リードタイムを短縮できれば、的確な生産計画の策定・業績向上が可能です。
ただ、業務効率向上のためリードタイム短縮に取り組むものの、方法を間違えているケースも。
本記事では、リードタイムを的確に短縮する方法を解説します。
リードタイム短縮を推進する際の注意点とあわせてご覧ください。
リードタイム短縮の目的は「時間短縮・利益向上」
リードタイム短縮を簡単に説明すると、各工程のムダを洗い出してそぎ落とすこと。
結果的に作業効率が向上・過剰在庫の減少・収益向上を見込めます。
リードタイムは、製品の受注から納品までの期間を表し、製造業では以下4つの工程に分別されます。
- 開発リードタイム:製品の開発にかかる時間のこと、企業によっては開発がない場合もある
- 生産リードタイム:定数の生産に必要な時間のこと
- 調達リードタイム:製品に必要な資材の調達に必要な時間のこと
- 配送リードタイム:製品完成後、顧客に届けるまでの時間のこと
外注している製品がある場合は、外注してから自社に製品が届くまでの期間も含めて考えましょう。
【工程別】リードタイムを短縮する方法とは?
「リードタイム短縮を図ろうとしても、どこから手を付けて良いかわからない」という声を耳にします。
本章では、工程ごとのリードタイム短縮方法を解説します。
ポイントを押さえつつ、的確なリードタイム短縮にお役立てください。
工程別リードタイム短縮のポイント
1.開発リードタイム短縮は「共通化」がポイント
開発リードタイム短縮のポイントは、製品に使用する部品やサービスの共通化がポイントです。
部品やサービスの共通点が増えると、新たな仕組みや部品の開発にかける時間が必要なくなるため、開発リードタイムが短縮されます。
部品・サービスの共通化は、調達リードタイムの短縮も可能です。
同一部品の発注が増え、新規受注先を探す手間が減少。
大量に発注すると、資材調達のコストダウンにもつながるでしょう。
部品・サービスの共通化は、開発部門以外の作業効率化にも貢献します。
2.生産リードタイムは「現場目線」を忘れずに短縮
生産リードタイムの短縮に有効な手段は、おもに以下の4つです。
- スタッフの増員・整理・配置変更
- 不良品発生率低下対策の実施
- 製造機器の更新(新型導入・別メーカー品購入の検討)
- 生産計画の再策定
上記のほか、生産工程に合わせて、工程間・作業ごとのリードタイム短縮を実施しましょう。
ただし、製造現場目線を忘れてはいけません。
リードタイム短縮は大切ですが、製造現場が動きにくい環境になってしまっては本末転倒です。
生産リードタイムは、現場の意見ありきで考えるべきでしょう。
3.調達リードタイム短縮は「企業間調整」が必須
調達リードタイムは、取引先企業に発注計画書を提出してもらい、短縮可能なポイントを探ることで解決可能です。
短縮できるポイントを把握後に、取引先企業に改善案を持ちかけます。
企業間の関係が悪化しないよう注意が必要ですが、受注リードタイムが短縮できれば、高効率な生産が可能に。
自社で原料や部品生産を行っている場合、原料調達についての改善点を探りましょう。
改善点をリストアップ後に、調達計画を見直します。
4.配送リードタイムの短縮は「事前準備」を見直すべき
配送リードタイムの短縮に有効な手段は以下の2つです。
- 配送ルート・配送手段の見直し
- スピーディな発送が可能な環境構築
運送業者の再検討・比較をする際は、運送コストのほか、提案力にも注目しましょう。
提案力が高ければ、より効率的な配送ルートを提案してくれる可能性があるためです。
スピーディな発送が可能な環境構築では、梱包をはじめとした出荷準備がしやすいよう、倉庫管理を見直します。
商品の配置場所を変更する・人員を増やすなど、製品積み込みまでの時間を短縮できるよう整えてください。
リードタイム短縮、3つのメリットとは?
リードタイム短縮に取り組む前に、メリットを把握しておきましょう。
リードタイム推進メンバーや現場職員に対して、メリットを具体的に説明できれば、モチベーションアップが可能です。
リードタイム短縮のメリット一覧
メリット1.リードタイム短縮で時間・在庫コストを削減可能
リードタイム短縮は、作業効率と納品速度の向上が見込めます。
製品にかかる時間だけでなく、過剰在庫による在庫管理コストの軽減も可能となるでしょう。
たとえば、機会損失リスク対策としての在庫です。
リードタイムが短縮され、スピーディな生産が可能になれば、確保すべき最低限の在庫量は減少します。
在庫量に比例して減少するのは、在庫管理コストです。
在庫管理業務がスリムになり、業務効率化にも期待できます。
メリット2.キャッシュフロー改善にリードタイム短縮が有効
リードタイム短縮は、より多くの製品受注を可能にします。
リードタイム短縮により、受注から納品までの期間が短縮され、工場の稼働にゆとりが生じるためです。
中長期的な予測ができれば、工場の稼働時間を変えずに製造する製品を増やせるでしょう。
在庫減少・受注量増加といったメリットは、キャッシュフロー改善に大きく貢献します。
メリット3.リードタイム短縮が他社との差別化につながる
リードタイム短縮により、顧客満足度が向上する可能性があります。
リードタイム短縮は、高品質な製品のスピーディな提供を可能とするためです。
たとえば、同じ製品を同価格で提供する企業が複数あったとします。
品質も同程度と仮定した際に、競争力となるのは納期ではないでしょうか。
他の条件が全て同じであれば、よりスピーディに納品してくれる企業を選ぶのは当然。
リードタイム短縮は、他社との差別化を図り、競争力を身に付ける手段となり得ます。
リードタイム短縮で発生しがちな4つの注意点とは?
リードタイム短縮は、計画段階から効果が実感されるまで、手間と時間を要する取り組みです。
せっかくの取り組みをムダにしないためにも、注意点を押さえておきましょう。
リードタイム短縮実施の注意点一覧
注意点1.リードタイム短縮が目的化
リードタイム短縮は、計画・実施・効果検証・分析といった一連の流れを繰り返すべきです。
しかし、リードタイム短縮による課題解決を焦るあまり、効果検証や分析がおろそかになるケースも。
リードタイム短縮が目的とならないためのポイントは、下記の3つです。
- リードタイム短縮はPDCAサイクルを用いて継続する
- 段階を踏まえたリードタイム短縮を計画する
- リードタイム短縮の目標を数値化する
それぞれのポイントに注意しながら、リードタイム短縮による時間削減・利益向上を目指しましょう。
注意点2.非現実的なリードタイム短縮
工数削減によるリードタイム短縮は、製造現場と蜜な連携が必要です。
製造現場の動きを把握しないまま工数削減を実施すると、無理が生じて不良品・事故発生リスクが高まるためです。
工数削減を行う前に、製造現場に対して、リードタイム短縮の主旨を説明するのもポイント。
取り組みの内容やメリットについて、あらかじめ説明しておけば、現場の協力が得られやすいでしょう。
経営・管理・現場が三位一体となってリードタイム短縮に取り組めば、非現実的な工数削減となるリスクが大幅に減少します。
注意点3.小ロット生産はリードタイムがリスクになる可能性も
リードタイム短縮により在庫数を減らした場合、突発的なトラブルに対処しきれない可能性があります。
特に小ロット生産では、在庫量が確保できず、機会損失するリスクが増大しやすい点に注意。
国土交通省「国土交通書白書 2020 第1節 我が国を取り巻く環境変化」によると、日本は洪水や土砂災害が起こりやすいことが判明しています。
洪水や土砂災害が発生すると、資材発注先や外注先との連携が途絶える事態が想定できます。
小ロット生産では生産数が少なく、在庫が確保しにくいぶん、リードタイム短縮によるデメリットに注意が必要でしょう。
注意点4.リードタイム短縮が生産管理の主幹業務を圧迫
生産管理部門は、製品の受注から納品までの全工程に携わる仕事です。
つまりリードタイム短縮には、生産管理部門の力が不可欠ということ。
しかし、生産管理の業務は煩雑です。
ゆえに、リードタイム短縮のような新たな取り組みを検討するにあたり、生産管理の主幹業務が圧迫されないよう配慮すべきです。
生産管理の業務効率化・業務負担軽減ができる道を探しながら、主幹業務に支障が出ないよう支援しましょう。
幅広い業務を担う生産管理向きの人材を探すよりも、ERPを導入したほうが効率的です。なぜなら、ERPで生産管理の業務負担を…
リードタイム短縮の効率的な推進を検討したい方へ
本記事では、リードタイムを短縮する方法を解説しました。
リードタイム短縮は、複数部門の業務効率・業績の向上が見込める取り組みですが、手間と時間がかかり頓挫してしまうことも。
リードタイム短縮が困難に思えた場合は、システムの刷新を検討してみてはいかがでしょうか。
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