グローバルサプライチェーンとは?基礎や高度化が必要な理由を解説

  • 2023年5月29日
  • 2024年3月29日
  • DX・IT

近年、グローバルサプライチェーンを高度化し、災害やパンデミックの影響下でも寸断されないよう再構築する動きが強まっています。

理由は、新型コロナウイルス感染症が経済活動に大きな打撃を与え、海外拠点を持つ企業のサプライチェーンが寸断された経験から、より強固かつ柔軟に構築する必要性が生じたためです。

本記事では、グローバルサプライチェーンの基礎知識・目指すべき理想像を解説します。

グローバルサプライチェーンの構築を効率化する方法とあわせて、ぜひご覧ください。

【基礎知識】グローバルサプライチェーンとは?

サプライチェーン・グローバルサプライチェーンとは何か、なぜ求められているのでしょうか。

本章では、サプライチェーンの基礎知識とグローバルサプライチェーンが構築された背景、高度化が求められる理由を解説します。

スムーズなグローバルサプライチェーン構築にお役立てください。

1.そもそもサプライチェーンとは何か

サプライチェーンとは、資材の調達・加工・製造・移送・販売など、製品やサービスの提供に必要な全ての活動のこと。

サプライチェーンの把握と分析は、企業がリソースを有効活用し、低コスト化と製品・サービスの付加価値を最大化するために必須です。

そして、グローバルサプライチェーンとは、海外も含んだ製品やサービスに必要な全ての活動のこと。

グローバルサプライチェーンには、国や地域で異なる法律・制度・文化・習慣などが異なるため、サプライチェーンよりも難度の高い取り組みとなります。

しかし、海外進出するためにはグローバルサプライチェーンの構築が必須であり、企業の成長にも必要な要素と言えるでしょう。

2.日本企業の国外進出とともにグローバルサプライチェーンが構築

日本企業でグローバルサプライチェーンの必要性が高まったのは、日本の経済が大きな成長を始めた1960年代です。

少品種多量生産が必要になったことを背景に、海外での部品調達や生産拠点の設置ニーズが増大。

1980年代に突入すると、より安価な製品やサービスの提供を目的として、人件費や原価が安い海外への企業進出がさらに進みました。

企業の多くがアジアへと進出する中で、より高度なグローバルサプライチェーンへと進化を遂げていったのです。

一方で、グローバルサプライチェーンのさらなる高度化の必要性を求める声が高まっているのも事実。

グローバルサプライチェーンの高度化が必要な理由は、次章で解説します。

3.パンデミック・国家間対立などが影響し燃料価格高騰

グローバルサプライチェーンは、製品・サービスの低価格化を実現できる反面、パンデミックや国家間対立などの世界情勢の影響を受けやすい面もあります。

実際に、大手企業の海外工場はパンデミックの影響を受け、大きな打撃を受けたのは記憶に新しいところです。

近年では、アメリカの銀行破綻や戦争などの影響があり、原料・燃料価格が高騰を続けています。

原料や燃料の価格高騰に対抗するには、グローバルサプライチェーンの見直しが急務。

米中対立や長期的な円安の影響を考慮し、海外工場を日本国内に回帰させる企業もある中で、今後はより強固なグローバルサプライチェーンを構築する必要性が高まっているのです。

グローバルサプライチェーンの5つの理想像とは?

製造業を取り巻く環境が目まぐるしい変化を遂げる中、理想的なグローバルサプライチェーンは柔軟性と強靭さをあわせ持つ必要があります。

しかし、グローバルサプライチェーンの理想像をイメージすることが難しい人もいるでしょう。

本章では、グローバルサプライチェーンの理想像と必要な取り組みや考え方を解説します。

理想像1.持続可能な取組と社会からの信頼獲得

グローバルサプライチェーンは、パンデミック・国家間対立・災害などに対する持続可能な対策を講じる必要があります。

持続可能な対策を講じることは、柔軟性のあるグローバルサプライチェーンの構築につながり、環境の変化に左右されにくい体制の実現が可能となるためです。

そのためには、自社内の閉じたサプライチェーンの最適化をするのではなく、マインドセットを変革した新たな考え方が大切です。

目指すべきは、的確な将来予測能力と危機への対応力の強化。

周囲の環境に左右されないサプライチェーンの構築により、製品やサービスの提供が途切れなくなれば、社会からの大きな信頼獲得につながるでしょう。

理想像2.強靭かつ柔軟なサプライチェーン構築

これまでは、生産効率性に重点を置いた考え方が主流であり、人間の介入を抑えてプロセスの自動化が優先されてきました。

しかし、プロセスの自動化を優先した結果、近年ニーズが高まっている特注品への対応が困難になるという課題が発生。

多様化するニーズに対応可能なグローバルサプライチェーンを構築するには、反復的な業務を機械が担い、柔軟性が必要な作業を人が担う「人と機械の協働化」が必要です。

作業効率と柔軟性の高さをあわせ持つグローバルサプライチェーンは、さらなる細分化が進むであろう市場ニーズに立ち向かえる強靭さも手に入ります。

なお、人と機械の協働は下記にて解説しています。

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理想像3.複数地域でのサプライヤ獲得

新型コロナウイルス感染症は、限定的な地域での大規模もしくは一極集中の生産・流通構築のリスクを知らしめる結果となりました。

リスクを分散させるには、より顧客に近い地域での供給体制の構築が必須。

既存のサプライチェーンを見直し、サプライヤの増加や生産・供給体制の分散化などの対策が求められています。

サプライヤの増加や生産・供給体制の分散化はコスト高となるため、敬遠しがちな対策ではあるものの、柔軟性と強靭さが両立したグローバルサプライチェーンの構築につながります。

より良いグローバルサプライチェーンを構築するために、コストだけでなく生産効率や変化対応力も取り入れて検討しましょう。

理想像4.エコシステム構築と高生産性の両立を実現

経済産業省が公表している「第6回 デジタル時代のグローバルサプライチェーン高度化研究会」では、GHG排出量可視化が議論されたようにエコシステムを構築する必要性の高さが主張されています。

製造業界では、これまでもエコシステム化に取り組む企業が多くありましたが、今後は少ないGHG排出量での製造が必要になります。

GHG排出量を減少させるためには、製品開発から製品需要までのプロセスを統合し、全体的な最適化を図らなければなりません。

プロセスの統合が実現すると、分断化されていたプロセスがデータでつながり、統合的な戦略・対策の検討が可能となるためです。

なお、プロセスの統合には情報を一元管理できるERPのようなシステムが必要です。

ERPの詳細は、後述する「グローバルサプライチェーンの再構築に有効なERPとは?」で解説します。

理想像5.リスク予測とスピーディな対応

的確なリスク予測とスピーディな対応には、ビッグデータの活用がカギです。

データの分析結果をフィードバックして改善につなげる「データドリブン」の考え方の重要性が高まりを見せているためです。

たとえば、新型コロナウイルス感染症で世界的なロックダウン体制となった際に、様々なデータを集めていたとします。

収集したデータ量が膨大なほど、より精密な分析ができるため、対策やリスク予測がより的確になるでしょう。

このように、強靭かつ柔軟性のある理想的なグローバルサプライチェーン構築には、ビッグデータとデータドリブンが必須と言えます。

グローバルサプライチェーンには安定性と変化対応力が必要

グローバルサプライチェーンは、構築完了後のマネジメントも大切です。

現地の工場・サプライヤや市場ニーズ、世界情勢は常に動いており、安定性のあるグローバルサプライチェーンの構築には培ったデータの分析とフィードバックが必要なためです。

グローバルサプライチェーンを見直す際は、再構築が完了した後のことを考え、どのようなマネジメント体制を構築すべきかも検討しましょう。

なお、サプライチェーンマネジメント(SCM)の詳細は以下の記事をご覧ください。

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グローバルサプライチェーンの再構築に有効なERPとは?

ERPとは、経営の最適化を目的としたソリューションです。

ERPは、DXの必要性が高まる中、様々なシーンで注目を集めています。

本章では、ERPがどのようにグローバルサプライチェーンの構築に役立つのかを解説します。

1.情報一元管理でシームレスに情報共有

ERPは情報を一元管理でき、サプライチェーンのスムーズなプロセス統合を実現します。

プロセスごとに抱えていた情報がERPに集約され、プロセス間のデータ活用によって、効率的な連携が可能になるためです。

ERPを活用すると、海外の工場をはじめとした拠点の状況把握も容易です。

拠点ごとのデータはERPに自動で集約され、経営側は集約されたデータを確認するのみ。

ERPは、物理的な距離を超えたシームレスな情報共有を可能にするシステムです。

2.リアルタイムの情報を獲得可能

ERPのシステム上に入力した内容は、データとしてリアルタイムに反映されます。

データがリアルタイムに反映されれば、離れた拠点でトラブルが発生した際の対応が迅速になり、機会損失リスクの減少にもつながります。

ERPにリアルタイムの情報が反映・蓄積されれば、活用の幅がさらに広がるでしょう。

集約したデータとあわせて活用・分析すると、より的確な未来予測ができ、経営判断のエビデンスとしても応用可能です。

3.全部門の業務効率化・生産性を向上

これまでは、生産部門・営業部門・経理部門・マーケティング部門と、部門ごとに異なるシステムを導入するのが一般的でした。

ERPは各部門に必要な機能を全て備え、1つのシステムで全部門・全拠点の業務効率化・生産性向上を見込めます。

ERPの導入後は、システムの運用・保守で発生する費用や手間が減少するのも大きなポイント。

システムごとに異なり、分散していたベンダーが1ヶ所にまとまるため、低コスト・手間軽減が可能です。

なお、ERPには「パッケージ型・コンポーネント型」など、いくつかのタイプによって特徴が異なります。

詳しくは「今話題のERPソリューションとは?導入手順とおすすめ製品を解説」をご覧ください。

グローバルサプライチェーンに課題を感じる方へ

本記事では、グローバルサプライチェーンの基礎知識と理想像を解説しました。

理想的なグローバルサプライチェーンの構築には、新たな技術の導入と活用が必須です。

当メディアを運営するチェンシージャパン株式会社は、中小企業向けのERPソリューションを提供しております。

幅広い業界に適合しやすいコンポーネント型のERPは、企業が抱える課題に柔軟に対応し、グローバルサプライチェーンの構築にも貢献可能です。

ERPにより業務改善・生産性向上した事例を以下にてお配りしておりますので、ぜひご覧ください。

 

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