中小企業にDXが必要な理由とは?デジタルトランスフォーメーションの意味や利点を解説

  • 2021年7月19日
  • 2022年10月12日
  • DX・IT

IT人材不足と基幹システム老朽化により、2025年以降の経済損失額が年間約12兆円にものぼるといわれる昨今。

DX推進を検討するものの、なかなか踏み出せない中小企業が多く存在します。

中小企業こそDXが必要な時代であり、生き残るためには人々の変化するニーズにあった製品・サービスの提供が重要です。

この記事では、中小企業がDXに取り組むべき理由と利点を解説します。

中小企業のDX事情

中小企業にとってDX推進は必要不可欠であるものの、導入企業が少ないのが現状です。

DX推進が必要と考える経営者は4割であることに対し、DXに取り組む中小企業は3割弱という調査結果がありました。

ウェブアプリ開発を手掛けるリトルソフト(東京・豊島)の調査によると、中小企業のうちDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組んでいるのは3割弱だった。取り組みを始めた企業は少ないものの、販売促進や顧客管理分野でデジタル化への期待が高まっている。DXの推進が必須だと考える経営者は4割にのぼった。

引用:中小企業、DXへの取り組み3割 民間調査|2021年7月2日付 日本経済新聞朝刊

2025年には、21年間稼働する既存システムが6割を超える「2025年の崖」問題が待ち構えています。

中小企業は、保守費用の膨大防止に加え、システム活用不能の状況を避けるため、今一度DX推進を深く考えるべきでしょう。

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?

そもそも、DXとは何か分からない方もいるでしょう。

DXの意味を理解しないと、何に取り組めば良いのか分からないですよね。

ここでは、DXの意味と経済産業省が発表している定義を紹介します。

DXの意味

DX(デジタルトランスフォーメーション)は、スウェーデンの大学教授エリック・ストルターマンが2004年に提唱した概念です。

DXの意味とは、IT技術の浸透が人々の生活をより豊かに変化すること。

つまり、アナログだった製品がデジタルに変わることで利便性が上がり、生活水準が高くなることです。

広義でDXとは、人々の生活をIT技術で変革することですがビジネスでは少し意味が異なります。

経済産業省の「DX推進ガイドライン」における定義

ビジネスでDXとは、データやデジタル技術によって新しい製品やサービスを生み出し競争優位性を確立することです。

経済産業省が2018年に発表した「DX推進ガイドラインVer.1.0」では次のように定義しています。

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。

引用:「DX推進指標」とそのガイダンス 令和元年7月|経済産業省

顧客データの収集により、社会のニーズが分かります。

企業は、ニーズに合った製品やサービスを提供できれば売上が上がり競合他社と差別化できるでしょう。

IT技術の発展により、今後さらに企業間の競争は激しくなります。

そのため、DXへの取り組みは必要です。

中小企業こそDXに取り組むべき3つの理由

DXへの取り組みは、大企業に限ったものではありません。

中小企業こそDXに取り組むべきでしょう。

なぜなら、大企業に比べて中小企業は事業や組織が複雑ではないためDXに取り組みやすく成果が出やすいためです。

中小企業がDXに取り組むことで大きな経済損失を防止できます。

では、中小企業になぜDXが必要なのか見ていきましょう。

中小企業DX理由 1.レガシーシステムから脱却

レガシーシステムがある中小企業は、ビジネスの柔軟性に欠けます。

レガシーシステムとは、従来のシステムが老朽化しブラックボックス化したものです。

システム構築が複雑化しブラックボックス化しているため、新規セキュリティや情報に対応できない可能性があります。

また、既存システムを操作できる人材がいなくなるとシステム自体の維持が困難です。

老朽化したシステムの運用・維持にはコストも掛かります。

ビジネスへの対応力が鈍くなり生産性が下がるため、レガシーシステムから脱却することは重要です。

中小企業DX理由 2.IT人材の確保

現在、日本の労働者が減少しています。

今後、老朽化したシステムの運用・維持ができる人材がリタイアすると柔軟に対応できなくなるでしょう。

中小企業ではITや社内システムに精通した人材が必要です。

しかし、最新のIT技術を学んだ人材でも老朽化したシステムの保守を担当しては、力を活かせません。

中小企業では、IT人材の確保や育成が重要です。

中小企業DX理由 3.起こりうる経済損失の防止

経済産業省は、2018年に「DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~」を発表しました。

資料には、2025年までに日本企業がレガシーシステムを改革せずデジタル化に取り組まなければ年間12兆円もの経済損失が生まれると記載。

DXレポートによると、ユーザ企業は膨大なデータを活用できず、デジタル競争の敗者となる恐れがあります。

2025年の経済損失は、大企業だけでなくレガシーシステムを利用し続ける中小企業にとっても大きな問題です。

そのため、デジタル化への取り組みが重要といえます。

DXとデジタル化は、混同しがちです。

DXとデジタル化の違いについて詳しく知りたい方は下記の記事をご覧ください。

DXとデジタル化の違いとは?成功ポイントと注意点【中小企業向け】 – IFS LABO

中小企業がDXに取り組む4つの利点

中小企業がDXに取り組む利点は以下の4つです。

  1. 業務効率化によるサービス向上
  2. デジタル化による働き方改革
  3. レガシーシステム脱却によるコスト削減
  4. BCP(事業継続計画)対策

DX化した企業は、売上や従業員の満足度が高くなります。

また、災害や市場の変化にも柔軟に対応できるでしょう。

では、DX導入による4つの利点を紹介します。

【中小企業のDX利点】1.業務効率化によるサービス向上

DX導入により、業務の自動化や不要な業務の可視化が可能です。

業務フローの短縮や人員配置の見直しができ、コア業務へ集中できます。

コア業務への集中は、顧客ニーズに合った商品・サービスの生産に繋がり、顧客の新規獲得や維持が可能です。

デジタル技術をシステムに導入し、業務を自動化すると人的ミスも減ります。

よって、生産性が上がるだけでなく信頼も得られるでしょう。

【中小企業のDX利点】2.デジタル化による働き方改革

デジタル技術の活用により、現在ではテレワークが普及しつつあります。

従来では、顧客情報や書類を会社で保管、コミュニケーションも対面もしくは電話でおこなうため出社する必要がありました。

しかし、DX化により重要な情報はクラウド上に保管でき、オンライン上でコミュニケーションも可能。

出社する必要がないため無駄な通勤時間がなくなります。

デジタル化により不要な業務を可視化し撤廃することで、従業員の満足度が上がる働き方改革が可能です。

【中小企業のDX利点】3.レガシーシステム脱却によるコスト削減

レガシーシステムの運用・維持には大きなコストが掛かります。

DXに取り組みレガシーシステムから脱却できれば大きなコスト削減が可能です。

さらに、レガシーシステムに掛けていたコストをDXツールの導入や優秀なIT人材の採用に使用できます。

中小企業では、限られた資金をいかに効率よく使うかが重要です。

【中小企業のDX利点】4.BCP(事業継続計画)対策

BCPとは、災害などの緊急事態時の被害を最小限に抑え、事業の継続や復旧を図るための計画です。

地震や火災などの自然災害や感染症の拡大による被害を抑えるためには、大勢の従業員が必要になるでしょう。

しかし、デジタル化により業務を自動化していれば、災害時に大勢の従業員を確保する必要がありません。

また、顧客情報などもクラウド上に保管でき、オンライン上でコミュニケーションを取れるため迅速に事業を再開できます。

中小企業がDX推進する際のポイント3つ

次に、中小企業がDX推進する際のポイントを解説します。

DX推進の主なポイントは以下3つです。

  • 目的の明確化
  • スモールスタート
  • ITリテラシーの向上

特に目的の明確化は非常に重要。

DX推進には時間が掛かるため、企業全体で取り組む必要があります。

しかし、資金力が弱い中小企業では始めから多額の費用を掛ける必要はありません。

では、DX推進のポイントを見ていきましょう。

中小企業のDXポイント1.目的の明確化

DX推進には、目的の明確化は重要です。

何のためにDXに取り組み、どうしたいのか目的を明確にしないと従業員と経営層のトラブルに繋がります。

DXによって自社にどんなメリットがあるのかを会社全体で共通認識しないと上手く協力できません。

また、DXの目的はデジタル技術により事業を変革すること。

DX推進には、変革者が必要ですがIT人材とは限りません。

ITツールやIT人材の導入も大切ですが、DX本来の目的を忘れないようにしましょう。

中小企業のDXポイント2.スモールスタート

DX推進のために、始めから高額なIT投資をおこないシステムや人員などを一気に変える必要はありません。

まずは、売上管理や受注管理など身近な業務からDXを取り入れます。

身近な業務の改善は、情報のブラックボックス化を防げ、成果も感じやすいです。

少しずつ業務内容を変えることで従業員の抵抗を減らせます。

さらに、DX化につまずいても原因を見つけやすいです。

中小企業のDXポイント3.ITリテラシーの向上

新しいシステムを導入しても、上手く使いこなさないと効果が発揮できないため意味がありません。

そのため、従業員のITリテラシーの向上が業務効率化において重要です。

DX企業ではさまざまなデジタルツールを利用します。

IT人材に頼らずとも、ある程度は使いこなせるよう準備しましょう。

中小企業こそDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組もう

この記事では、中小企業がDXに取り組むべき理由と利点を解説しました。

中小企業は、大企業に比べて事業や組織が複雑ではないためDXに取り組みやすく成果が出るのが早いです。

DXに取り組むことで、業務を自動化し生産性の向上や業務フローの改善による働き方改革ができます。

従業員が働きやすい環境を作ることで、優秀な人材の確保・維持が可能です。

DX推進は、自社の成長や社会の変革に大きく関係します。

そのため、大企業だけでなく中小企業も会社全体でDXへの取り組みが重要です。

 

チェンシージャパンは、ERPソリューションIFS Cloudの販売・導入・構築・運用までワンストップで提供中。

ERP専門コンサルタントによる丁寧なヒアリングのもと、最適なご提案をさせていただきます。

最新情報をチェック!
>グローバルERP IFS導入におけるシステムインテグレーター『チェンシージャパン株式会社』

グローバルERP IFS導入におけるシステムインテグレーター『チェンシージャパン株式会社』

チェンシーグループの日本法人として、アジア地域の企業に向けて高品質で革新的なソリューションを提供しています。日本・アメリカ・中国・タイを拠点にIFS経験者を100名以上を抱え、海外拠点へ進出されるお客様プロジェクトの円滑な支援も実現します。

IFSに関するコンサルティング・導入・運用保守までのサービスを通じてお客様ビジネスの効率化と成長の実現を共に目指します。サイト内には導入事例やホワイトペーパーもございます。情報収集にお役立てください。

CTR IMG