認によって、業務と新たなシステムとの間にズレが生じるのです。

失敗例3.ベンダーへの依存度が高く自社で運用できない

ベンダー依存は、ITに精通した人材を抱えていない企業で起こりがちな失敗です。

基幹システム刷新において、設計・開発・運用・保守をベンダーに丸投げするケースはよく耳にします。

ただ、システムの開発・運営をベンダーに任せっきりにすると、自社にノウハウや知見が蓄積しません。

仮に、小さなトラブルが発生した際にもベンダーのサポートが必要となったり、対応が遅れることで大きな損失につながったりします。

また、ベンダーが倒産した場合にシステムの運用・保守ができず、業務が停止するリスクも伴います。

十分な対策を講じてベンダー依存に陥らないようにしましょう。

基幹システム刷新が失敗する5つの原因と対処法

ここでは、前述した失敗例ごとに代表的な原因と対処法を紹介します。

実際には、そのほか細かな要素も絡み合って失敗するケースがほとんどです。

基幹システムを刷新する際は、想定される失敗シナリオを分析し、より成功率の高い計画の策定・実行を心がけましょう。

予算・スケジュール超過による失敗

予算・スケジュール超過による失敗は、主に以下2つの原因が考えられます。

  • 基幹システムを刷新する目的が不明確
  • 既存業務を標準化せずに基幹システムを刷新した

原因1.基幹システムを刷新する目的が不明確

基幹システムの刷新目的が不明確であれば、集めた意見に対して適切な優先順位をつけられません。

結果、本来追加する必要がない機能を実装し、コスト・スケジュールが増大するのです。

基幹システムを刷新する場合は、取り組みの目的と優先順位の判断基準を設けることが大切です。

原因2.既存業務を標準化せずに基幹システムを刷新した

既存業務を標準化せずに基幹システムを刷新すると、発生するコスト・時間が増大します。

複雑な既存業務にシステムを適合させるには、多くの機能追加・カスタマイズが必要なためです。

また、既存業務へシステムを合わせにいくと、課題を解決できない可能性が高まります。

今抱える課題は、現行する業務プロセス・管理体制で発生しています。

既存業務を変革しなければ、基幹システムを置き換えても課題を解決できません。

基幹システムを置き換えるだけでは、課題の根源を解決できません。

基幹システムを刷新する場合は、まず、業務改革を実施し、そのうえでシステムの要件を募るようにしましょう。

システムと業務のズレによる失敗

システムと業務のズレが発生する一番の原因は、部門間の意思疎通が取れていないことです。

原因3.部門間の意思疎通が取れていない

先の例で言えば、利用部門がプロジェクトの難易度・優先度を把握していれば、より積極的に関与していたでしょう。

また、情報システム部門が利用部門へ意見を求めれば、システムと業務のズレを早期に発見できたはずです。

基幹システムの刷新に限ったことではありませんが、プロジェクトを推進するには関係者が一丸となって進めることが重要です。

お互いがコミュニケーションを取って認識を合わせることで、多くのリスクを回避できます。

ベンダー企業への依存による失敗

ベンダー企業への依存が発生する原因は、以下の2つです。

  • プロジェクト体制の問題
  • 契約の縛りによってベンダー依存が加速

原因4.プロジェクト体制の問題

IT人材が在籍していない企業が基幹システムを刷新する場合、専門的な知識を持つベンダー企業に頼るのは当然です。

ただ、ベンダー企業はあくまでもシステムを開発したり、運用をサポートしてくれたりする存在です。

基幹システムの設計〜保守に関する意思決定は、必ず社内で行わなければなりません。

そのためには、ベンダーから得た情報を社内に蓄積し、活用するための体制を構築しましょう。

ほかの業務との兼務でも良いので、システム運用の担当者を立てるのがおすすめです。

原因5.契約の縛りによってベンダー依存が加速

契約の縛りによって、ベンダーとの依存関係が形成される場合もあります。

たとえば、システムに保存されたデータの権利がベンダーに帰属する旨の契約を交わしたとします。

この場合、ほかのベンダーへ乗り換えようにも、データが引き継がれないため、乗り換えを躊躇せざるをえません。

こうした契約による依存関係は、対処が困難です。

ベンダー企業を選ぶ際には、自社にとって不利な契約になっていないかを確認しましょう。

基幹システム刷新を成功させる3つのポイント

基幹システム刷新を成功させるには、以下3つのポイントが大切です。

  • 経営層が中心となってプロジェクトを推進する
  • 自社の課題に近い事例を研究する
  • PDCAを高速で回す

上記を実践することで、失敗を未然に回避できたり、問題の解決速度が向上したりします。

ぜひ参考にしてみてください。

ポイント1.経営層が中心となりプロジェクトを推進

基幹システムの刷新は、経営層が中心になって推進しなければなりません。

日常の業務でシステムを使うのは現場の従業員ですが、基幹システムのデータを使い、会社の舵取りを担うのは経営層だからです。

万が一、基幹システム刷新を現場主導で進めると、企業経営を支えるに不十分なシステムが完成します。

これでは、DXを推進するための基盤として機能できません。

そのため、プロジェクトの方針や要件定義は経営層が中心になって進めることが大切です。

ポイント2.自社の課題に近い事例を研究する

大手企業や自治体などを中心に、基幹システムの刷新事例が数多くみられます。

こうした先行事例からは、多くの学びがあります。

たとえば、「具体的にどのような体制で進めたのか」、「何でつまずき、どのように対処したのか」など。

事例を研究しておけば、自社で取り組みを進める際のヒントや注意点を得られます。

従来よりもプロジェクトの成功率を高められるため、ぜひ先行事例を参考にしてみてください。

ポイント3.PDCAを高速で回す

基幹システム刷新では、PDCAをいかに早く回せるかが重要です。

刷新プロジェクトともなれば、膨大な数の問題・トラブルが発生します。

もちろん重要度の高いものは慎重になる必要がありますが、あまりに時間を費やしていては、プロジェクトが停滞したり、被害が拡大したりします。

そのため、問題が生じたら迅速に解決策を立て、実行・検証を繰り返しましょう。

なお、PDCAを高速で回すことで、新たな気づきを得られる可能性が高まります。

より問題を解決しやすくなるので、ぜひ意識してみてください。

基幹システム刷新をお考えの方へ

本記事では、基幹システムの刷新で起こりがちな失敗例と原因・対応策を紹介しました。

基幹システム刷新は、プロジェクトの規模が大きく、関係者も多いため難易度が高い傾向にあります。

一方で、成功した場合は自社に大きなメリットをもたらします。

基幹システム刷新の実施を検討している方は、先行企業の事例や本記事で紹介した失敗例を参考に取り組んでみてください。

当メディアを運営するチェンシージャパン株式会社が提供する「IFS  Cloud」は、製造業に特化したERPシステムです。

基幹業務を統合し、社内データの一元管理を実現します。

IFS  Cloudにより基幹システム刷新を達成した事例を、以下にまとめましたのでぜひご覧ください。

 

チェンシージャパンは、ERPソリューションIFS Cloudの販売・導入・構築・運用までワンストップで提供中。

ERP専門コンサルタントによる丁寧なヒアリングのもと、最適なご提案をさせていただきます。

最新情報をチェック!