製造業「原価率」計算方法とは?目安や高いときの改善策も解説

製造業の原価率の的確な管理は、なかなか難しいものです。

本記事では、原価率の基礎知識とともに原価率が高い場合の対策をまとめました。

業績に伸び悩んだ際は、原価率に着目することで改善への道のりが見えるかもしれません。

原価率の最適化に役立つツール情報とあわせてご覧ください。

原価率とは「製造業の売上に直接かかった費用」のこと

「原価率=材料費」ではありません。

材料費も原価率に含まれますが、ほかにも人件費・経費・外注費などが含まれます。

人件費は、製造部門で直接かかった費用でなければならず、経費には光熱費も含まれるため複雑です。

原価率を正確に求めるためには、日ごろの数値入力を正確にできているかがポイントになります。

しかし、そこまでして原価率を求める理由は何なのでしょうか。

理由は、原価率を原価見直しのきっかけにして、より大きな業績を上げるためです。

売上に対して原価がどの程度を占めるのかを把握できれば、より大きな企業体を目指すことも可能です。

製造業の原価率計算に必要な2ステップとは?

製造業の原価率は、以下の2ステップで求めます。

各ステップを見てみましょう。

ステップ1.製造原価を計算

製造原価を求めるための計算式は以下の通りです。

製造原価=総製造費用+期首の材料・仕掛品の棚卸高ー期末仕掛品・未使用の材料費

製造原価を求めるための数値管理に、エクセルを使用している企業が多く見受けられます。

しかし、エクセルには「製造業の生産管理を効率化!エクセルに頼らず属人化を防ぐ方法とは」で解説している通り、属人化リスクに注意が必要です。

同時に、入力した数値の多重チェックが必要になり、労働時間の増大にも気をつけましょう。

ステップ2.製造業の原価率を計算

原価率の計算式は以下の通りです。

原価率=製造原価÷売上高×100

製造業の原価率は、どの値を目安にしていいのかと疑問に感じる方も多いでしょう。

原価率の目安について、次章で詳しく解説します。

製造業の原価率は80.8%が目安

画像引用:「2021年 企業活動基本調査」

経済産業省の「2021年 企業活動基本調査」によると、製造業の原価率は80.8%でした。

製造業は、他業種と比較して、原価率が高い傾向にあります。

これは、機材への投資や工場の運用費などが多く、減価償却費も考慮すると、経費削減が困難なためです。

原価率が高い製造業ですが、逆を言えば、製造業には原価率を改善する余地があるということ。

原価率が高い際の対策について、次章で解説します。

製造業の原価率が高い!7つの改善策とは?

製造業の原価率の代表的な改善策は、以下の7つです。

上記の各改善策の内容を、詳しくみていきましょう。

原価率改善策1.製造業の在庫管理を最適化

製造業の在庫は、素材・仕掛品・完成品の3種類があります。

特に、調達リードタイムが長い部品が欠品した場合に備えて、過剰在庫を抱えるケースでは要注意です。

需要変動により、製品が在庫として残ってしまうリスクが想定できるためです。

さらに、保管する環境によっては、劣化する可能性がある素材にも注意しましょう。

保管状態・在庫管理を最適化する体制づくりがポイントとなります。

原価率改善策2.製造にかかる仕入れ先の見直し

企業によっては、仕入れ先を固定化しがちなケースが見受けられます。

仕入れ先の再検討は時間と手間がかかるため、生産管理業務の負担になってしまうことも。

ただ、売上向上を目指す上では避けて通れない部分です。

原価率改善に着手する際は、できる限り生産管理業務を効率化し、仕入れ先の再検討に使う余裕を作っていきましょう。

原価率改善策3.製造に必要な仕入量の見直し

素材の過剰仕入れは、リソースを活用しきれず需要予測にズレが生じているケースに見受けられます。

季節ごと・製品ごとに売り上げた量を記録・蓄積し、データ分析を実施し、より正確な需要予測を立てましょう。

生産管理システムのような基幹システムを導入するのもおすすめです。

マンパワーの削減にもつながり、より効率的で確実な需要予測を実現します。

生産管理システム導入を検討する際は「クラウド型生産管理システムを徹底比較!導入時のポイントも解説」を参考にしてみてください。

原価率改善策4.製品の販売価格を再検討

材料費が高騰したにも関わらず、販売価格を据え置き、社員のボーナスをカット。

結果、社員が減ってしまえば、工場が稼働できなくなるのは明白です。

特に最近では、世界情勢の変化によって、材料費は高騰する傾向が顕著です。

それに伴う製品価格の高騰は、取引先や消費者に嫌われがちで、価格の据え置きを検討する企業も少なくないでしょう。

しかし、経営が立ち行かなくなっては本末転倒。

製造業のサービス化を推進し、商品に新たな価値が加われば、製品の値上げをしやすくなります。

製造業のサービス化戦略については「製造業のサービス化「サービタイゼーション」事例4選!必要性と戦略を解説」をご覧ください。

原価率改善策5.製品の販売方針を見直す

「気に入ったモノは長く使いたい」と感じる方が多く、より高品質な製品が求められています。

そうした状況下で、正反対の意見を耳にした経験はないでしょうか。

たとえば、出先でボールペンを忘れたことに気づいた場合。

このシーンでは、長く使うボールペンではなく、とりあえず数回使えれば十分なボールペンが求められます。

つまり、製造業ではより高品質な製品を求めがちですが、逆パターンの戦略も効果的ということです。

消費者には「品質が多少低くても、安ければいい」という考え方もあります。

製品の販売方針見直しが、原価率ダウンに効果を発揮します。

原価率改善策6.製品をセットで販売する

セット販売はバンドル販売とも呼ばれ、人気の製品と不人気の製品をセットで販売する手法です。

原価率の高い製品と低い製品を、セットで販売すると、より効率的に売上化できます。

ただし、セット販売にはユーザーニーズの適格な把握が必要な点に要注意。

「組み合わせる製品は何でもいい」のではなく、製品をセットにした結果「いかに付加価値が向上するか」を検討するのがポイントです。

セット販売は、的確なニーズ把握ができれば、原価率低下に大きく貢献する手法になりえます。

原価率改善策7.生産ロット上の不良を減らす

生産ロット上の不良品は、機械トラブル・不適切な業務フロー・ヒューマンエラーなどが原因です。

不良品の原因解明・改善には、工場の可視化が最も効果的。

工場を可視化していれば、いつ・どこで・なぜ・何が起きたのかが一目瞭然なためです。

しかし工場の可視化ができていない場合、不良品が発生する原因がわからず問題が放置されてしまうことも。

なかでもヒューマンエラーによる問題は解決しにくい部分も多くあるため、原価率という観点以外から見ても大きな課題となっています。

詳しくは「製造業のヒューマンエラー対策とは?原因からわかる解決策を解説」をご覧ください。

製造業の原価率を人件費から見直し可能、ERPとは?

ERPとは、社内の情報を一元管理し経営最適化に役立つ基幹システムです。

導入方法はおおきくわけて2種類あり、どちらも原価率の低下に大きく貢献します。

関連記事:「ERPはビッグバンアプローチor部分導入、どちらが良い?選び方も解説」

それでは、ERPができること・効果についてみていきましょう。

ERPで製造業の業務を効率化、原価率低下につながる

ERPは、複数部門での数値共有が可能です。

部門ごとに異なる基幹システムを導入している場合、原価率計算の前に、数値のすり合わせが必要です。

しかし、ERPを導入すると、数値をすり合わせる必要がなくなります。

各部門で入力された数値は、ERPが集約・すり合わせを実施。

より効率的かつ正確に、原価率を把握できます。

さらに、部門間の情報共有がシームレス化され、業務全体が効率化されるのもERPの大きなメリットです。

各部門に業務上のゆとりが生まれれば、これまではできなかった仕入れ先の再検討もしやすくなるでしょう。

ERPで製造業現場を可視化、不良を減らして原価率低下

ERPの導入により、工場の可視化が可能です。

これまでは、不良の原因解明には、発生した状況の整理からスタートしなければなりませんでした。

しかし、ERPによって工場が可視化されていれば、発生した原因の分析からスタートできます。

そこに、スムーズな情報共有が加わる様子をイメージしてみてください。

不良の原因を素早く解明、原因を素早く周知できれば、不良品の効率的な削減が可能です。

ERPで製造業のリソース活用、原価率分析をスムーズに

原価率を求めるのは大切ですが「なぜ、その原価率になったのか」という分析は、より重要度が高い作業です。

そして、精度の高い分析にはリソース活用が欠かせません。

しかし近年ではデータ量が増え続け、ビッグデータの解析能力を持つ基幹システムが求められています。

ERPはビッグデータ活用にも対応しているため、導入により原価率・社内リソースの有効活用を可能にします。

製造業の原価率が高いとお悩みの方へ

今回は、下記3つのポイントをお伝えしました。

  1. 製造業の原価率は、他業種と比べて高い
  2. 製造業の原価率が高いときに行うべき対策がある
  3. ERPの導入が原価率低下に効果的

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