ディスプレイによる工場の見える化は、管理側と現場側の双方の連携を深め、よりスムーズな業務効率化に役立ちます。
ディスプレイでの見える化により、管理側は作業進捗・指示出しがスムーズにでき、現場側は作業ペースと指示をリアルタイム確認が可能です。
本記事では、工場の見える化の基礎知識・ディスプレイによる工場の見える化を解説します。
工場にディスプレイを設置する際の注意点とあわせてご覧ください。
工場の見える化の基礎知識
本章では、以下3つの視点から工場の見える化について解説します。
各項目の詳細を見てみましょう。
工場の見える化とは生産業務の改善が目的
工場の見える化は、生産現場や生産体制に関する情報を可視化し、生産業務の課題を把握して業務改善につなげるのが目的です。
たとえば、生産ラインごとの業務負担を可視化する場合を考えてみます。
業務負担が少ない生産ラインがわかれば、生産工程の見直しによる業務効率化が可能となり、より多くの仕事を受注できるでしょう。
このように、工場内の見える化は業務改善を通して収益性の向上も見込める取り組みなのです。
工場の見える化と見せる化は目的が異なる
業務効率化が目的の工場の見える化に対して、工場の見せる化は業務に関するデータをいつでも確認できる環境構築が目的です。
工場の見せる化はモニタリングが容易になり、データを収集できる一面があるものの、工場全体の業務効率化には不向き。
よって、生産ラインや工場全体の状況を改善するためには「見える化」に取り組むことが大切です。
工場の見える化でディスプレイは「見せる化」を担う
工場内のディスプレイ設置は「いつ・どこで・何が起きているか」といった情報を、管理側・現場側の両方が把握しやすくする方法です。
管理の視点では、モニタリングの意味合いもあるため、工場内のディスプレイ設置は見せる化の役割を担います。
ここで「前章では見える化が大切と言っていたのに、なぜ見せる化につながるディスプレイ設置なのか」と疑問に思われるかもしれません。
ディスプレイによる見せる化は、管理側の指示出しがスムーズになるほか、現場のリアルタイムな状況把握が可能。
一方で、工場の見える化には、蓄積されたデータ・リアルタイムな情報も必要です。
つまり、ディスプレイ設置による見せる化は、リアルタイムのデータを確認を可能にする取り組みなため、見える化のより効率的な推進に役立つ取り組みとなります。
工場の見える化でディスプレイを設置する5つのメリット
工場の見える化を目的としたディスプレイ設置では、以下5つのメリットが得られます。
本章では、工場にディスプレイを設置した際のメリットを具体的に解説します。
メリット1.ディスプレイで目標確認がスムーズに
ディスプレイ設置は、現場スタッフのモチベーションを向上させる効果があります。
工場では、製品が必要数に達するまでは同一作業の繰り返しになります。
そして、終わりの見えない同一作業は、ときにストレスの原因に。
ディスプレイで必要数までに必要な作業量が確認できれば、現場スタッフは目標が立てやすくなり、ストレス軽減・モチベーションアップの効果に期待できます。
メリット2.ディスプレイにより生産効率向上
ディスプレイで状況把握が容易になれば、管理側の指示出しが的確になり、生産効率が向上します。
管理側は、ディスプレイに表示された内容からリアルタイムな情報を得られ、作業遅延・トラブルなどの発生を速やかに把握。
迅速な対応が可能となり、納期遅れの原因に対して早期の対処が可能になります。
生産計画を見直す・生産を止めるといった判断が素早くなるため、工場全体の生産効率向上にも期待できるでしょう。
メリット3.ディスプレイで構内マップが一目瞭然
工場内の設備に故障が発生した際にディスプレイがない場合、故障した機器の場所を現場スタッフに聞き、どこの場所に設置された機器なのかを確認する必要があります。
一方で、ディスプレイで構内マップが確認できる場合は「機器が故障した」という情報とともに「どこの機器が故障したか」を把握可能。
現場からの報告を待つ時間がなくなり、機器を修理する間に生じる、工程の待ち時間を減少できます。
したがって、ディスプレイ設置はムダな人件費削減に効果的です。
メリット4.全体連絡をディスプレイで効率化
工場内にディスプレイを設置すると、内線を使用して情報を伝達する必要がなくなります。
伝達が必要な情報はディスプレイに随時表示でき、現場スタッフに速やかに通達。
又聞きによる伝達ミスのリスクがなくなるため、情報伝達の確実性が向上します。
ディスプレイを活用した非対面のミーティングが可能なのもポイントです。
Webミーティングツールを活用すれば、会議室への移動の手間なく全体ミーティングを開催できます。
メリット5.ディスプレイで工程ごとの連携力向上
製造現場では、作業に準備を必要とする製品もあり、そういった場合は工程間の連携次第で作業速度が低下することもありました。
しかし、ディスプレイで作業進捗が把握できれば、準備開始のタイミングを最適化可能に。
工程間の連携力が自然に強化されるため、業務効率・生産性の向上につながります。
工場の見える化、よくある事例(大型ディスプレイでの状況把握)
本章で紹介するのは、工場内の機器配置状況・生産状況・進捗状況の把握に課題を感じ、お客様に対して工場内の的確な案内ができていない企業がディスプレイを導入した事例です。
事例▼
ディスプレイによって、生産ラインごとの進捗状況や機器の状況を見える化し、管理・現場に必要な情報のリアルタイム共有が可能になりました。同時に、最新の設備マップが表示されるため、来客時の対応がスムーズに。
また、タッチパネルモニタを導入したのが、工場の見える化のメリットをより際立たせています。タッチパネルで工程ごとの進捗や作業者別作業工数を見える化したため、より詳細なデータの収集が可能に。
結果的に精度の高いデータ取得が可能となり、さらなる作業効率・生産性の向上に期待できます。
ディスプレイ設置で工場を見える化する際の3つの注意点
工場内にディスプレイを設置し、生産ラインや設備状況の見える化を図るときに注意すべきは以下の3点です。
工場の見える化に取り組む前に、チェックしておきましょう。
注意点1.ディスプレイ設置・見える化の目的を明確化
工場内にディスプレイを設置しただけでも、生産管理や生産現場の作業効率化に期待できます。
しかし、ディスプレイの設置にデータ収集の目的があることを忘れてはいけません。
工場の見える化は、ディスプレイをはじめとした機器からのデータがあって初めて成り立ちます。
そのため、ディスプレイを設置しただけでは十分なメリットを得られず、費用対効果が悪化するケースも。
ディスプレイ設置は、工場の見える化に必要な取り組みのひとつです。
ディスプレイを設置しただけで終わらず、必要なデータ収集と分析を行い、課題の洗い出しと解消に尽力しましょう。
注意点2.工場見える化・ディスプレイには効果分析と改善が必須
ディスプレイの設置や工場の見える化は、短期的な取り組みではありません。
工場の見える化は長期的な取り組みであり、取り組みによって得た結果の分析と改善を繰り返すからこそ、より大きな効果を得られるのです。
取り組みから得られた効果を具体化するためには、当初の目標を数値化するのがポイント。
目標とする数値は、業績評価の指標としても活用されているKPIが妥当でしょう。
目標値が具体化されていれば、より効果的な改善が可能です。
なお、KPIを設定するときのポイントについては「工場見える化が必須な理由とは?ポイントやIoT導入フェーズも解説」でも解説しています。
注意点3.ディスプレイによる工場見える化は省エネ対策が必要
工場内に設置するディスプレイは大型となるため、消費電力の確認を怠ってはいけません。
たとえば、スマホ・TV・パソコン周辺機器の総合メーカーI-O DATA機器が販売する液晶ディスプレイです。
同社サイトの「省電力なバックライト採用モデルを選ぶ」では、40%以上の省電力化に成功した液晶が掲載されています。
生産状況の見える化に役立つディスプレイは、長期的に使用することが大前提。
よって、工場内に設置するディスプレイは、ランニングコストを軽減しやすい省電力タイプを選ぶと良いでしょう。
ディスプレイ設置・工場の見える化でお悩みの方へ
本記事では、工場の見える化・ディスプレイに関する3つのポイントをお伝えしました。
- 工場の見える化にはディスプレイによる見せる化が有効
- 工場内のディスプレイ設置は期待できるメリットが多い
- 工場の見える化の成功には、具体的な目標値の設定が大切
工場内のディスプレイは、様々な業務の効率化に貢献しますが、効果は工場内と工場に携わる部門のみ。
本格的にDXを推進する場合は、基幹システムの老朽化にともなう検討も必要です。
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