どこよりも早い!?「IFS Cloud 21R1」レビュー KEYNOTE編

3月10日・11日とIFSの新製品である IFS Cloud 21R1 が発表された。2日間のオンラインイベントへ参加したので、感想を記事にしてみます。以下のような方にお読みいただけたら幸いです。

  • 日本国内でIFSを利用されている方
  • もしくは海外法人に駐在しながらIFSを利用している日本人の方
  • ERP導入をご検討中の方
  • 気になっていたが、欧州時間のためにイベントに参加できなかった方

洗練されたオープニング

3月10日、日本時間23時。時間通りに、すでに発表済みの新しいロゴと軽快な音楽と共に始まった。

この辺りの演出、さすが欧州企業だと感心する。

ヨーロッパは、なんでも洗練されている。

著名なファッションブランドや、スーパーカーなどみんなヨーロッパ発祥で、ブランディングがうまいのだろう。

日本語字幕付きのVideo

そして冒頭、CEOのDarren Roos氏が登場。

なんと日本語字幕付きのVideoが用意されていた。

日本市場をかなり意識して準備された事が伺える。

アジェンダの説明

続いて、CEOより以下の通りこれからのアジェンダを説明。

IFS Cloudはゲームチェンジャーになる

まず初めに、お客様とお客様のビジネスにとって、またIFSにとってIFS Cloudがゲームチェンジャーである理由について、私とCPO(最高製品責任者)であるクリスチャン・ペデルセン(Cheristian Pedersen)よりご紹介します。

IFS Cloudの概要とデモセッション、お客様の事例、業界の詳細情報をご紹介します。 明日のMindFuelセッションでは、業界がどのように変化しているのか、その理由について議論するために、 何人かのリーダーをご招待しています。

引用:IFS Cloud 21R1 3/10-11公開 オンラインイベント動画より

本記事では、デモをご紹介したいが、個人的に「IFS Cloudゲームチェンジャーである理由」も気になるので先にメモしておきたい。

コロナ禍で明るみになったデジタル化、迅速な対応の必要性

CEOは以下のように続ける。

お客様との会話の中で常に耳にしているのは、2020年に起きた広範な市場の混乱によって、デジタル・ビジネスモデルへの移行が加速されているという事です。

そして、ビジネスモデルを変更したり適応させたりしたときに結果を達成する最も早い方法は、クラウドでテクノロジーを利用する事です。2020年は、成功するために必要なアジリティ(機敏性)、スケーラビリティ(拡張性)、イノベーション(革新性)を提供できるのは、クラウドプラットフォームだけだという認識を強めています。

事実、何年も前から、アナリストや業界の専門家からも、「Digital Imperative」(デジタル戦略遂行に必要な要素)が加速していると言われています。

つい最近、私はグローバルなコンサルタント会社の別の統計を読みました。


それによると、90%の企業がDXに向けた増資を優先的に実施するとの事です。しかし、ほとんどのビジネスは複雑で、複雑なバリューチェーンを持っているため、スイッチを押す事ができません。

誤解しないでほしいのですが、変革のスピードは非常に重要であり、多くの場合、競合上の差別化要員となり、成長の推進要員となります。

引用:IFS Cloud 21R1 3/10-11公開 オンラインイベント動画より

いろいろと難しい単語が並んでいる。

勝手な解釈と共に要約させてもらえば、以前からビジネス上のさまざまな事をデジタル化する必要があった。

日本のビジネス面デジタル化への見解

それが、コロナ禍で明るみになり、よりスピーディに対応する必要が出たという事だろう。

ここ日本においても、脱ハンコやテレワーク推進などいろいろな挑戦と変化があった。

今ではオンライン会議も当たり前となり、各企業で働き方やオフィスの在り方を再定義している最中だろう。

クラウドを利用したデジタル化は、こうしたバックオフィス系の仕事に留まらず、企業のバリューチェーン内でも、新しいビジネスモデルを産み出す事に最適だ。

そうした様々な変化を起こす上で、クラウドを使う事がとにかく早く、新しい事を実現できると言っているのだろうと私は理解した。

確かに、考えてみれば昔はシステム導入の際にサーバーを購入し、その配送を待ち、設置、インストールなどを行い、さらには自社ソフトウエアを1から開発し、導入後に至っては監視担当者を決め、空調を管理し・・・と考えたくもないようなリソースを注ぎ込んでいた。

当時を否定するわけではないが、今の時代から見ると生産性低い上に、無駄な時間と労力をかけすぎではないか?と思わざるを得ない状況だ。

世界はクラウドを採用し、企業の競争優位性を築く方向へシフトしている

こんなリソースの使い方は1日も早く止め、クラウドを採用し、企業の競争優位性を築く方向へシフトしようと世界中が動いているのだと理解して良いのではないだろうか?

その企業活動を後押しするために、IFSもCloudの研究開発へ投資をし、世界のオペレーションと最新技術を取り入れ、製品化し、今日の発表に至っている!はずだ。

「IFS Cloud」とは?

では、IFS Cloudがどんなものなのか?Darren CEOは続けた。

IFS Cloudは、既存の深い業界の専門知識を損なう事なく、我々のすべての製品を統合し、1つのクラウドプラットフォーム上に構築しています。
IFS Cloudは、機能を損なう事なく、クラウドまたはオンプレミスで導入可能です。これは同じ製品であり、全体的に同じ素晴らしいユーザー体験を提供します。

引用:IFS Cloud 21R1 3/10-11公開 オンラインイベント動画より

ERP・EAM・FSMが同じ場所で使える

おぉ。「すべての製品を統合」という事は、IFSが今まで持っていたERP・EAM・FSMが同じ場所で使えるという事なのだろう。(これはこの後のDEMOで明らかになる)

クラウドが早くて良いとあれだけ言っていたのに、何故まだOn-Premiseがあるのか。

やはりこれは企業によってはその選択肢が必要な業種があるという事の裏返しなのだろう。

私も個人的にはクラウド推しだが、どうしてもセキュリティを担保しなければならない業種はあるだろう仕方ない。

基幹システム故、その選択肢を残したのは、選べれるために賢明な判断なのではないかと思う。

その後も、企業を成功へ導くためのDXの必要性などを語りバトンタッチ。

冒頭紹介されていた、CPOのChristian Pedersen氏。

いろいろな方にバトンタッチされていきながら、

AI、機械学習、IoT、AR、デジタルツイン…など、本格的にはじまるのでしょうか?

引用:IFS Cloud 21R1 3/10-11公開 オンラインイベント動画より

と投げかけ、それを実証してみせていくストーリに展開していく。

いよいよだ。ここから面白くなってくる。動画の23分を過ぎたあたりから。

IFS Cloudを使ったデモの始まり

CIMCORPという会社が先駆者となりIFS Cloudを使った業務革新した様子のデモを展開していく。

ちなみに、CIMCORPはロボティクスオートメーションなどを展開しているフィンランド本社のグローバルカンパニーだ。

フィンランドと言えば、スタートアップベンチャーが集う欧州最大級のイベント「スラッシュ」発祥の地。

やはりテクノロジーへの投資に積極的なのだろうか。

デモのシナリオ

CIMCORPという企業がどうIFS Cloudを使っていくのか紹介されていく。シナリオはこうだ。

  • CIMCORPのピッキングソリューションを使用しているお客様ビジネスが急成長中。
  • お客様はピッキングの際に掴む部分となるグリッパーをより高速なロボットピッキングへのアップグレードを行っている。
  • アップグレードが予想よりも早く進んでいるため、スケジュールを前倒してできるか確認したい。

という所から、スタートする。

チャットボットと会話、工場の生産管理側へ

お客様役が、まず何をしたかというと、CIMCORPサイトへ行き、チャットボットと会話を始め、

2月1日だった納入予定日を、1月29日に変更する。

ここで、工場の生産管理側へ変わる。

IFS Cloudの画面だ。

基本的には、Application 10の AURENAが踏襲されていて、Lobbyもそのまま使えそうだ。

彼女は、このロビーの下のグラフを見て、ワークセンターのオーバーロードを確認する。

次にスケジューラー画面へ飛び、画面下のガントチャートのバーをマウスアクションのドラッグで2月1日から1月29日へ変更している。

製造オーダーの日付変更だ。これは今までできなかった事だ。

本当にこんな事ができるようになっているのだとしたら生産スケジューラはもういらないぞ。

これ一本に統一できるのではないかと思う。

出荷や生産をリアルタイムで同期

そして彼女は続ける。

これでオーバーロードはなくなり、お客様の要望に応えられると。

新しいIFSのロゴと共に、”Moment of Service”というスローガンが提唱されているが、まさにこういう瞬間を表現しているのだろう。

お客様が必要な時に、必要なものを届けられるように出荷や生産をリアルタイムで同期する。

批判を恐れずに言えば、こんな企業もまだまだ多くあるはずだ。

本社の営業担当は、このお客様の要望変更を受付後に、地方や海外にある工場へ連絡し、製造リーダーが生産計画を確認し、リーダーは現場へ確認し、その上で本社の営業へ返答し・・・と、何日かかるんだ!と突っ込みたくなるようなオペレーションになってしまっている状況もあるのではないだろうか。

長い年月と共に、気づいたら競争力を削ぐひどいオペレーションになっていたなんて事はよくある事だ。

こうした会話は、将来お客様とチャットボットが勝手に会話してくれる世界になりそうである。

さらに彼女は続ける。

もう一つ、出荷と同時にやらなければいけないのは技術者の派遣だ。

ここでFSM(Field Service Management)が登場する。

FSM(Field Service Management)の登場

AI Powered Schedulerでテクニシャンのスケジュールを確認。オレンジがワーニングのようだ。
これを調整する。ここは流石に人間の仕事なんだな。

どんなルートで行くのかは、当然、自動計算だ。

え!?本当にこんな世界で仕事してるのか?AIが最適なルートとスケジュールを提案している。すごいぞ。

私も配送ルートを紙で並べ替えているオペレーションは見た事ある。それは手書きの紙だったが。

技術員の画像へ

まだまだ続く。

次は、技術員の画像へ移る。現場へ行った技術員は、手にiPhoneを持ってる。

ここにWork Order(作業指示を確認できるアプリ)が載っている。

彼は、グリッパーの交換手順で困ったので、先輩に電話して聞くというシナリオだ。

IFS Cloud上で、Mobile とPCで通話をしている。もはやERPではない。
新たなコミュニケーションのプラットフォームだ。

Augmented Reality(AR:拡張現実)の登場

それだけではない。
技術員が映す画像の中に、先輩の指が移り込んでいる。

Augmented Reality(AR:拡張現実)の登場だ。大変な世界になっている。

これは是非動画で見ていただきたい。

これは、IFSのRemote AssistanceというAR技術を使用した機能だ。

あくまでもIFS Cloudの紹介なので、技術員が実際に何を交換したのかはよくわからないが、次にCustomer Service Managerの女性へ移る。

北欧の素敵なログハウスだ。おいしそうなコーヒーの湯気が映っている。在宅ワークをしているのだろう。

EAM(Enterprise Asset Management)の登場

そして彼女が見るのは、Asset Management。 EAM(Enterprise Asset Management)だ。

客先にあるマシンがIoT接続されていて、稼働状況をモニターできる。

この稼働が下がれば、即座にお客様をフォローするサービスを提供するのだろうと容易に想像できる。

しかもそれを全世界で繋げるのだ。

AIにIoTにARに、最新技術がたくさん組み込まれたIFS Cloud。

ビジネス上、どんな変革をもたらす事ができるか是非皆さんのビジネスに置き換えて想像を膨らませてはいかがだろうか。

最後、CPOクリスチャンの言葉

最後に、CPOクリスチャンの言葉。

お客様のビジネスをコーディネートし、最高の状態で サービスを提供するために、サービスを中心に据え、お客様に価値をもたらす方法を再考しました。

引用:IFS Cloud 21R1 3/10-11公開 オンラインイベント動画より

本当に、ものすごい時間をかけて再考していると思う。

実際に現場でどこまでできているのかは、この目で確認していない以上確証はない上に、AI、IoT、AR など新しい技術用語も普段から目にはしているので、言葉そのものに驚きはない。

しかし、少なくとも、こうした技術をふんだんに取り入れた、現実のようなストーリームービーをお客様と共同で作成・撮影するだけでも相当な活動資金と時間が必要なはずだ。本気で取り組んだのだろうと感銘を受けた。

世界の仕事は、本当にこのように変わっていくか。もうその準備は整っている。

マーケットの反応を期待したい。

<出典>文中の画像は、以下のURLにて公開されている動画から引用しております。

https://www.youtube.com/watch?v=aSAVFsT-EwE

以下のサイトより、さらに詳しい情報取得も可能です。
IFS Cloud Launch Event | IFS

 

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