​​SaaS型ERPとは?メリット・デメリットとオンプレミス型との違い

ERP

近年注目されているSaaS型ERP。

「どのようなERPなのだろう」と、疑問に思う方も多いでしょう。

この記事では、SaaS型ERPのメリット・デメリットを解説します。

オンプレミス型ERPとの違いとあわせてご覧ください。

SaaS型ERPとは?

SaaSとは、インターネットを経由して提供されるサービスのことです。

この章では、SaaS型ERPの特徴とクラウド型ERPとの違いを解説します。

SaaS型ERPの特徴

SaaS型ERPの主な特徴は、下記の3つです。

  • ERPシステムの全レイヤーを提供
  • サブスクリプション方式での利用
  • オンライン環境で利用可能

1つ目の特徴は、ERPシステムの全レイヤーをベンダーが提供すること。

SaaS型ERPでは、サーバーなどのインフラから、OS・アプリケーションに至るまで、システムサービスの全階層を、ベンダーが提供します。

SaaS型の代表例としては、Googleが提供するGmailがあります。

ユーザーがGmailを利用するために、サーバーの構築やOS・ソフトウェアを作成する必要はありません。

SaaS型ERPも同様で、ERPサービスの利用に必要なものをすべて提供してもらえるため、比較的手軽にシステムを導入できます。

2つ目の特徴は、システムを購入するのではなく、サブスクリプション方式で利用することです。

SaaS型ERPでは、定額料金を支払って、ベンダーが提供するシステムを利用するケースが一般的。

価格帯型は、ERPシステムの種類によって異なりますが、主に月額料金制・従量課金制のどちらかに分類されます。

SaaS型ERPは、システムを購入するわけではないため、初期費用を抑えて導入できるでしょう。

3つ目の特徴は、オンライン環境で利用できることです。

SaaS型ERPは、インターネットを介してベンダーから提供されます。

オンライン環境さえあれば、社内外問わずアクセスできるため、利便性の高いシステムといえます。

SaaS型ERPはクラウド型ERPの一部

SaaS型ERPをクラウド型ERPと呼ぶケースは、少なくありません。

ただし、クラウドERPとは、クラウド環境で利用できるERP製品の総称のこと。

SaaS型ERPは、あくまでもクラウド型ERPが表す製品の一部であるため、混同しないよう注意が必要です。

クラウドERPにはSaaS型の他に、PaaS型・IaaS型が含まれます。

SaaS型・PaaS型・IaaS型の違いは、何をサービスとして提供しているのかです。

引用:IaaS、PaaS、SaaSの違いとは?|SB Cloud

先述の通り、SaaS型はシステムの全レイヤーを提供しますが、PaaS型・IaaS型の場合は、システムの一部レイヤーを自社で構築する必要があります。

クラウドERPとSaaS型ERPは同じ意味として使われがちですが、クラウド型ERPにはPaaS型ERP・IaaS型ERPが内服されているため、混同しないようにしましょう。

SaaS型ERPの4つのメリット

SaaS型ERPの導入には、4つのメリットがあります。

  • 場所を選ばずシステムにアクセス可能
  • 導入・運用管理の効率化でコストを削減
  • 2層ERPの実現が可能
  • セキュリティ面での安心

それぞれのメリットについて、詳しく解説します。

メリット1.場所を選ばずシステムにアクセス可能

SaaS型ERPは、インターネット経由でシステムが提供されるため、ネット環境さえあれば、どこからでもアクセスできます。

また、PC以外にタブレット端末・スマホ端末からでもアクセスできるため、各業務に適したデバイスでERPシステムを利用できます。

たとえば、社内に常駐するケースが多い、会計部門であれば社内PCがよいでしょうし、外出の多い営業部門であれば、タブレット端末・携帯端末がよいでしょう。

利便性が高く、近年の多様化する働き方にも適合させすい点は、SaaS型ERPならではのメリットです。

メリット2.導入・運用管理の効率化でコストを削減

SaaS型ERPは、システムの導入工程と運用工程が効率化されています。

従来のシステムでは、サーバーの構築・システム開発・導入後の運用などを自社でおこなう必要があります。

しかし、SaaS型ERPでは、サーバー構築や導入後の運用をベンダーが担当します。

また、システム運用が不要なことで、社内のIT人材を重要度の高い業務に配置できます。

そのため、システムの導入・運用にかかるトータルコストを大幅に削減できる上に、人材配置の最適化にも繋がります。

メリット3.2層ERPの実現が可能

SaaS型ERPは、クラウド環境であれば利用できる上に、各国の商習慣・他言語に対応した製品も多くみられます。

そのため、本社にコアとなるERPを導入し、グループ会社や海外支社にもうひとつのEPRを導入し、双方を連携させる2層ERPの実現が可能です。

2層ERPを実現することで、本社と支社の情報資源を可視化でき、経営資源の効率化・迅速な経営判断などが期待できます。

自社内にサーバーを設置してERPを導入するオンプレミス型でも、2層ERPの実現は可能でしょうが、現実的ではありません。

オンプレミス型の場合、ERPの導入・運用に莫大なコストがかかり、さらに海外ともなれば、インフラ整備に関する問題が発生するためです。

コスト面・インフラ面の問題を最小限に抑えられ、2層ERPを実現しやすい点は、SaaS型ERPならではのメリットです。

メリット4.セキュリティ面での安心

SaaS型に限らず、クラウドERPは、外部で情報を管理をするため、セキュリティ面が脆弱といわれるケースが少なくありません。

しかし、必ずしも情報漏洩につながりやすいわけではありません

社内サーバーで機密性の高い情報を管理する大企業などは、セキュリティ面に膨大な投資をして、常に十分な対策を施しています。

ただし、すべての会社がセキュリティに十分な投資ができ、最新の対策を施せるわけではないでしょう。

一方、SaaS型ERPは、ベンダーが提供するサーバーで情報を管理します。

ベンダーは、「顧客の情報漏洩が自社にとって大きなリスクである」と捉えているため、セキュリティ面に多くの投資をし、常に最新のセキュリティ対策を維持しています。

つまり、自社で十分なセキュリティ対策を実施している会社以外は、SaaS型ERPを利用する方が、セキュリティ面での安全性が高いといえます。

SaaS型ERPの3つのデメリット

SaaS型ERPには、メリットのみならずデメリットも存在します。

  • カスタマイズ性・連携性が低い
  • ランニングコストへの不安
  • オフライン環境では稼働しない

それぞれのデメリットを詳しく解説します。

デメリット1.カスタマイズ性・連携性が低い

SaaS型ERPは、標準化されたERPを導入する形態です。

そのため、ERPの機能を独自にカスタマイズすることは非常に難しいといえます。

仮に、カスタマイズを施したとしても、ベンダーがシステムをアップデートした際に、何らかの障害が発生するケースがあります。

そのため、SaaS型ERPのカスタマイズは、実質的に不可能といえるでしょう。

また、SaaS型ERPは、ベンダーが開発するため、既存業務・既存システムと100%適合することはありません。

ただし、近年では、カスタマイズ性・連携性の高いシステムや特定業種に特化したシステムも存在します。

こうしたシステムを導入すれば、既存業務との適合率を高められるため、選定時の候補に加えるとよいでしょう。

デメリット2.ランニングコストへの不安

メリットでコスト削減につながると解説しましたが、長期間のシステム利用で発生するランニングコストには、不安を抱える方も多いでしょう。

オンプレミス型ERPと比較すれば、導入時の初期費用・システムの保守にかかる運用費は大きく削減できますが、決して0ではありません。

SaaS型ERPは、システムを利用する限り月額料金制、もしくは従量課金制で料金を払い続けなければなりません。

SaaS型ERPを検討する際には、短期間でのコストではなく中長期間でのコストに基づいて判断するとよいでしょう。

また、SaaS型ERPには、一部の機能のみを導入できるコンポーネント型・業務ソフト型ERPが存在します。

自社の抱える問題と財政状況を考慮し、コンポーネント型・業務ソフト型ERPの導入を検討するのもよいでしょう。

デメリット3.オフライン環境では稼働しない

SaaS型ERPはオンライン環境で利用できる一方で、オフライン環境では稼働しない点には注意すべきです。

出張先や自宅からでも社内データにアクセスできるため、業務効率化に繋がりますが、インターネット環境がない場合は、その効果を発揮しません。

そのため、SaaS型ERPの導入に際しては、モバイルWi-Fiの支給など各業務に合わせたインターネットインフラの整備が必要です。

また、インターネットに何らかの障害が発生すると、業務が遂行できない可能性もあります。

災害時や万が一の事態に備えた、予備のインフラ整備をしておくと、上記リスクを最小限に抑えられます。

SaaS型ERPとオンプレミス型ERPの違いとは?

SaaS型ERPとオンプレミス型ERPの1番の違いは、導入形態が異なることです。

この章では、SaaS型ERPとオンプレミス型ERPの違いを深掘りして解説します。

オンプレミス型ERPとは?

オンプレミス型ERPとは、自社内に構築したサーバーにERPシステムを導入・運用する形態のこと。

ERPシステムをベンダーから一括購入、もしくは自社で1から設計するフルスクラッチが一般的です。

オンプレミス型の場合、セキュリティ対策やシステムの運用・保守を自社でおこなう必要があるため、膨大なコストがかかります。

その一方で、システムを自由にカスタマイズできるため、自社業務に最適なシステムを導入できるメリットがあります。

オンプレミス型ERPは、コスト面・技術面でのハードルが高いため、中堅企業・大企業で導入されるケースが多くみられます。

SaaS型ERPとオンプレミス型ERPの3つの違いを比較

SaaS型ERPとオンプレミス型ERPの主な違いは、下記の3つです。

・導入形態
・トータルコスト
・カスタマイズ性・拡張性

1つ目の違いは、双方の導入形態です。

SaaS型ERPの導入形態は、ベンダーが管理する外部サーバーに、標準化されたERPを導入するというもの。

一方のオンプレミス型ERPは、自社で構築したサーバーに、自社開発もしくは購入したERPを導入します。

外部サーバーに導入するSaaS型ERPと自社サーバーに導入するオンプレミス型ERPでは、導入形態が大きく異なります。

2つ目の違いは、システムの導入・運用にかかるトータルコストです。

SaaS型ERPは、導入・運用の多くをベンダーが担当するため、導入コストを安く抑えられるでしょう。

オンプレミス型ERPは、サーバーの構築やシステムの運用、セキュリティー対策などを自社でおこなうため、トータルコストが高額になることが予測されます。

SaaS型とオンプレミス型では、システムの導入・運用にかかるコストにも大きな違いあります。

3つ目の違いは、カスタマイズ性・拡張性です。

SaaS型ERPは、自由にカスタマイズできないケースが少なくありません。

対して、オンプレミス型ERPは、システムを自社が保有しているため、自由にカスタマイズできます。

見方を変えると、SaaS型ERPよりもオンプレミス型ERPの方が、既存業務に適合させやすいということです。

SaaS型ERPは中小企業・中堅企業に最適なソリューション

この記事ではSaaS型ERPについて解説しました。

SaaS型ERPとは、インターネットを経由して提供されるサービスです。

SaaS型ERPはオンプレミス型ERPよりもカスタマイズ性・拡張性が劣りますが、低コストでシステムを導入・運用できます。

そのため、スタートアップ企業を含めた中小企業・中堅企業に最適なERPシステムといえます。

 

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