ERPとMESの違いとは?連携が求められる背景とデメリットも解説

  • 2022年4月21日
  • 2024年3月19日
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ERPとMESの違いは、何を最大化するのかという目的です。

本記事では、ERPとMESの具体的な違いを中心に、システム間連携の必要性を解説します。

ERPとMESの違いを知りたい方・システム連携を検討している方は、ぜひご覧ください。

ERPとMESの違いとは?

本章では、ERPとMESの目的がなぜ・どう違うのかを解説します。

システムごとの機能や概念の違いについて、基礎知識としてご覧ください。

ERPとMESのシステム連携の必要性を考える際の参考にもなります。

MESは生産の最大化が目的

MESは「Manufacturing Execution System」の略で、製造現場を中心としたシステムです。

生産のQCD(品質・コスト・納期)の改善による生産の最大化を目的とします。

主な機能は現場情報の収集し、分析・評価をおこなうこと。

システムの使用者は生産管理・製造などの管理層や業務担当が中心であり、経営層が関わるケースが少ないのが特徴です。

ERPは利益の最大化が目的

ERPは「Enterprise Resources Planning」の略で、情報の一元化による業務効率アップや利益の最大化が目的です。

部署ごとに散らばっていた情報を集約し、管理と活用をしやすくできるのが大きなメリット。

現場層・管理層・経営層の全てが関わるのが特徴で、企業全体の可視化に貢献します。

企業全体の可視化がもたらすのは、リアルタイムの情報確認による素早い経営判断です。

そのためERPは、企業の競争力を強化しながら、利益の最大化が可能です。

【徹底比較】ERPとMESの比較表

ERPとMESがどのように違うのか、ポイントごとに表を作成しました。

違いがひと目でわかるため、ERPとMESの違いを確認する際にお役立てください。

比較のポイント ERP MES
管理の目的 ・ヒト・モノ・カネの経営資源の最適な活用 ・製造現場のヒト・設備・モノの最適な活用
管理の方法

・経営と業務を一体とした目標管理

・目標に対する達成状況の把握および改善

・製造現場のQCD管理
情報を活用する目的 ・経営判断

・製造現場の改善促進

・工程の標準化促進

活用者

・経営層

・管理層

・業務担当

・管理層

・業務担当

システム導入方法 ・トップダウン

・ボトムアップ

・トップダウン(グローバル展開の場合)

情報管理粒度

・年~日

・日~秒
インターフェース

・ERP→MES(作業の指示)

・PLM→ERP(製品の構成管理)

・現場機器→MES(操業の情報)

・MES→ERP(作業の実績)

管理機能

・製品構成管理/設計変更

・販売管理

・生産計画

・購買管理

・在庫管理

・製造指示

・製造実績の収集

・製造原価の管理

・財務会計

・経営管理

・仕様/文書管理

・工程計画

・製造プロセス管理

・実績データの収集

・工程/製品の品質管理

・現場の在庫管理

・生産追跡

・設備保全/保守

MESに比べ、ERPのほうが機能の幅が広く、活用者も多いのがわかります。

さらに、MESとERPでは活用者の部署数にも違いがあります。

MESは生産管理・製造・品質なのに対し、ERPは営業・設計・生産管理・購買・製造・経理です。

続いてERPとMESの連携が本当に必要なのかについて考えてみましょう。

ERPとMESの連携は必要なのか?

製造業においては、計画層・実行層・制御層と3つの管理レイヤに分かれます。

ERPは計画層、MESは実行層を担い、2つのシステムは連携したほうが効率的に感じられます。

しかし、ERPとMESは本当に連携すべきなのでしょうか?

ERPとMESの連携が必要なのかを考えてみましょう。

ERPは計画層向けのシステム

ERPは全体の情報を一元管理するため、担う業務は必然的に生産計画をはじめとした計画層となります。

情報の管理単位が年~日と、計画に向いた粒度になっているのが特徴です。

しかし、近年では技術の進歩により、MESの機能を備えたERPも珍しくありません。

ERPは1つのシステムだけで計画層から実行層までをカバーでき、コスト削減にもつながります。

MESは実行層向けのシステム

MESは製造現場に特化しており、日~秒の単位で情報を管理できます。

生産計画にもとづいた作業スケジュールの組み立てや作業者への指示、作業手順に関わる情報提供が得意なのが特徴です。

しかし、MESは全体的な生産計画を行えないのがネックです。

せっかくMESを導入しても、主な機能が具体的な作業スケジュール組み立てにとどまるのはコストパフォーマンスがいいとはいえません。

ERPとMESの連携はすべきでない

ERPはMESが担う役割をカバーできるシステムです。

つまり、MESとERPを連携し、両方のシステムを維持するにはコストパフォーマンスが悪いということ。

MESとERPの連携を考えるより、企業内のシステムをERPで統一したほうが効率的かつ低コストです。

さらに、ERPとMESの連携によってシステムトラブルを引き起こす可能性があります。

ERPとMESの連携によるデメリットと、実際に発生したトラブルを次で解説します。

ERPとMESを連携する2つのデメリット

MESをすでに導入している企業にとって、ERP導入後の活用方法は以下の2つです。

  1. ERPで所要量計算を担い、MESで資材と工程管理を行う
  2. 全ての業務をERPで一本化する

企業によって考え方は異なりますが、ERPとMESの連携を検討している場合は、デメリットに注意を要します。

ERPとMESの連携におけるデメリットを紹介します。

デメリット1.ERP・MES連携は時間情報の管理が困難

ERPとMESでは、情報を管理するうえでの時間の単位が異なります。

ERPは年~日なのに対し、MESは日~秒といったようにです。

もちろん、ERPもMESも提供元によっては単位が同じ場合もあるでしょう。

しかし、そもそも目的が違うシステムの連携においては、各システムの持つ情報の管理が困難なのは明白です。

作業効率の向上を求めてシステムを導入した結果、作業効率が低下してしまう可能性もあります。

ERPとMESの連携は、時間的な情報の管理が難しい点を念頭に置いて検討すべきです。

デメリット2.ERP・MES連携はデータ共有が困難

ERPとMESは、提供するベンダーが異なるケースが多く、データベースサーバーが独立しています。

データベースサーバーの独立は、各システムの情報を効率良く保存できる反面、連携のしにくさがデメリットです。

ERPとMESは異なる領域のデータを扱う以上、連携後はどんなエラーが発生するのか予測は困難。

さらに、ユーザーからはERPとMES、どちらがエラーの原因になっているかわかりにくいケースもあります。

エラーの原因を探るためにはシステムを切り分けを必要とし、その間はERPとMESの担当者間をたらい回しにされるシーンも想定されます。

デメリット3.導入後にERP・MESの連携エラーが生じる

ERPとMESを連携させると、エラーが生じるケースが多くみられます。

システム上はERPもMESも問題なく稼働するものの、平均月10件のエラーが発生してしまった声も聞きました。

エラーの発生頻度も高く、平均して月に10件程度でした。

連携したシステムには何の問題もなく、エラーの要因となり得るものはありません。

では、なぜ高い頻度でエラーが発生してしまっているのでしょうか。

結論は、システム外のトラブルです。

ERPとMESが正常に稼働しているのであれば、考えられるのはインターネットの遅延や一時的な切断など、システム外の事象が原因でしょう。

エラーはその都度解消するしかなく、今後も同一の対応が必要と考えられます。

そのため弊社では、ERPとMESの連携ではなくERPの一本化を推奨しております。

MESの機能に寄せられるIFSのERPとは?

ERPとMESの連携は、様々なエラーが生じる点から現実的とは言えません。

そこでおすすめなのが、IFS社が開発したERP「IFS Cloud」です。

本章では、IFS社のERPがどれくらいMESの機能に寄せられるのかを解説します。

ERPはMESの所要量計算を担える

ERPはMRPの「必要な時に・必要なものを・必要なだけ」という考え方によって開発されたシステムです。

よってERPは、所要量計算による計画作成は得意とする分野です。

ERPの導入により所要量計算が可能であれば、エラーの頻発を覚悟してMESと連携させる必要はありません。

所要量計算による計画策定・工程や作業を軸とした進捗管理はERPのみで事足ります。

IFSのERPはMESの工程・作業管理を担える

IFS社のERPには製造オーダという機能を有します。

製造オーダとは製品の製造にあたって必要な資材や工程を管理する機能のこと。

さらに製造オーダには資材と在庫を引き当てによる在庫の払い出し管理機能もあります。

したがって、IFSのERPはMESと同等に機能を持っているといえます。

基幹システムをERPで一本化できれば、社内全体の作業効率が向上可能です。

経営層・管理層・現場層、それぞれが同じデータをもとにして作業できれば、人為的なミスも少なくなるでしょう。

結果的に企業に競争力が身に付き、事業の成長を促進できる状態になります。

IFSのERPはDX推進の役割も

押し寄せるIT化の波・多様化する消費者ニーズ・慢性的な人材不足を解決する方法としてDXの必要性が叫ばれています。

IFSのERPは、多様化するニーズに対してフレキシブルに対応できる豊富なモジュールを擁し、企業全体の効率化を可能にします。

工場現場のみならず、企業全体の可視化を図り、適材適所の人事を行うのも可能でしょう。

これまでのように、部署ごとに違った機関紙システムを導入し、年度末にすり合わせに追われる心配もありません。

IFSが提供するERPは、MESで悩む企業にとどまらず、DX推進を検討する企業にとっても有益です。

MESとERPでお悩みの方へ

本記事では、ERPとMESの違い・連携を欲する背景とデメリットを解説しました。

お伝えしたポイントは、以下3つです。

  1. ERPはMESの範囲も管理可能
  2. ERPとMESの連携は現実的ではない
  3. IFSのERP導入は企業にとって有益

MESとERP、どちらもコストや導入期間を必要とし、慎重な判断が必要です。

当メディアを運営するチェンシージャパン株式会社は、日本の生産形態にフィットするERP「IFS Cloud」を提供しております。

コストや導入期間に合わせた開発の相談も受け付けておりますので、お気軽にお問合せください。

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チェンシージャパンは、ERPソリューションIFS Cloudの販売・導入・構築・運用までワンストップで提供中。

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グローバルERP IFS導入におけるシステムインテグレーター『チェンシージャパン株式会社』

チェンシーグループの日本法人として、アジア地域の企業に向けて高品質で革新的なソリューションを提供しています。日本・アメリカ・中国・タイを拠点にIFS経験者を100名以上を抱え、海外拠点へ進出されるお客様プロジェクトの円滑な支援も実現します。

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