製造業の経営やさらなる成長のためには、DX(デジタルトランスフォーメーション)が必要です。
しかし、どこから手を付けていいのかわからない・コスト捻出が難しいなどの理由で手を付けられていない企業が、多く存在しています。
この記事では、DXの重要性と、最初に手掛けるべき社内DXについてお伝えします。
DXの重要性や進め方について、なんとなくわかっていても説明できないという方向けの内容です。
今すぐ使えるデジタルツールとあわせて参考にして頂ければ幸いです。
デジタル化が急速に進む現代における社内DXの重要性について
上記は2025年の崖と呼ばれる、企業が直面するであろう問題を図式化したもの。
資料を簡潔にまとめると、2025年までにシステムを刷新しなければ、大きな経済損失につながるという内容です。
それでは、なぜ経済損失につながるのかをわかりやすく解説します。
「2025年の崖」とは?DXを成功させなければならない理由
まずは現状のシステムがどのような状態にあるのかを家に例えてみましょう。
現状のシステムは、無理な増築を繰り返し、老朽化が進んできた家と考えてみてください。
さらに増築された部屋の中にあるのは、段ボールに入れて積み上げられただけのデータの山。
とても住みやすいとは言えませんし、必要なモノを探すのにも膨大な手間が必要になるのは明白です。
より住みよい家にするためには、建て直しの必要があります。
つまり既存のシステムを根本的に見直すDXに取り組まなければ業績の向上は困難ということ。
次に、DXによって得られるモノを考えてみましょう。
DX成功によって手に入るのは使いやすいシステムと膨大なリソース
DXで目指すのは、専属担当者でなくても簡単に資料を探せる環境の構築と、業務効率化による人材コスト削減及び業績向上です。
システムのカスタマイズで複雑化し、ブラックボックス化していたデータを有効活用できれば、リソース活用の幅が一気に広がります。
例えば製造工場の仕入れデータや在庫データは、仕入れや納品までのプロセス管理に役立ちます。
さらにそれぞれの向上に最適化されたシステムにより、管理業務の簡素化が可能に。
DXは中小企業によくある慢性的な人材不足の悩みまでをも解決できる可能性を秘めています。
急激なデジタル化が製造業の経営に与えるマイナスの影響もありますが、デジタル化が少子高齢化社会の解決策ともなりえるのです。
DXの第一歩は社内DXから段階的に推進すべき
実際にDXを進めるなら、まずは足元を固めましょう。
いくら製造工場にデジタル技術を投入しても、得られたデータが集約する部門のデジタル化が進んでいなければ本末転倒です。
ただし、やみくもにDX推進を提唱してはいけません。
DXにはデジタルツールに精通する人材や、戦略立案や営業に長ける人材、コストが必要です。
経営者側の十分な話し合いの上、慎重にすすめる必要があります。
DX推進方法とは?3つのステップを解説
実際に社内DXを推進するために必要な手順を紹介します。
DXについて検討する際のスケジューリングにも、ぜひお役立てください。
より詳細なDX推進の手順を知りたい方は、下記記事をご覧ください。
DXとIT化の違いも含めてわかりやすく解説しています。
DX(デジタルトランスフィーメーション)は組織全体を変革する取り組み、IT化はデジタル技術を利用した業務の効率化を意味し…
DX推進ステップ1.コンサルティングによる課題の可視化と整理
社内DX最初のステップは、自社が抱える課題を洗い出す作業です。
課題を可視化し、優先度順に並べ替えたり、部署ごとにまとめたりと整理しておきます。
当然ですが、課題がわからなければ解決策を検討しようがありません。
より具体的に、より細分化させた課題を洗い出しておけば、高効率かつ低コストで社内DXを実現できます。
DX推進ステップ2.システム導入によるDX推進を開始する
社内DXとして、現在導入できるシステムは大きく分けて2種類。
最低限の設備投資と手間で導入可能な「クラウド型」と、永続的な自社資産となる「オンプレミス(自社運用)型」です。
それぞれのメリットを比較し、運用しやすいシステムを選びますが、最近ではクラウド型が一般的になりつつあります。
なぜなら、低コストで導入できて中小企業が導入しやすく、デメリットだったカスタマイズの自由度の低さが向上しつつあるため。
自社へのサーバー設置に伴う作業によってコア業務が中断される心配もなく、スムーズな導入が可能です。
とはいえ、企業によって環境は様々ですので、どのようなシステムを導入するのかを十分検討しましょう。
DX推進ステップ3.システムの運用結果を分析しさらなる課題解決に挑む
システムの導入後は「PDCA(Plan Do Check Assessment)サイクル」に則って、より効率的なシステムになるよう調整を繰り返します。
しかし、経済産業省 DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開でも指摘があるように、社内DXを自社推進は困難。
そのため、システム導入から運用・保守までワンストップで対応可能なベンダーに依頼する企業がほとんどですが、丸投げするのは大きな間違いです。
実際にシステムを使用した社員の声をもとに、修正が必要な個所を発見し、外注先のスタッフに的確に伝える必要があります。
自社と外注先の連携が十分でなければ、使いやすいシステムは完成しません。
こまめに担当社員の声に耳を立て、より運用しやすいシステムを目指しましょう。
製造ジャンルのDX推進で活用できるデジタルツール3選
デジタル化に伴うニューノーマル(新しい常識)として、フレックス制やリモートワークを導入する企業が増えています。
しかし、どのようなツールを取り入れればニューノーマルに対応できるのでしょうか。
勤怠管理ツールやビデオ会議ツールなど、今すぐにでも活用できるツールを紹介します。
事務部門のリモートワークを検討している企業担当者はぜひ参考にしてみてください。
デジタルツール1.事務の勤務管理ができる「勤怠管理ツール」
リモートワークでは不透明になりやすい勤怠管理も、最近では便利なツールが増えています。
無料版も多く、中には有償版と性能がほとんど変わらないツールも。
無料版なのでサポートが受けられない、広告が表示されるなどデメリットもありますが、お試しで導入するには十分です。
LINEやSlackなどの情報共有ツールに対応している場合もあるので、リモートワークの勤怠管理に悩んでいるならお試しください。
デジタルツール2.遠隔地からも会議に参加可能な「ビデオ会議ツール」
ネット環境とWebカメラ・マイクがあればいつでもどこでも使えるビデオ会議ツールが急激に普及しています。
ビデオ会議ツールを使ってセミナーを行う、通称ウェビナーを開催する企業も多く、会議室を押さえる手間や移動が不要の手軽さが人気。
最も有名なツールとしてはZoomが挙げられます。
無料版では、3名以上のグループ通話は40分以内、チャット履歴が保存できないという制限付きなのがネックです。
しかし本来の会議は、未来に向けて建設的な意思決定をする場です。
必要な話し合いはチャットツールで、決定事項の確認を会議で行うとすれば、会議の短縮化が可能。
時間の有効活用が可能になり、業務効率化にも活かせます。
デジタルツール3.いつでもどこでもデータを確認できる「クラウド」
クラウドとは、インターネット上に必要なデータを保存が可能なほか、ソフトを使用できるシステムを指します。
メリットは、インターネット通信環境さえあれば、パソコン・スマートフォン・タブレットなどの端末を選ばずに必要なデータを取り出せること。
共有しているデータの検索が簡単で、必要なシーンですぐに使えるうえに、編集権限の付与もできる優れモノです。
無料版のサービスも多数あるため、活用しやすいかどうか検討を繰り返しながら、最適なツールを見つけ出せます。
DX推進の注意点とは?失敗のリスク回避に必要な3つのポイント
リスク回避のポイントを紹介するにあたり、システムを供給してくれるベンダーとのコミュニケーションが十分に図れることが大前提です。
ベンダーとの連携が不十分であった場合、導入したシステムが目指していた結果とは違ってしまい、トラブルに発展する可能性も。
DX推進の注意点として、おさえておきたいポイントは以下3つ。
- 担当部署と経営陣が連携して社内DXを推進
- 他社の社内DX成功事例を参考にしてフレキシブルに進める
- 社内DXは段階的に実施、生産性低下リスクを下げる
どれも、DX推進の失敗を防ぎ、リスク回避に必要なポイントです。
それでは、各ポイントの内容を詳しくみていきましょう。
ポイント1.担当部署と経営陣が連携して社内DXを推進する
担当部署だけ・経営陣だけでは、DXは成り立ちません。
特に多いのは経営陣が中心となって、現場の声が十分に反映されなかった結果、業務効率が低下するケース。
現場の声がなければ、自社が抱える課題の可視化は困難となり、コストと手間ばかりを浪費してしまいます。
担当部署と経営陣が一丸となって進める姿勢が大切です。
ポイント2.他社の社内DX成功事例を参考にしてフレキシブルに進める
社内DXの必要性を感じても、正直どこから手を付けていいかわからないこともあるでしょう。
社内DX推進を成功させるためには、他社の成功事例を参考資料として検討を重ねることが大切です。
スケジュールや手順を真似て作成し、詳細は自社の体制や課題に合わせてフレキシブルに対応します。
ただし、自社にITに関する専門知識を有する人材がいない場合は外注したほうがリスクは低め。
ベンダー企業は豊富な経験と確かなコンサルティング力、高度な技術力を有しており、手探りで社内DXを進めるよりも効率的です。
ポイント3.社内DXは段階的に行って生産性低下リスクを下げる
新しいシステムの導入後は、業務効率が低下する傾向にあります。
なぜなら、システムの使い手である社員が慣れて、システムの本領を発揮するまで時間がかかるため。
一時的であったとしても、業務効率の大きな低下は業績不振につながります。
社内DXは段階的に進めて、生産性の低下を抑えましょう。
高効率かつ低コストな社内DX推進をご検討の方へ
今回は社内DXの必要性と、すぐに使えるデジタルツールについて解説しました。
迫りくる2025年に向けて、社内DXがどれだけ重要なのかがおわかり頂けたかと思います。
しかし、自社だけで社内DXを推進するのは不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
チェンシージャパン株式会社は、製造業を中心とした海外企業の社内DXに向けたソリューションとしてERP提供実績があります。
社内DXをご検討の方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。