【工程別】ERPの導入手順とは?失敗を避けるポイント・導入期間

ERP

ERP導入を成功させるには、各導入工程を高い精度で実行していかなければなりません。
しかし、具体的に「どのような作業が必要なのか?」「どのような流れで進めるのか?」がわからず、お悩みの方も多いでしょう。

本記事では、ERP導入の流れを4工程に分割し、取り組むべき作業内容を詳しく解説します。

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ERP導入手順の全体像、導入期間の目安とは?

ERP導入の流れと目安となる所要期間を、以下にまとめました。

ERP導入手順

所要期間(中小企業)

1.プロジェクトの企画

〜1ヶ月

2.要件定義

2〜4ヶ月

3.実装

2〜4ヶ月

4.本格稼働

1〜3ヶ月

「プロジェクトの発足〜ERPの本格稼働」まで全工程にかかる期間は、以下のとおりです。

  • 中小企業:6〜9ヶ月
  • 大企業:12〜18ヶ月

実際には、ERPを稼働させた後も、効果の検証や新たな課題への対応などやるべきことが山積みです。これらも踏まえると、プロジェクトの達成までに数年単位の時間がかかります。

ここからは、上記の4工程ごとにERP導入の流れと押さえておくべきポイントを紹介します。

導入手順1.ERP導入プロジェクトの企画

まず取り組むのは、ERP導入プロジェクトの企画です。この時点で設定する内容は、主に以下の6つです。

  • リーダーとチームメンバーの選出
  • ERPの導入目的・対象範囲の明確化
  • ERPの導入計画を作成
  • ERPパッケージの選定
  • コンサルタント・ベンダー企業の選定

プロジェクトの企画は、ERP導入の成功確率を左右する最も重要な工程です。逆もまた然りですが、適切に実施できれば、失敗のリスクを抑えられるだけでなく、導入効果を最大化できます。

それでは、各取り組みの要点をみていきましょう。

リーダーとチームメンバーの選出

経営陣がERPの導入を決めたのち、プロジェクトのリーダーチームメンバーを選出します。通常、ERP導入では、複数部門の代表者が積極的に意見を出し合い、システムの構想を構築していきます。

プロジェクトリーダーには、全体を率いるリーダーシップだけでなく、「メンバーのコミュニケーションを促進する力」・「全員の意見を適度にまとめつつ進行していく力」なども必要です。なお、プロジェクトが進行していくと、自社の経営方針や組織の仕組みに精通した人材が求められます。そのため、一般的には現場からリーダーを選出するのではなく、事業運営側から適した人材を起用します。

ERPの導入目的・対象範囲の明確化

チームを発足したら、現状の課題を洗い出して「ERPの導入目的」と「対象範囲」を明確にしていきます。導入目的と対象範囲によって、その後の動き方が大きく異なるため、慎重に設定してください。

なお、導入目的を決める際は、各部門の課題のみならず、自社の経営課題を反映することが重要です。

ERPと聞くと、現場業務の効率化ばかりが先行しますが、元々は経営の最適化を支援するためのソリューションです。たとえば、社内に見える化を実現したい・内部統制を強化したいなど、経営陣が抱える課題の解消に効果的です。

現場の声に耳を傾けることはもちろん重要ですが、あくまでも経営課題の解決が主目的となるよう、優先順位の付け方に注意が必要です。

ERPの導入計画を作成

次に、プロジェクトの流れや全体像をまとめた、ERPの導入計画を作成します。この導入計画には、主に以下の内容を記載します。

  • ERPの導入目的・対象範囲
  • ERP導入のスケジュール
  • チームの体制・意思決定のルール
  • 現行システムの詳細
  • プロジェクト全体のタスク
  • プロジェクトの予算

ERPの導入計画は、プロジェクトのメンバー間で共有する以外に、ERPパッケージやベンダー企業を選ぶ際にも利用します。ERPといっても多数の製品があるため、こちらの要望を整理しなければ適切なERPかどうかを判断できません。

製品・ベンダー企業の判断基準として機能するよう、細かな事項まで記載してください。

ERPパッケージ・導入形態の選定

導入計画を策定したら、ERPパッケージと導入形態を選定します。

ERPパッケージとは、文字どおりERPを製品(パッケージ)として販売しているものです。すでにシステムの基本機能・構造が構築されているため、必要に応じてカスタマイズしつつ導入できます。

なお、ERPの導入形態は、大きく「クラウド型」・「オンプレミス型」に分かれ、それぞれ以下の違いがあります。

 

オンプレミス型

クラウド型

ERPシステムの導入先

自社のサーバー

ベンダー企業のサーバー

利用インフラ

社内ネットワーク

インターネット

システム保守の担当者

自社

ベンダー企業

コスト面

高額

安価

セキュリティ面

自社のセキュリティレベルに依存

ベンダー企業のセキュリティレベルに依存

カスタマイズ性

高い

低い

一概にどちらが良いとは言い切れませんが、一般的に中小〜中堅企業はクラウド型中堅〜大企業はオンプレミス型のERPを導入します。

以下の記事では、導入形態・システムの構造別にERPの種類を詳しく解説しています。興味がある方はぜひご覧ください。

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ベンダー企業・コンサルタントの選定

ERPパッケージが決まったのち、ベンダー企業とコンサルタントを選定します。ベンダー企業とコンサルタントは、今後の導入工程に深く関わり、プロジェクトの成否も左右します。

サポートの質や担当者との相性などを細かくチェックし、信頼に足り得るパートナーを見つけましょう。なお、仮に同じERPパッケージを提供するベンダー企業でも、提供するERPの仕様やサービス内容がやや異なります。

そのためいくつか候補を絞ったあとは、ERPの導入計画をもとに細かく比較・検討します。ぜひ、最も自社の要件にあったベンダー企業・コンサルタントを選定してください。

導入手順2.ERPの要件定義

続いて、ERPの要件定義を実施します。要件定義では、「自社の現状」や「導入を予定しているERP」への理解を深めつつ、導入するシステム像を鮮明に描いていきます。

具体的には以下の流れを経て、「要件定義書」を作成します。

  • 導入するERPへの理解を深める
  • 現状の業務を分析
  • フィット&ギャップ分析
  • 新業務プロセスを構築

この工程では非常に細かな点まで詰めていくため、中小企業でも2〜4ヶ月ほどかかります。ERPの要件定義に関する作業について、順を追って紹介します。

導入するERPへの理解を深める

ERPパッケージを選定する際に基本的な製品理解は完了しているため、ここではさらに細かな点まで確認していきます。たとえば機能をより細分化し、以下のような内容を確認します。

  • どのような内容を入力できるのか
  • 機能制限の有無
  • 外部連携が可能なソフトウェア
  • アップデートの有無やタイミング

仮にERPパッケージへの理解が甘いと、導入後に「既存システムと連携ができない」などのトラブルにつながります。この時点でできる限り、ERPの仕様を洗い出しておきましょう。

現状の業務を分析

先ほどの「ERPへの理解を深める」と並行して、自社の業務プロセスを客観的に分析します。現状、「どのようなプロセスで業務が行われているのか?」や「業務間のつながり」を鮮明に洗い出します。

フィット&ギャップ分析

フィット&ギャップ分析とは、導入する「ERPパッケージの機能」と「自社の業務プロセスやシステムに求める機能」を比較して適合度を分析する手法です。適合箇所(フィット)とズレ(ギャップ)を明確にし、いかにして埋めていくかを検討します。

新業務プロセスを構築

先ほどのフィット&ギャップ分析の結果を踏まえ、ズレ(ギャップ)を解消するために新たな業務プロセスを構築します。なお、今回はもっとも一般的な「業務プロセスの再構築(業務改革)」を紹介しますが、状況に合わせて以下の対応方法もご検討ください。

  • ERPの新たな機能を開発する
  • 人手で対応する

業務プロセスを再構築する場合は、該当箇所に加え関連業務への影響にも配慮する必要があります。理由は、業務改革の方向性を誤ると、本来対応の必要がなかった、ほかの業務でもズレ(ギャップ)が生じるためです。

業務プロセスの変更によってどのような影響が出るのかを配慮しつつ、慎重に取り組みましょう。

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導入手順3.ERPの実装

ERPの開発が完了したら、いよいよ実装に向けて以下の取り組みを実施します。

  • ERPの稼働環境を構築
  • パラメータの設定
  • 追加機能の開発
  • ERPのテスト運用

この工程は、いわば最終仕上げのようなものです。作業ミスによって大規模な損害につながる可能性は低いものの、ERPを安定して運用するために欠かせないパートです。

ERPの稼働環境を構築

ERPを運用するには、安定した稼働環境を構築する必要があります。なお、構築すべき稼働環境は、ERPの導入形態によって異なります。

  オンプレミス型 クラウド型
必要環境
  • サーバー
  • OS
  • インターネット
  • デバイス
  • インターネット
  • デバイス

オンプレミス型の場合は、サーバーから構築する必要があります。社内にサーバーを設置したり、外部のデータセンターを活用するケースが一般的です。

一方、クラウド型の場合は、インターネット環境とアクセスするためのデバイスを用意します。なお、近年のクラウド型ERPは、パソコンやスマートフォン、タブレット端末など、対応端末が豊富です。業務の性質に合わせて適切なデバイスを導入しましょう。

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パラメータの設定

パラメータの設定とは、自社の業務プロセスに適合するよう、導入するERPのプログラム数値を変更する作業のことです。たとえば、受注管理機能のパラメータを変更し、これまで自社で使用してきた製品価格を設定するなどです。

ERP導入後は、設定したパラメータによって、業務が進められるため、設定にミスがないよう注意が必要です。

追加機能の開発

パラメータを設定したら、インターフェースを開発してERPと既存システムを連携します。インターフェースは、ハードウェアとプログラムの観点から設計します。

なお、一部で連携が取れない場合は、必要に応じて追加機能の開発を検討してください。ただ、機能開発には多くのコストがかかるため、費用対効果を考え実行するか否かを決定しましょう。

ERPのテスト運用

ここまでの作業で、ERPの大部分が完成です。実際に既存システムと連携し、テスト運用を実施します。

テスト運用では、「企画段階で想定していたプログラムが実行されているか?」「何らかの障害が発生していないか?」を確認します。本格稼働後に問題が顕在化すると、業務へ影響を及ぼす恐れがあるため、この時点で可能な限り取り除いておくことが重要です。

導入手順4.ERPの本格稼働

テストが完了すると、ERPの本格稼働に向け、以下の準備を実施します。

  • リリース準備
  • マニュアルの整備
  • 従業員のトレーニング
  • 本格稼働

この工程には、最後の難関となる「現場への定着作業」があります。プロジェクトメンバーのみならず、現場の従業員にも大きな負担がかかるため、入念な準備のもと実施しましょう。

リリース準備

まずは、テスト運用が完了したERPのリリース準備をします。具体的な準備内容は以下のとおりです。

  • 既存システムからデータを移行
  • ユーザーID・パスワードの登録
  • 部署・ユーザー単位の権限設定
  • アクセスログの設定
  • ユーザー受け入れテスト

リリース準備では、項目ごとに進捗状況を管理します。すべての項目が完了するまで、次の工程へは進めません。

マニュアルの整備

リリース準備の一環として、ERPパッケージの運用マニュアルを整備します。通常、ERPのマニュアルはベンダー企業から提供されますが、必要に応じて自社の仕様へ変更する必要があります。

たとえば、パラメーター変更や機能開発をした場合、提供されたマニュアルのみでは不十分でしょう。そのため、ベンダー企業に相談しながら、自社の仕様に対応したマニュアルを整備してください。

従業員のトレーニング

ERPの本格稼働に向け、従業員のトレーニングを実施します。このトレーニングは、新システムの運用へスムーズに適用できるようにするためのものです。

操作方法はもちろん、背景にあるビジネスロジックや業務プロセスについても教育します。なお、トレーニング内容は、従業員の役職や担当業務によって調節しなければなりません。

もし、自社のみでの実施が難しい場合は、ベンダー企業が提供するトレーニング支援や導入支援サービスの利用も検討しましょう。

本格稼働

ERPを本格稼働したあとも、やるべきことはあります。代表的なもので言うと、以下の3つが挙げられます。

  • ERPの導入効果を検証
  • 目標の達成に向けた改善行動
  • ERPの運用トラブルへの対処

とくに、「ERP導入の効果を検証し、必要に応じて改善行動を取る」ことは必須です。ERP導入はあくまでも手段であり、目的は自社が抱える課題の解決です。

PDCAサイクルを回し、ERP導入目標の達成を目指しましょう。

ERP導入で失敗しないための2つのポイント

ERP導入で失敗しないためのポイントは、以下の2つです。

  • ERPを部分的に導入していく
  • 企画段階で鮮明な全体像を描く

なお、以下の記事では、ERP導入で起こりがちな失敗例とその発生原因を解説しています。多くの企業がどのような点でつまずいているのかを知りたい方は、ぜひご覧ください。

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ポイント1.ERPを部分的に導入していく

ERP導入では、システムを一括で導入する「ビッグバンアプローチ」よりも、「部分導入」の方がおすすめです。理由は、対象範囲が狭い分、失敗のリスクを最小限に抑えられるためです。双方の違いをまとめると、以下のとおりです。

  ビッグバンアプローチ 部分導入
導入コスト 全社的となるため高い 必要部門のみにとどまり、低コスト
難易度 規模が大きく、専門プロジェクトチームが必須 狭範囲で試験導入が可能
導入期間 全部門で一括導入でき、短期間 段階的な導入になるため、全社的な導入の視点では長期間
効果が出るまで 企業全体が効率化し、効果の実感が早い 導入した部門ごとに実感でき、導入範囲を確認しやすい

ビッグバンアプローチは、一括でシステムを導入する分コストを抑えられますが、導入難易度が高くなる傾向があります。また、社内の全業務へ影響するため、何らかのトラブルが発生した際、大きな被害につながる恐れがあります。

一方、部分導入はモジュール・機能群ごとに導入していくため、比較的難易度も低めです。対象範囲が狭い分効果を検証しやすく、適切な改善行動を取れるでしょう。

ERP導入の方法とそれぞれのメリット・デメリットについては、以下の記事で詳しく解説しています。

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ポイント2.企画段階で鮮明な全体像を描く

ERP導入の成否は、そのほとんどが企画段階で決まります。具体的には、自社の課題や状況から、導入すべきERP像を鮮明に描けているかどうかが重要です。

仮にERP像が描けていないと、自社の要件とずれた製品を選定したり、必要な機能を実装できなかったりします。なお、こうした失敗が顕在化するのは、要件定義以降です。すでにプロジェクトが進んだ時点で発覚し、後戻りができなくなる恐れもあります。

ERP導入を成功させるには、十分な時間を使って企画を立案し、システムやビジョンの全体像を鮮明に描き切りましょう。

正しい手順でERPを導入しよう

この記事では、ERP導入の流れを解説しました。ERPの導入手順と所要期間の目安は、以下のとおりです。

ERP導入手順

所要期間(中小企業)

1.プロジェクトの企画

〜1ヶ月

2.要件定義

2〜4ヶ月

3.実装

2〜4ヶ月

4.本格稼働

1〜3ヶ月

ERP導入では、自社の要件と求めるシステム像を明確にすることが重要です。これらをもとに製品を選定すれば、要件と機能のズレを解消でき、想定していた導入効果が期待できます。

また、導入工程にはさまざまな障害が立ちはだかるため、常に先回りをして対応策を講じておきましょう。

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