R2R(Record-to-Report:記録から報告まで)とは、企業が財務情報を記録・報告するための一連プロセスのこと。
R2Rプロセスは、会計データ収集・整理・記録・集計・報告など、財務・会計サイクル全体にわたります。
本記事では、R2Rプロセスの概要・重要性・もたらす成果を解説します。
R2R(Record-to-Report)プロセス、7つの主要ステップ
R2Rプロセスの主要ステップは、おおきく7つあります。
- 会計データ収集
- データ整理
- 仕訳帳への記録
- 月次決算
- 会計報告
- 内部コントロールと監査
- 法的・規制要件・コンプライアンスの遵守
各ステップの概要をみていきましょう。
R2Rプロセス1.会計データ収集
R2Rプロセスの1つ目は、会計データ収集です。
会計データは、さまざまな部門・プロセスから収集します。
売上・仕入れのデータだけでなく、給与・資産取引・負債などの情報も含まれます。
R2Rプロセス2.データ整理
R2Rプロセスの2つ目は、収集した会計データの整理です。
収集したデータを、適切な会計基準・規則に従い、整理・カテゴライズしていきます。
データ整理作業は、勘定科目の割り当て・通貨換算・調整項目の追加などが含まれます。
データ整理時の検証は、収集データの信頼性を保証するために欠かせないプロセスです。
データの整合性を維持しながら、正確な分析・財務報告に役立ちます。
R2Rプロセス3.仕訳帳への記録
R2Rプロセスの3つ目は、仕訳帳への記録です。
整理したデータを、仕訳帳に記録します。
仕訳帳は、すべての財務取引を一元管理・随時記録するための帳簿です。
財務取引を正確に記録した上で会計システムに反映させるためには、仕訳とその過程での調整が必要です。
仕訳では、ビジネス取引を記録・財務諸表が会計原則と一致するよう調整し、組織の実際の財務状況が反映されるようにします。
R2Rプロセス4.月次決算
R2Rプロセスの4つ目は、月次決算です。
企業は、月末・四半期末などの定期的な間隔で、財務データを集計し決算をします。
決算には、収益・費用・利益・損失などの集計が含まれます。
R2Rプロセス5.会計報告
R2Rプロセスの5つ目は、会計報告です。
決算が完了した後、会計報告をするための財務諸表を作成します。
財務諸表に含まれるものは、貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書などです。
これらの報告書は、内部・外部の利害関係者に提供され、企業の財務状態・パフォーマンスを示すために使用します。
R2Rプロセス6.内部コントロールと監査
R2Rプロセスの6つ目は、内部コントロールと監査です。
もとより、R2Rプロセスとは内部コントロールの重要な要素を担っています。
内部監査部門では、プロセスが適切に実行されているか・規制や法的要件に準拠しているかどうかを確認します。
R2Rプロセス7.法的・規制要件・コンプライアンスの遵守
R2Rプロセスの7つ目は、法的・規制要件・コンプライアンスの遵守です。
企業は、会計原則や税法などの法的・規制要件に従うために、R2Rプロセスを運用します。
法的・規制要件の遵守は、法的制裁や罰金を回避しながら、信頼性のある財務情報を提供するために不可欠です。
コンプライアンスには、規制要件と内部管理ポリシーの遵守が含まれます。
調整とコンプライアンスにより、財務データの正確性が保証され、虚偽表示のリスクが軽減されます。
【豆知識】昨今のR2Rプロセス事情、効率性・精度向上したのはなぜ?
R2Rプロセスは、財務の健全性・透明性維持のために必要であり、会計士・財務専門家・内部監査部門などが関与します。
近年では、デジタル化・自動化がR2Rプロセスに導入され、効率性と精度が向上しています。
多国籍企業の事業運営におけるR2Rプロセス、2つの重要性とは?
製造業によくあるのが、複数拠点・複数国で事業展開するケースです。
本章では、多国籍企業の事業運営におけるR2Rプロセスの2つの重要性について、具体例とともに見てみましょう。
R2Rプロセスの重要性1.複数企業の財務データを、効率的に回収・分析可能に
多国籍企業は、さまざまな子会社や事業単位を持ちながら、複数の国で事業展開しています。
しかし、堅牢なプロセスが不足している場合、子会社などのすべての企業から財務データを収集する作業は非常に困難です。
困難な例として、財務チームが無数のスプレッドシートを手作業で精査し、データを正確に統合するために苦労するケースがあります。
ただし、適切に設計されたプロセスを使用すれば、財務業務を効率的に合理化できます。
各子会社や事業部門は、一貫した取引の記録・報告のために、標準化された会計慣行に従います。
この均一性により、財務データの効率的な統合が可能になるのです。
R2Rプロセスの重要性2.経営判断のための、タイムリーな財務報告が可能に
ビジネスプロセスにより、社内外の利害関係者にとって重要なタイムリーな財務報告が簡単になることもあります。
自動化・標準化されたワークフローを通じて、正確な損益計算書や貸借対照表などの作成を迅速化。
これにより、最新の財務情報にアクセスした上での、根拠に基づいた意思決定が可能になります。
R2Rプロセス自動化ソフトウェア、選定のコツとは?
R2Rプロセスを合理化・最適化できるソフトウェアは、数多く存在します。
ソフトウェア選定のコツは、自社のニーズと既存システムとの統合機能を考慮することです。
スタッフが使いやすいと感じるか・拡張性はあるのか・サポート面は充実しているかなども確認しましょう。
ソフトウェアの機能を評価・他製品との比較をした上で、類似企業による口コミ調査・専門家にアドバイスをもらうことをおすすめします。
R2Rをスマートに導くERPソリューション、成功に必要な要素とは?
プロセスやシステムの標準化は確かに大切ですが、重要なのはシステム基盤にあります。
イノベーションを支えるシステム基盤を整えることが、成功への近道です。
そこで活躍するのが、ERPソリューション。
ERPを活用すれば、膨大なデータのリアルタイム処理とともに帳簿が更新され、必要な情報にすぐアクセス可能です。
とてつもないデータを持つ多国籍企業であっても、データベースにアクセスすれば、最新データから瞬時にレポートを作成できます。
ERPは、受注から売上まで一元管理するだけでなく、製造原価などの一括管理が可能。
これにより、さまざまな箇所からデータを収集する必要はなくなり、数々のシステムをシンプルに管理できるようになるのです。
R2Rに課題を感じている製造業の方へ
本記事では、R2Rプロセスの概要・重要性について解説しました。
会計データ収集・整理・記録・集計・報告など、財務・会計サイクル全体にわたるR2Rプロセス。
記録から報告までのR2Rプロセス合理化は、柔軟性が高く競争力のあるビジネスを実現するために重要です。
膨大なデータを扱う企業であっても、正確な情報にリアルタイムでアクセスすることができれば、分析に基づいた最適な意思決定が可能になります。
R2Rに課題を感じている企業にとって、すべてのデータを一元管理できるERPソリューションは、生産性向上・業務効率化の一歩になる可能性が高いです。
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