リードタイム短縮でコスト削減&業績向上、実現する方法を解説

  • 2022年11月21日
  • 2024年8月7日
  • 製造業

リードタイムを短縮できれば、的確な生産計画の策定・業績向上が可能です。

ただ、業務効率向上のためリードタイム短縮に取り組むものの、方法を間違えているケースも。

本記事では、リードタイムを的確に短縮する方法を解説します。

リードタイム短縮を推進する際の注意点とあわせてご覧ください。

リードタイム短縮の目的は「時間短縮・利益向上」

リードタイム短縮を簡単に説明すると、各工程のムダを洗い出してそぎ落とすこと。

結果的に作業効率が向上・過剰在庫の減少・収益向上を見込めます。

リードタイムは、製品の受注から納品までの期間を表し、製造業では以下4つの工程に分別されます。

  • 開発リードタイム:製品の開発にかかる時間のこと、企業によっては開発がない場合もある
  • 生産リードタイム:定数の生産に必要な時間のこと
  • 調達リードタイム:製品に必要な資材の調達に必要な時間のこと
  • 配送リードタイム:製品完成後、顧客に届けるまでの時間のこと

外注している製品がある場合は、外注してから自社に製品が届くまでの期間も含めて考えましょう。

【工程別】リードタイムを短縮する方法とは?

「リードタイム短縮を図ろうとしても、どこから手を付けて良いかわからない」という声を耳にします。

本章では、工程ごとのリードタイム短縮方法を解説します。

ポイントを押さえつつ、的確なリードタイム短縮にお役立てください。

1.開発リードタイム短縮は「共通化」がポイント

開発リードタイム短縮のポイントは、製品に使用する部品やサービスの共通化がポイントです。

部品やサービスの共通点が増えると、新たな仕組みや部品の開発にかける時間が必要なくなるため、開発リードタイムが短縮されます。

部品・サービスの共通化は、調達リードタイムの短縮も可能です。

同一部品の発注が増え、新規受注先を探す手間が減少。

大量に発注すると、資材調達のコストダウンにもつながるでしょう。

部品・サービスの共通化は、開発部門以外の作業効率化にも貢献します。

2.生産リードタイムは「現場目線」を忘れずに短縮

生産リードタイムの短縮に有効な手段は、おもに以下の4つです。

  1. スタッフの増員・整理・配置変更
  2. 不良品発生率低下対策の実施
  3. 製造機器の更新(新型導入・別メーカー品購入の検討)
  4. 生産計画の再策定

上記のほか、生産工程に合わせて、工程間・作業ごとのリードタイム短縮を実施しましょう。

ただし、製造現場目線を忘れてはいけません。

リードタイム短縮は大切ですが、製造現場が動きにくい環境になってしまっては本末転倒です。

生産リードタイムは、現場の意見ありきで考えるべきでしょう。

3.調達リードタイム短縮は「企業間調整」が必須

調達リードタイムは、取引先企業に発注計画書を提出してもらい、短縮可能なポイントを探ることで解決可能です。

短縮できるポイントを把握後に、取引先企業に改善案を持ちかけます。

企業間の関係が悪化しないよう注意が必要ですが、受注リードタイムが短縮できれば、高効率な生産が可能に。

自社で原料や部品生産を行っている場合、原料調達についての改善点を探りましょう。

改善点をリストアップ後に、調達計画を見直します。

4.配送リードタイムの短縮は「事前準備」を見直すべき

配送リードタイムの短縮に有効な手段は以下の2つです。

  • 配送ルート・配送手段の見直し
  • スピーディな発送が可能な環境構築

運送業者の再検討・比較をする際は、運送コストのほか、提案力にも注目しましょう。

提案力が高ければ、より効率的な配送ルートを提案してくれる可能性があるためです。

スピーディな発送が可能な環境構築では、梱包をはじめとした出荷準備がしやすいよう、倉庫管理を見直します。

商品の配置場所を変更する・人員を増やすなど、製品積み込みまでの時間を短縮できるよう整えてください。

リードタイム短縮、3つのメリットとは?

リードタイム短縮に取り組む前に、メリットを把握しておきましょう。

リードタイム推進メンバーや現場職員に対して、メリットを具体的に説明できれば、モチベーションアップが可能です。

メリット1.リードタイム短縮で時間・在庫コストを削減可能

リードタイム短縮は、作業効率と納品速度の向上が見込めます。

製品にかかる時間だけでなく、過剰在庫による在庫管理コストの軽減も可能となるでしょう。

たとえば、機会損失リスク対策としての在庫です。

リードタイムが短縮され、スピーディな生産が可能になれば、確保すべき最低限の在庫量は減少します。

在庫量に比例して減少するのは、在庫管理コストです。

在庫管理業務がスリムになり、業務効率化にも期待できます。

メリット2.キャッシュフロー改善にリードタイム短縮が有効

リードタイム短縮は、より多くの製品受注を可能にします。

リードタイム短縮により、受注から納品までの期間が短縮され、工場の稼働にゆとりが生じるためです。

中長期的な予測ができれば、工場の稼働時間を変えずに製造する製品を増やせるでしょう。

在庫減少・受注量増加といったメリットは、キャッシュフロー改善に大きく貢献します。

メリット3.リードタイム短縮が他社との差別化につながる

リードタイム短縮により、顧客満足度が向上する可能性があります。

リードタイム短縮は、高品質な製品のスピーディな提供を可能とするためです。

たとえば、同じ製品を同価格で提供する企業が複数あったとします。

品質も同程度と仮定した際に、競争力となるのは納期ではないでしょうか。

他の条件が全て同じであれば、よりスピーディに納品してくれる企業を選ぶのは当然。

リードタイム短縮は、他社との差別化を図り、競争力を身に付ける手段となり得ます。

リードタイム短縮で発生しがちな4つの注意点とは?

リードタイム短縮は、計画段階から効果が実感されるまで、手間と時間を要する取り組みです。

せっかくの取り組みをムダにしないためにも、注意点を押さえておきましょう。

注意点1.リードタイム短縮が目的化

リードタイム短縮は、計画・実施・効果検証・分析といった一連の流れを繰り返すべきです。

しかし、リードタイム短縮による課題解決を焦るあまり、効果検証や分析がおろそかになるケースも。

リードタイム短縮が目的とならないためのポイントは、下記の3つです。

  1. リードタイム短縮はPDCAサイクルを用いて継続する
  2. 段階を踏まえたリードタイム短縮を計画する
  3. リードタイム短縮の目標を数値化する

それぞれのポイントに注意しながら、リードタイム短縮による時間削減・利益向上を目指しましょう。

注意点2.非現実的なリードタイム短縮

工数削減によるリードタイム短縮は、製造現場と蜜な連携が必要です。

製造現場の動きを把握しないまま工数削減を実施すると、無理が生じて不良品・事故発生リスクが高まるためです。

工数削減を行う前に、製造現場に対して、リードタイム短縮の主旨を説明するのもポイント。

取り組みの内容やメリットについて、あらかじめ説明しておけば、現場の協力が得られやすいでしょう。

経営・管理・現場が三位一体となってリードタイム短縮に取り組めば、非現実的な工数削減となるリスクが大幅に減少します。

注意点3.小ロット生産はリードタイムがリスクになる可能性も

リードタイム短縮により在庫数を減らした場合、突発的なトラブルに対処しきれない可能性があります。

特に小ロット生産では、在庫量が確保できず、機会損失するリスクが増大しやすい点に注意。

国土交通省「国土交通書白書 2020 第1節 我が国を取り巻く環境変化」によると、日本は洪水や土砂災害が起こりやすいことが判明しています。

洪水や土砂災害が発生すると、資材発注先や外注先との連携が途絶える事態が想定できます。

小ロット生産では生産数が少なく、在庫が確保しにくいぶん、リードタイム短縮によるデメリットに注意が必要でしょう。

注意点4.リードタイム短縮が生産管理の主幹業務を圧迫

生産管理部門は、製品の受注から納品までの全工程に携わる仕事です。

つまりリードタイム短縮には、生産管理部門の力が不可欠ということ。

しかし、生産管理の業務は煩雑です。

ゆえに、リードタイム短縮のような新たな取り組みを検討するにあたり、生産管理の主幹業務が圧迫されないよう配慮すべきです。

生産管理の業務効率化・業務負担軽減ができる道を探しながら、主幹業務に支障が出ないよう支援しましょう。

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リードタイム短縮の効率的な推進を検討したい方へ

本記事では、リードタイムを短縮する方法を解説しました。

リードタイム短縮は、複数部門の業務効率・業績の向上が見込める取り組みですが、手間と時間がかかり頓挫してしまうことも。

リードタイム短縮が困難に思えた場合は、システムの刷新を検討してみてはいかがでしょうか。

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