原価管理の効率化・高精度化を実現する「原価管理システム」。
数多くの製品があるため、導入するシステムを決めかねている方も多いでしょう。
本記事では、製造業・建築業向けのおすすめ原価管理システムを8つ厳選し紹介します。
導入メリットや選定方法とあわせてご覧ください。
原価管理システムとは?
企業が利益を伸ばし続けるには、売上を伸ばすだけでなく、原価を正確に把握し、削減しなければなりません。
しかし、原価は社会情勢や各国の経済状況などによっても変動するもの。
原価の集計や計算、シミュレーションを人手でおこなうには膨大な時間と労力を要するでしょう。
こうした原価管理の手間を自動化し、より高精度な予測、計算を実現するのが、原価管理システムです。
原価管理システムの基本機能・メリット
本章では、下記4つの基本機能とそれぞれの活用メリットを紹介します。
- 原価計算機能
- 原価差異析機能
- 損益計算機能
- 原価シミュレーション機能
原価管理システムの導入をご検討中の方は、ぜひ参考にしてください。
原価計算機能
原価計算機能とは、商品の製造にかかった仕入れ費用や人件費などを入力すると、自動的に製造原価・売上原価を計算してくれる機能です。
原価には、基準となる標準原価や実際に発生した実際原価など、さまざまな種類が存在。
また、用途や計算方法も異なるため、人手で算出するには多くの手間がかかります。
その点、原価管理システムを利用すると、必要データを入力するだけで自動的に原価を計算してくれるため、管理工数の削減が期待できます。
原価差異析機能
原価管理では、先述した標準原価と実際原価を比較し、改善点を洗い出します。
この時役立つのが、原価差異分析機能です。
標準原価と実際原価を、原材料費差異や直接労務費差異などの項目ごとに出力。
原価データを多角的に分析できるため、効果的な改善策を打ち出せるでしょう。
損益計算機能
損益計算機能は、原価計算機能と併用されるケースが一般的です。
たとえば、上半期の原価計算をもとに、製品のサイクルコストを把握。
これをもとに、限界利益や収益性を判断できます。
損益計算では、多くの要素が複雑に絡みあっているため、担当者の力量によって算出結果が異なる場合もあります。
その点、原価管理システムを活用すれば、複雑な計算にも対応できるため、精度の高い予算編成が実現できます。
原価シミュレーション機能
原価シミュレーション機能は、過去の原価データをもとに、仕入れ価格や人件費などの変動をシミュレーションする機能です。
原価は常に一定で推移するわけではなく、外部要因によって変動するリスクがあります。
仮に原価が高騰した場合、販売価格を変更しなければ、会社の損失につながる恐れがあります。
こうした将来的なリスクを予測し、万全の体制を整えるために欠かせない機能です。
【製造業向け】おすすめ原価管理システムを比較
本章では、製造業企業向けのおすすめ原価管理システムを4つ紹介します。
- 【製造業向け】4種類の原価管理ツールを比較
-
システム名 提供形態 価格 デモンストレーション J-CCOREs オンプレミス型・クラウド型 実際原価計算の導入:1,500万円〜 ◯ AMMIC/NetC ー 要問い合わせ ◯ Future Stage オンプレミス型・クラウド型 要問い合わせ ◯ スマートF クラウド型 月額3万5千円〜
初期費用30万円〜◯
※無料トライアル完備
原価管理システム1.J-CCOREs
引用:J-CCOREs
提供会社 | JFEシステムズ株式会社 |
提供形態 | オンプレミス型・クラウド型 |
価格 |
実際原価計算の導入:1,500万円〜 |
デモンストレーション | あり |
対応業種 | 鉄鋼・非鉄金属・化学・半導体製造業 |
- 複雑な製造業務にも対応した原価管理システム
- ころがし計算を採用し、製造工程や品目構成の変更にも素早く対応
- データの任意セグメントにより、多角的な分析を実現
- 最短4ヶ月で導入が可能
原価管理システム2.AMMIC/NetC
引用:AMMIC/NetC
提供会社 | 株式会社アミック |
提供形態 | ー |
価格 | 要問い合わせ |
デモンストレーション | あり |
対応業種 | 医薬・化学・食品・消費材・組立加工 |
- 6種の原価管理機能を搭載し、生産性向上と原価低減を実現
- 外部インターフェース機能により、PDM・PDA・スケジューラ・MES・会計管理システム・WMSと連携可能
- 日本語・中国語・英語に対応しており、アジア圏での導入実績も豊富
- 入門コース・基本コース・活用コースなど、段階別のトレーニングコースを用意
原価管理システム3.FutureStage
引用:FutureStage
提供会社 | 株式会社日立システムズ |
提供形態 | オンプレミス型・クラウド型 |
価格 | 要問い合わせ |
デモンストレーション | あり |
対応業種 | 製造業・卸売業・小売業に特化 |
- 製造業に必要な原価管理・生産管理・販売管理・購買管理をシームレスに管理
- 累計導入実績4,000システム以上(2016年3月時点)
- 標準実際再管理機能・製番別原価計算・経費配賦計算など、製造業特有の複雑な計算にも対応
- 6種類のシミュレーション機能により、あらゆるリスクを想定
原価管理システム4.スマートF
引用:スマートF
提供会社 | 株式会社ネクスタ |
提供形態 | クラウド型 |
価格 | 月額3万5千円〜 初期費用30万円〜 |
デモンストレーション |
あり |
対応業種 | ー |
- 在庫管理・製造管理・品質管理・受注管理にも対応した生産管理システム
- 必要モジュールのみを選択でき、無駄の無いスモールスタートが可能
- 1ヶ月間の無料トライアルが完備
【建築業向け】4つのおすすめ原価管理システムを比較
それぞれの特徴を紹介します。
- 【建築業向け】4種類の原価管理ツールを比較
-
システム名 提供形態 価格 デモンストレーション e2-movE クラウド型 要問い合わせ ◯ どっと原価NEO ー 1~5ユーザー:240,000円/年間 ◯ レッツ原価管理Go2 オンプレミス型・クラウド型 製品価格2クライアント:1,100,000円
別途年間保守:55,000円/年◯
※無料トライアル完備Const クラウド型 要問い合わせ ◯
原価管理システム1.e2-movE
引用:e2movE
提供会社 | 三谷商事株式会社 |
提供形態 | クラウド型 |
価格 | 要問い合わせ |
デモンストレーション | あり |
対応業種 | 総合建設業・浄化槽管理事業・廃棄物処理事業・資源再生事業 |
- 全国400社以上の導入実績から得たノウハウをフィードバック
- 材料や外注委託先への発注業務を管理し、原価管理へとデータを共有
- 物販と工事、トータルでの実績が一目瞭然
原価管理システム2.どっと原価NEO
引用:どっと原価 NEO
提供会社 | 株式会社建設ドットウェブ |
提供形態 | オンプレミス型・クラウド型 |
価格 | 1~5ユーザー:240,000円/年間 |
デモンストレーション | あり |
対応業種 | ー |
- 導入実績業界No.1のシステム
- 会計管理・勤怠管理・予算管理にも対応
- ヒト・モノ・カネを動きを1つのシステムで丸ごと管理
- 必要機能はオプション選択式のため、最適なシステムを導入可能
- 導入~運用後まで専任担当者が丁寧にサポート
原価管理システム3.レッツ原価管理Go2
引用:レッツ原価管理Go2
提供会社 | 株式会社レッツ |
提供形態 | オンプレミス型・クラウド型 |
価格 | 製品価格2クライアント:1,100,000円 別途年間保守:55,000円/年 |
デモンストレーション | あり ※無料トライアル完備 |
対応業種 | 土木工事業・舗装工事業・造園工事業・仮設工事業・空調設備工事業・電気工事業 |
- IT初心者でも扱いやすいシンプルなUI設計
- 万全のサポート体制で導入〜運用をサポート
- 見積もり・仕入・支払伝票・発注書など、一度の入力作業でデータが自動連携
- 45日間の無料トライアルで使用感を確認できる
原価管理システム4.Const
引用:Const
提供会社 | 株式会社ブラックハンド |
提供形態 | クラウド型 |
価格 | 要問い合わせ |
デモンストレーション | あり |
対応業種 | 土木・建築・港湾・浚渫・護岸・ガス・舗装・造園・内装・鳶・電気 |
- 請求書管理から資金繰り・工事原価の把握が可能
- 見積から実行予算・発注書・請求書受領・工程管理・請求書発行、会計に至るまでシームレスにカバー
- Officeと共通のUIを採用。Excelのような操作性を実現
原価管理システムの選び方
- 原価管理以外の機能が備わっているか
- 自社に適した提供形態か
- 外部ツールとの連携が可能か
上記3つのポイントを、順に紹介します。
選び方1.原価管理以外の機能が備わっているか
原価管理システムの中には、先述した基本機能のみならず、会計管理・在庫管理・勤怠管理などにも対応した製品があります。
システムの導入で、原価管理とその周辺業務も効率化したい場合は、対象範囲が広い原価管理システムを検討すると良いでしょう。
たとえば、「スマート F」は、在庫管理・製造管理・品質管理・受注管理の機能も搭載した生産管理システムです。
案件の受注から、材料の仕入れや製造、品質改善までをシームレスに管理できるため、生産工程全体を最適化します。
現状、自社がどのような課題を抱えており、どのように解決するのかなどの導入目的を明確にし、必要機能が備わったシステムを選定することが大切です。
選び方2.自社に適した提供形態か
原価管理システムの提供形態は、大きく下記の2つに分類されます。
- オンプレミス型:自社管理のサーバー上にシステムを導入
- クラウド型:インターネットを介してシステムを利用
オンプレミス型の原価管理システムは、目的に合わせ柔軟なカスタマイズができる一方で、導入コスト・運用コストが高額です。
また、万が一トラブルが発生した場合、自社で対処しなければならないため、ITに精通した人材が不可欠です。
対して、クラウド型の原価管理システムは、カスタマイズ性こそオンプレミス型に劣りますが、低コストで利用できる点が魅力。
システム障害が発生しても、ベンダー企業が対応してくれるため、少ない負担で利用できます。
提供形態ごとに一長一短があるため、自社のリソースや運用体制を考慮し、システムを選定すると良いでしょう。
選び方3.外部ツールとの連携が可能か
原価管理システムは、特に外部連携が重要視されるシステムです。
たとえば、原価情報を他部門から収集する場合、各業務を管理する外部ツールと連携できれば、集計時間・コストを大幅に削減できます。
また、入力ミスや重複業務の削減につながり、データの信憑性向上や生産性向上を実現できます。
効率的かつ正確に原価管理をおこなうには、外部ツールとの連携度を確認するのがおすすめです。
原価管理を企業経営に活かすならERPシステムがおすすめ
ERPシステムとは、企業のヒト・モノ・カネなどの経営資源を一元的に管理するシステム。
全基幹業務・システムをシームレスに統合する、いわばパイプ役のようなものです。
ERPシステムを活用すると、あらゆる業務システムのデータを瞬時に取得でき、スムーズな原価管理が実現できます。
また、さまざまな分析機能やデータ出力機能を搭載しているため、原価状況を予算編成や経営判断に反映させやすいでしょう。
原価管理機能を搭載したERPシステムも数多く存在するため、原価管理を企業経営に活かしたい方や、全社的な最適化を目指す方はERPシステムの検討がおすすめです。
原価管理システムで利益を最大化させよう
原価管理システムは数多くの製品が提供されているため、下記3つのポイントを踏まえ選定・導入することをおすすめします。
- 原価管理以外の機能が備わっているか
- 自社に適した提供形態か
- 外部ツールとの連携が可能か
また、原価管理を企業経営に活かしたい方や、全社的な最適化を目指す方はERPシステムがおすすめです。
社内データを一元的に管理するため、情報の円滑化や業務効率の向上を実現できます。
まずは、自社が抱える課題を明確にし、適したシステムを選定してみてください。