インダストリー5.0の基礎知識を解説!製造業が目指すべき未来とは

  • 2023年3月29日
  • 2024年7月12日
  • 製造業

インダストリー5.0では、より高品質な製品の効率的製造と、社会的課題解決の両立が提唱されています。

しかし「どのように取り組めば実現できるのか?」と気になる方もいるでしょう。

本記事では、インダストリー5.0の基礎知識・インダストリー4.0との違い・メリットをまとめました。

インダストリー5.0が製造業に求めている変革とあわせてご覧ください。

インダストリー5.0(第5次産業革命)とは?

インダストリー5.0は「人間中心の持続可能な産業への変革を目指す構想」として、2021年にヨーロッパ委員会が提唱した概念です。

インダストリー5.0の目的は、生産性の高い製品製造と、環境・健康・社会などが抱える課題解決の両立。

歯止めの効かない環境破壊や、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)などが背景として、新たな概念を提唱したのです。

インダストリー4.0(第4次産業革命)とインダストリー5.0の違い

インダストリー4.0とは、人間の介入を最低限にして、プロセスの自動化が優先される取り組みです。

プロセス自動化を優先すると、作業効率の向上が見込める反面、カスタマイズ・パーソナライズへの柔軟な対応が課題に。

対して、インダストリー5.0はニンベンのついた自動化である「自働化」を提唱しています。

自働化とは、人が中心となって機械と協働する未来のこと。

インダストリー5.0では、人と機械が手を取り合い、助け合うことでより効率的な生産を目指します。

インダストリー5.0が提唱する3つのコンセプトとは?

インダストリー5.0が提唱する3つのコンセプトは以下の通りです。

コンセプトごとに解説します。

コンセプト1.困難を乗り越える「レジリエンス(回復力)」

レジリエンスとは、パンデミックや自然災害による突発的かつ破壊的な変化が訪れた際に、産業や生活を守る力です。

たとえば、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が蔓延した際には、非対面をテーマにした様々な技術やサービスが生まれました。

人や産業が、今後も状況の変化に柔軟に対応するには、デジタル技術を駆使して適応する能力が必要です。

コンセプト2.地球環境に配慮した企業活動「サステナビリティ(持続可能性)」

サステナビリティとは、将来的な負担を残さずに発展を目指す概念です。

具体的には、再生エネルギーの使用や循環型へのアプローチによって、地球環境の保全と企業の発展を目指します。

サステナビリティの例としては「SDGs」が代表的です。

SDGsは脱貧困・飢餓のゼロ化などを目的として、目指すべき目標を具体的にしています。

インダストリー5.0では、SDGsのようなサステナビリティに配慮した活動を、企業に提唱しています。

コンセプト3.ニーズを満たし利益を最大化「人間中心」

人間中心とは、ヒトのニーズを満たして利益最大化を目指す概念です。

これまでは、安全性を確保する目的で、ロボットは隔離したエリアで稼働させるのが一般的でした。

一方で、インダストリー5.0は人間中心の概念を踏まえ、ヒトと機械の協働を提唱しています。

人と機械の協働を実現できれば、作業効率と生産性がさらに向上し、利益を最大化できる可能性が見込まれるためです。

インダストリー5.0の3つのメリットとは?

インダストリー5.0の実現がもたらすメリットは下記の3つです。

メリットを具体的に解説します。

メリット1.ロボット・コボットによる省力化・安全確保

総務省が発表した「我が国における総人口の長期的推移」によると、2050年には総人口が9,500万人ほどまで減少する見込みです。

そのため、将来にわたって事業を発展させるには、新たな労働力が必須。

人口減少による労働力不足を背景に、次世代型の軽量ロボットであるコボットに注目が集まっています。

コボットは、生産ラインで働く人の存在・動きを検知でき、製品の組み立て・資材運搬・他ロボットとの取り次ぎが可能。

作業効率がさらに向上し、多品種少量生産と少品種大量生産の両立を目指せるでしょう。

メリット2.デジタルツイン×ビッグデータ活用で予測値の正確性向上

インダストリー5.0が描く未来では、ビッグデータをもとに仮想空間で生産現場をシミュレートし、現実空間にフィードバックするデジタルツインが活用されます。

多種多様なデータをもとにシミュレーションを行い、需要予測・生産数予測などのほか、生産に必要な人員数を正確に予測。

突発的な製品の受注にも柔軟に対応し、生産計画を策定に要する時間と業務量の削減に期待できます。

より正確な予測値の把握は、経営方針の決定にも活用可能。

将来的なニーズの変化が予測しやすくなるため、自社をどのような方向に導くべきかの判断が容易になるでしょう。

メリット3.環境に配慮した生産活動が可能

現代社会では、地球温暖化・海洋汚染などの環境問題に配慮した生産活動が求められています。

インダストリー5.0では、新技術によって生産に使用する資源と廃棄物を最小限に抑えることを目指しています。

資源や廃棄物を最小限にできれば、生産プロセス全体の効率化も図れるため、一石二鳥の取り組みとなるでしょう。

インダストリー5.0、製造業に求められる3つの変革とは?

インダストリー5.0を実現するには、製造業はどのような変革を遂げるべきなのでしょうか。

本章では、インダストリー5.0が製造業に求める、以下3つの変革を解説します。

変革1.基幹システムを導入する「BX」

BX(ビジネストランスフォーメーション)とは、IT・デジタル技術の導入によって、業務見直しや業務改善を進める取り組みです。

デジタル化の例としては、営業活動を支援するCRMや、経営関連の情報を一元化するERPの導入が代表的。

BXは、IT・デジタル技術の導入のほか、従業員の意識改革も必要です。

インダストリー5.0に向け、IT・デジタル技術を活用した業務改善ができるよう、従業員一人ひとりと意識を共有しましょう。

変革2.持続可能な企業価値を創造する「SX」

SX(サステナビリティをトランスフォーメーション)は、経済産業省の「サステナブルな企業価値創造に向けた対話の実質化検討会」で提唱されました。

提唱された具体的な内容は、おもに下記の3つです。

  • 5年・10年という長期的な時間軸で対話を進め、企業のサステナビリティ(稼ぐ力の持続性)を高めること
  • 社会のサステナビリティ(長期的な社会の要請)を経営に反映させること
  • 企業のサステナビリティと社会のサステナビリティを同期化させた経営戦略の立案と実行

SXは、様々な課題を抱える現代で、長期的な成長を続ける企業であるために有用な戦略指針です。

変革3.人材不足対策「EX」

EX(エンプロイーエクスペリエンス)は、金銭的な価値を除いた、従業員が企業で働いて得られる経験や体験です。

EXには、仕事で得た充実感や達成感・周囲の評価・職場環境・福利厚生などが該当します。

人材不足のほか、人材の流動性が高まりを見せているため、EXを高めて人材を確保する必要があるのです。

従業員が就職し、退職に至るまでのライフサイクルを俯瞰して捉え、EXの向上を目指しましょう。

日本版インダストリー5.0「Society 5.0」とは?

画像引用:内閣府 内閣府の政策 科学技術政策 Society 5.0

日本では、インダストリー5.0に先駆けてSociety 5.0が提唱されました。

本章では、Society 5.0で提唱された内容を解説します。

1.Society 5.0は経済発展・社会的課題解決の両立を目指す構想

Society 5.0は、科学技術による連続的なイノベーションを生み出し、経済・社会的な課題に先手を打って対応する構想です。

科学技術基本計画の「第5期科学技術基本計画」で初めて提唱され、超スマート社会を目指した様々な取り組みが盛り込まれています。

たとえば、国内外の人材・知・資金を活用した循環型のシステム構築や、若手人材の育成・活躍促進に向けた取り組みなどです。

Society 5.0では、様々な取り組みを通して「誰一人残さない社会」の実現を目指します。

2.Society 5.0で非横断的な情報共有・連携が可能になる

Society 5.0では、IoTで全てのモノと人がつながり、様々な知識・情報がスマートに共有される社会を目指します。

そのために必要なのは、AIの活用です。

これまでは、自分に必要な情報探索が負担となる面もありました。

しかし、AIが必要な情報を見つけてくれるようになれば、負担は軽減されます。

3.Society 5.0は仮想空間と現実空間の融合がカギ

Society 5.0では、仮想空間に集積されたビッグデータをAIが解析し、結果を現実空間へとフィードバックするデジタルツインの仕組みを活用します。

仮想空間のビッグデータと現実空間のユーザーの間にAIを置くことで、付加価値の高い情報提供や提案が可能になるのです。

製造業界では、デジタルツインによって、製品材料・燃料などの削減効果や作業効率化に期待できるでしょう。

インダストリー5.0・Society5.0に必須なビッグデータ、ERPで効率活用を

本記事では、インダストリー5.0の基礎知識やメリット、製造業界に求められる変革を解説しました。

インダストリー5.0やSociety 5.0は、ビッグデータの活用が必須であり、ERPはビッグデータを経営戦略に活用できるソリューションです。

当メディアを運営するチェンシージャパン株式会社では、中小企業向けのERPソリューションを提供しております。

インダストリー5.0・Society 5.0に向けて、新規システムの導入を検討されている方は、ぜひご相談ください。

柔軟性と使いやすさに優れるシステムを提案致します。

 

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