ERP導入では製品選定ばかりが重要視されますが、実はベンダー選定も非常に重要です。ただ、多くの方が「どのような観点から選べば良いか分からない」とお悩みでしょう。
本記事では、ERPベンダー選びの失敗例を踏まえつつ、選定のポイントを解説します。
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ERPベンダーとは?
ERPベンダーとは、ERP(Enterprise Resource Planning)パッケージの提供〜運用後の支援までを担う企業のことです。担当領域に着目すると、主に以下2種類のベンダーに分かれます。
- 直接販売型:ERP開発〜運用後の支援を担うベンダー
- 間接販売型:ERP提案〜運用後の支援を担うベンダー
直接販売型は、自社で開発したERPをもとに、より導入企業に適した形態を提案して導入後の支援まで担当します。代表的な企業として、「SAP社」・「ORACLE社」などが挙げられます。
一方、間接販売型は、ERPの開発企業から委託を受け、提案〜運用後の支援を担う形態です。基本的には製造業(業種)や海外拠点管理(要件)など、何らかの得意ジャンルを持っており、そのジャンルにて直接販売型ベンダーよりも秀でている傾向があります。
当メディアを運営する「チェンシージャパン株式会社」も、製造業向けERP「IFS Cloud」の提案・インフラ構築・導入支援・保守を担う間接販売型のERPベンダーです。
製品以上にベンダー選定が重要な理由
ERP導入と聞くと、製品選定を意識しがちです。しかし、ERP導入プロジェクトにおいて重要なのはベンダー選びなのです。その理由は、主に以下2つです。
- ERPベンダーによって強みが異なる
- メンテナンス・トラブル対応をベンダーが担う
ERPベンダーによって、取扱製品や得意分野が異なります。たとえば、直接販売型のベンダーは自社製品を熟知しているため、システム連携を得意としています。
一方、間接販売型ベンダーには、現場を熟知したERPコンサルが在籍していることがほとんどです。実務経験はもちろん、同じ業種・要件でのERP導入支援実績も豊富なため、より自社のイメージにあった提案が期待できます。
なお、クラウドERPの場合、ベンダーが導入後のメンテナンスやトラブル対応を担うのが定石です。仮に、対応がずさんなベンダーを選ぶと、システム障害が発生したり、トラブルが拡大し業務に支障きたしたりする恐れがあります。
ERPを生かすも殺すもベンダー次第です。どれほど優れた製品を選定できても、ベンダーによってERPの真価が発揮されないケースは多々あります。後述するポイントを押さえ、ぜひ信頼できるERPベンダーを選定してみてください。
ERPベンダー選びの失敗とは?
ここでは、ERPベンダー選びの失敗例を紹介します。失敗の原因・対策を検討する際の参考にしてみてください。
構築されたERPが自社の提案通りでない
特に多い事例として、構築されたERPが自社の提案とズレているケースが挙げられます。通常ERPを導入する際は、導入企業とERPベンダーの担当者が話し合いを重ね、提案に沿ったシステムが構築されます。
しかし、ERPベンダーが自社の要件を汲み取れなかったり、仕様変更を導入企業に共有できていなかったりすると、自社要件とのミスマッチが発生します。
もちろん、こうしたミスマッチを防ぐには導入企業側の努力も重要ですが、課題の回避に向けて積極的に働きかけてくれるベンダーを選ぶことが大切です。
保守・メンテナンスがずさん
次に、ERPの保守・メンテナンスがずさんなベンダーを選定してしまうことです。通常、クラウドERPは、導入後の保守・メンテナンスはERPベンダーが担います。
そのため、システムの保守・メンテナンスがずさんなベンダーを選定すると、自社業務に影響を及ぼす恐れがあります。こうしたトラブルを回避するためには、候補にあがったベンダーの評判や過去のトラブル実績等も調べることが大切です。
ベンダーが倒産
稀なケースですが、導入後にERPベンダーが倒産する場合もあります。前述のとおりERPベンダーは、システムの保守・メンテナンスも担うため、仮に倒産するとその後の対応が問題になります。
なお、基本的にERPのプログラムは開示されないため、自社で対応を引きつごうにも困難なケースがほとんどです。こうした失敗を防ぐには、大手のERPベンダーを選定したり、契約にてリスクヘッジしたりするのが効果的です。
ERPベンダーの選び方
ERPベンダーを選ぶ際は、以下4つのポイントを比較するのがおすすめです。
- 技術面
- 実績面
- コスト面
- サポート面
ここでは、上記4つの比較ポイントを詳しく紹介します。
技術面
1つ目のポイントは、自社が求める機能を実装できる技術力があるかどうかです。特に、ERPの標準機能以外に、アドオン開発にて機能を拡張する場合は、ERPベンダーの技術力が試されます。
技術力がないERPベンダーでは自社の要件を満たせず、コストだけが無駄にかかってしまいます。ERPの導入コストは決して安くないため、システム開発の技術があるERPベンダーを選定しましょう。
なお、技術力を図るには、RFP(提案依頼書)の活用がおすすめです。RFPとは、自社の要望をまとめた資料であり、ERPベンダーはその内容を踏まえて実現可能性の測定・追加の提案をします。そのため、RFPを活用することで、自社の要件にあったERPベンダーを見つけやすくなります。
実績面
2つ目のポイントは、ERPベンダーの実績です。実績があるERPベンダーの方が、これまでの経験に基づいた適切な提案をしてくれる可能性が高いです。
また、多くのERP導入を手掛けているということは、導入企業がつまずきやすいポイントや直面する課題を把握しているでしょう。プロジェクトのさまざまな過程でサポートが期待できるため、実績の豊富なERPベンダーを選定しましょう。
ただし、ERPベンダーの実績を比較する際は、自社の業種・課題と類似した実績に着目してください。ERP導入は、プロジェクトによって環境や内容が全く異なるためです。
ERPベンダーが公開する実績のみを鵜呑みにせず、細かくヒアリングすることが大切です。
コスト面
3つ目の比較ポイントはコスト面です。ERP構築や導入支援、保守・メンテナンスなどの費用を算出し、ERPベンダーを比較しましょう。
ただし、単にコストが安ければ良いわけではありません。もちろん安いに越したことはありませんが、それに見合った効果が得られなければプロジェクトの失敗につながります。
したがって、コストのみならず、費用対効果を中心にERPベンダーを比較してください。
サポート面
4つ目は、ERPの機能や運用方法、コストに関して積極的に提案してくれるかなどのサポート面です。ERP導入の経験者が多数在籍している企業でない限り、プロジェクトではあらゆる疑問や不安が出てきます。
こうした困りごとを汲み取り、親身になって支えてくれるERPベンダーは非常に貴重な存在です。もちろん、プロジェクトの成功率にも大きく影響するため、サポート面が充実したERPベンダーを見つけましょう。
ただし、ERPベンダーのサポート面は、実際にプロジェクトが開始されるまで判断しづらいです。サポートの内容は把握できても、どれほど積極的に対応してもらえるかは見えづらいです。
そのため、サポート面の充実度を判断するには、実際にそのERPベンダーと取引した企業の評判・口コミを参考にしましょう。
ベンダー選びで失敗しないための対策
ERPベンダー選びで失敗しないためには、以下の対策を講じましょう。
- 担当者との相性で比較する
- ERPベンダーの強みで比較する
- 評判・口コミを調べる
- ERPベンダーの信用・将来性を調べる
上記は、前述した比較ポイントよりも一歩踏み込んだ内容です。より自社にあったERPベンダーを選定するためにも、ぜひ上記4項目も意識してみてください。
担当者との相性
ERP導入プロジェクトでは、半年〜1年と長きにわたってベンダーと深く関わります。ここで重要になるのが、担当者との相性です。
たとえば、「自社の課題に対して親身に対応してくれるか?」「積極的に提案をしてくれるか?」は重要なポイントです。信用できる担当者であれば、小さな困りごとも相談しやすく、結果的にERPの完成度が高まります。
そのため、ERPベンダーを比較する際には、担当者との話し合いの中で相性の良し悪しを判断しましょう。
ERPベンダーとしての強みがあるか
間接販売型のERPベンダーに限らず、直接販売型のERPベンダーを検討する際にも、どのような強みがあるのかを確認することが大切です。たとえERPの知見があっても、実際の業務や課題を深く理解していなければ、要件に沿ったシステムを構築できません。
たとえば、製造業向けの海外拠点管理に対応したERPを導入する際、現地の商習慣や拠点間連携に精通していないERPベンダーを選ぶと、プロジェクトの失敗率が高まります。一方、現地でのIT人材の調達や保守・運用までを考えた提案をしてくれるERPベンダーなら、安心して任せられます。
ERPは非常に高価であり、なおかつ導入企業の業務や経営を支える根幹となるシステムです。そのため、自社の業種や課題、要件に適した強みがあるERPベンダーを選定してください。
評判・口コミ
ERPベンダーの良し悪しを判断するには、評判・口コミが効果的です。ERPベンダーの良い面・悪い面を把握すれば、ベンダー選びの失敗リスクを抑えられます。
ただし、ERPにおいては、製品への評判・口コミはあってもベンダーへの評価が少ない傾向にあります。仮にあっても、ERPベンダーがヒアリングを行い、掲載しているものが大半です。
したがって、より客観的な意見を取り入れるには、そのERPベンダーを利用した企業へ直接聞くのがおすすめです。もちろん、相手の都合で断られたり、手間がかかったりしますが、失敗のリスクを減らすには大切なことです。プロジェクトの成功率を高めたい方は、ぜひ実践してみてください。
ベンダー企業の信用・将来性
導入後のERPベンダーの倒産リスクを回避するには、企業としての信用・将来性を確認しましょう。特にクラウド型は、導入後の保守・メンテナンスを任せられる点がメリットのため、ERPベンダーが倒産してはこの恩恵を受けられません。
そのため、リサーチ会社を使用するなどして、絞り込んだ候補企業の信用・将来性を調べると良いでしょう。
ERP導入を成功させるには信頼できるパートナーを選ぼう
この記事では、ERPベンダーの選び方を紹介しました。ERP導入では、自社の努力はもちろんERPベンダーによって成否が分かれます。
プロジェクトを成功させ、経営課題を解決するためにも、本記事を参考に信頼できるパートナーを見つけてください。
当メディアを運営するチェンシージャパン株式会社では、製造業向けのERP「IFS Cloud」の提案〜保守・メンテナンスをしております。現場をよく知るコンサルタントがプロジェクトに参画し、導入企業様の課題解決に向け奔走いたします。
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