高いERPシェアを誇るOracle社は、2種類のERP製品を提供しています。中でも、主力製品であるOracle ERP Cloudには、どのような特徴があるのでしょうか。
この記事では、Oracle社製クラウドERPの特徴とNetSuiteとの違いを詳しく解説します。
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クラウドERPとは?
クラウドERPとは、インターネットを介して利用するERPのこと。サーバーの構築やインフラ整備が不要なため、導入コストを抑えられる点が大きな魅力。
また、導入までが短く、短期間で利用を開始できます。クラウドERPは、開発形態・管理形態の違いから主に3タイプに分類されます。
- プライベートタイプ
- パブリックタイプ
- ハイブリットタイプ
プライベートタイプとは、自社専用のリソースでERPを利用する形態。他社からの干渉を受けずに利用できる点が特徴です。
2つ目のパブリックタイプは、ベンダーが提供する共有リソースを使用する形態です。共有といっても、インフラ環境は個別に用意されているため、他社からの干渉は受けにくいでしょう。
他のタイプよりも、安価で利用できる点が特徴です。ハイブリットタイプとは、複数のERP形態を組み合わせて利用する形態。各企業のニーズにあわせ、導入形態を自由に選択できます。
クラウドERPのメリットやオンプレミス型との違いを詳しく知りたい方は、こちらの記事をご参照ください。
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Oracle社が提供する「Oracle ERP Cloud」とは?
Oracle ERP Cloudは、Oracle社が提供するクラウドERPシステム。ITリサーチサービスとして有名なガートナーやG2からは、最高評価のリーダーとして認定されています。
この章では、Oracle ERP Cloudがどのような製品なのかについて、詳しく解説します。
Oracle ERP Cloudの特徴
Oracle ERP Cloudの主な特徴は、下記の3つです。
- 圧倒的なカバー領域&統合力
- 常に最新機能へアップグレード
- 強固なセキュリティー対策
Oracle ERP Cloudの一番の特徴は、圧倒的なカバー領域&統合力です。ERPの中心機能である財務会計に加え、調達・生産・物流などのサプライチェーンを含めたすべての業務プロセスを統合し、リアルタイムに処理・分析します。
また、単にカバー領域が広いだけでなく、経営層から現場の社員までそれぞれの立場に応じ、最適なデータ出力・分析も可能です。
2つ目の特徴は、常に最新機能へアップグレードされること。オンプレミスとは違い、クラウドERPはベンダーが自由にカスタマイズできるため、人口機能や機械学習などの最先端技術を迅速に導入できます。
Oracle ERP Cloudの場合、4半期ごとにアップデートをおこなうため、導入企業は常に最新技術を享受できます。
3つ目の特徴は、強固なセキュリティ対策が施されていること。クラウドERPは、セキュリティ面の脆弱性が問題視されがちですが、世界的に評価されるOracleはセキュリティ面も万全です。
インフラからアプリケーションに至るまで、各レイヤーでセキュリティ対策が施されているため、安心して利用できるでしょう。
Oracle ERP Cloudの価格とは?
ERPは導入機能・導入形態などによっても価格が変動するため、導入費用・ランニングコストは、Oracle社へ問い合わせる必要があります。ただ、Oracle ERP Cloudの提供形態はクラウドERPのため、サーバー構築やインフラ整備が必要なく、初期費用が抑えられるでしょう。
詳しくは、問い合わせにてご確認ください。
Oracle ERP Cloudの対象企業
Oracle ERP Cloudは、多機能なERPパッケージのため、幅広い業種・会社に対応しているシステムです。細かなパタメーター設定により、複雑なビジネスにも対応できる柔軟性を持ち合わせています。
また、グループ会社や海外支店と本社のERPシステムを連携させる2層ERPにも対応。各国の言語・税制・商習慣にも適応しているため、グローバル展開や事業規模の拡大を見据えている会社で導入されるケースが多いのです。
業務を統合したい会社やバックオフィスの効率化をはかりたい会社であれば、導入を検討してもよいでしょう。
もう1つのOracle社製ERP「Oracle NetSuite」とは?
Oracle社は、先のOracle ERP Cloudとは別に、Oracle NetSuiteも提供しています。2016年にOracle社がNetSuiteを買収し、Oracle NetSuiteの提供がスタートしました。
この章では、もう1つのOracle社製ERP「Oracle NetSuite」について詳しく解説します。
Oracle NetSuiteの特徴
Oracle NetSuiteの主な特徴は、次の2つ。
- CRM・Eコマースなどを搭載したオールインワン
- グローバル経営管理
1つ目の特徴は、CRM、Eコマース、マーケティング自動化、プロフェッショナルサービスオートメーションを搭載したオールインワンパッケージであること。搭載機能は、お互いに連携し合っているため、データの紐付け・分析などの使い方も可能です。
たとえば、EコマースとCRMを連動させれば、売上データや顧客情報の蓄積により、戦略的なマーケティングが可能でしょう。さらに、分析結果はリアルタイムで各部署に共有されるため、迅速にアクションをおこせます。
2つ目の特徴は、グローバルな経営管理が実現できること。
NetSuiteは、海外の法制度・税制・通貨・言語に対応しています。190種類以上の通貨と19言語に対応しているため、各国に拠点を持つ会社でもリアルタイムの業務統合が可能です。
Oracle NetSuiteの価格とは?
Oracle Cloud ERPの価格は、製品ライン・ライセンス数によっても異なりますが、目安としては下記の通り。
月額20万円台~です。この費用には10ユーザーを想定しています。
引用:NetSuite 14日間お試し|Oracle / NetSuite
Oracle Cloud ERPは、クラウドERPの中でもSaaS型に分類されるERPシステムです。導入に際して、ハードウェア・ミドルウェア・アプリケーションなどを用意する必要がないため、コストを大幅に抑えられます。
また、導入期間もプロジェクト開始から約3ヶ月と短期間での導入が可能でしょう。(参照:NetSuite 14日間お試し|Oracle / NetSuite)詳しい価格については、Oracle社に問い合わせると良いでしょう。
Oracle NetSuiteの対象企業
オールインパッケージのため、Oracle Cloud ERPと同様で、様々な業種の会社が導入できます。すでにERPシステムを導入している企業が、海外進出を機に導入するケースは、多く見られます。
海外拠点には、グローバル対応のOracle NetSuiteを導入し、本社は既存ERPシステムを運用する形態です。Oracle NetSuiteは、必要な分のライセンスのを契約すれば利用できるため、ビジネス規模に合わせて導入できるでしょう。
また、上記に付随し、スタートアップ企業や中小企業での導入も見られます。Oracle社に限ったことではありませんが、ERPシステムは、基幹業務を支えるシステム。
そのため、すでにERPを導入し、最適化が実現された会社でない限り、対象外というケースは考えにくいのです。
「Oracle ERP Cloud」と「Oracle NetSuite」の違い
Oracle ERP CloudとNetSuiteの違いは、システムとしての柔軟性です。Oracle ERP Cloudは、多彩な機能を搭載している上に、細かなパラメーター設定により、複雑なビジネスへも対応します。
そのため、中堅企業・大企業など、業務が複雑化しやすい企業への導入が適しています。
一方、NetSuiteは、Eコマース・CRMなどの機能が搭載されたオールインワンERPという特徴があります。しかし、Oracle ERP Cloudほどの柔軟なカスタマイズができないため、中小企業など比較的シンプルな業務に適しています。
したがって、Oracle ERP Cloudは中堅・大企業が、NetSuiteは、スタートアップ企業〜中堅企業が導入するケースが多く見られます。
Oracle ERP Cloudと他のERP製品を比較
最後に、Oracle ERP Cloudと他のERP製品を比較します。
どのERPシステムも基幹システムを支えるものですが、製品によって目指す達成目標が異なります。この章では、Oracle ERP Cloudと下記3種類の製品を比較します。
- SAP Business One
- IFS Application
- GRANDIT
ぜひ、製品選びの参考にしてみてください。
製品1.SAP Business One
SAP Business Oneは、SAP社が提供する世界シェア第1位のERPシステムです。SAP Business Oneは、世界の優良企業で遂行されるベストプラクティスを基に開発されています。
そのため、導入により、優良企業の業務プロセスに標準化できる点は大きなメリットといえます。また、入力データの共有にタイムラグが生じない点も魅力。
即座にデータベースへ共有されるため、各部門間の連携強化を実現できます。
製品2.IFS Applications
IFS Applicationsは、製造業に特化したERPシステム。日本の製造業は、業務プロセスが複雑化しているため、これに合わせ、システムが肥大化・ブラックボックス化しているケースが多く見られます。
しかし、IFS Applicationsの場合、標準機能が充実していることで、過度なカスタマイズ・拡張を必要とせず、システムの複雑化・ブラックボックス化を回避できます。IT分野の分析・調査をおこなうIDC社からは、機能面評価世界1位に認定されているなど、高い評価を受けているシステムです。
また、必要機能のみを組み合わせて導入できる、コンポーネント型を採用しているため、各会社のニーズにあったシステムを導入できるでしょう。
製品3.GRANDIT
GRANDITは、純国産のERPシステムです。そのため、日本独自の商習慣にも強い点が特徴です。
GRANDIT株式会社は、SI企業によるコンソーシアム形式をとっているため、各企業のノウハウを掛け合わせ、実用性の高いERPシステムを提供しています。また、一般的なERPの基本機能に加え、EDI、EC、BIなどを標準搭載しています。
基幹業務を超え、グループ企業や取引先までの情報フローを最適化できるでしょう。
自社にとって最適なERPを選ぶための3つのポイント
自社にとって、最適なERPを選ぶためには、下記3つのポイントが大切です。
- 導入目的を明確にする
- 求める機能が搭載されているのか
- 導入後にカスタマイズが可能か
自社にとって最適なERPシステムを導入できれば、業務の最適化が実現するでしょう。しかし、仮に製品選びで失敗すると、目標の達成が困難となり、多額のコストが無駄になってしまいます。
したがって、ERPを選定する際には上記のポイントを守り、慎重に進めるようにしましょう。ERPシステムの選定方法や失敗事例について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
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Oracle社のERPだけでなく他のERPとも比較・検討しよう
Oracle ERP Cloudは、柔軟性が高く、ガートナー・G2からリーダーに認定されるERPシステム。そのため、業務が複雑化しやすい中堅企業・大企業で導入されるケースがほとんどです。
Oracle社のERPは世界シェアが高く信頼できる製品ですが、最適なERPを選ぶためにも、他の製品と比較・検討するとよいでしょう。
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