製造業の「グローバルスタンダード」とは?具体的な取り入れ方を解説

  • 2021年11月25日
  • 2024年4月23日
  • 製造業

製造業での「グローバルスタンダード」の意味をご存知でしょうか。

DXやIT化などの言葉が飛び交う昨今、ビジネスをより有利に進めるためには、言葉の意味を適切に理解する必要があります。

本記事では、製造業のグローバルスタンダードについて、基礎知識・手順をまとめました。

製造業にグローバルスタンダードが求められている理由とあわせて、ご覧ください。

グローバルスタンダードとは?製造業が足並みを揃える必要性について

製造業がグローバルスタンダードに足並みを揃える必要性が、各所で唱えられています。

しかし、製造業でのグローバルスタンダードが指す意味や、必要とされる理由とは何なのでしょうか。

本章では、グローバルスタンダードの意味と製造業に求められる理由を解説します。

グローバルスタンダードとは「世界的な新基準」を指す

製造業において大前提となるのが「一定以上の品質を保った製品の継続的な製造」です。

独自の製品検査で品質を管理している経営者もいらっしゃいますが、後ろ盾がなければ品質の保証が不十分と言われかねません。

では、品質を保証可能な基準として、何を目標とすればいいのでしょうか。

そこでヒントとなるのが、グローバルスタンダードです。

国際的にも認められた工程と品質で製造ができていれば、自社製品の品質保証の後ろ盾となり得ます。

国内外の規格を取得できれば製品やサービスを普及させやすい

品質保証の後ろ盾となるグローバルスタンダードに足並みを揃えると、自社製品を売り込む営業が容易になります。

一定以上の品質が保証されていれば売り込み文句として使用でき、営業先からの信頼を獲得しやすいためです。

つまり、グローバルスタンダードに足並みを揃えると、自社製品を低コストで普及可能ということ。

営業に必要な人件費や広告費が抑えたぶん、新製品の開発や工場の整備などにコストをかけられます。

国際的な競争力があれば新たなビジネスチャンスにつながる

日本製品は現在窮地に立たされています。

海外ユーザーが抱いていた「安くて高品質」の印象は、今や中国・韓国・アメリカに対する印象と化しているのが現状です。

言い換えれば「日本製品だから」という理由だけでは売れないということ。

高品質だと言うだけの保証があるのがスタート地点であり、プラスアルファの付加価値が必要とされています。

国際的な競争力を身に付ける第一歩として、グローバルスタンダードに足並みを揃える必要性が叫ばれているのです。

製造業×グローバルスタンダード。足並みをそろえるために必要なこととは?

製造業がグローバルスタンダードと足並みを揃える際は、具体的にはどのように行動するべきなのでしょうか。

日本の製造業が世界的な競争力を身に付けるために起こすべき行動を解説します。

経営状態が先細りになる前に、明るい未来に向けて行動を起こしましょう。

有名なグローバルスタンダードは「ISO9001」

ISO9001とは品質マネジメントシステムに関する国際規格です。

170ヶ国以上の組織が利用している有名なグローバルスタンダード。

既にISO9001の取得が製造業に必要不可欠とも言えます。

ISO9001の知識を吸収し、行動に移してみましょう。

ISO9001は生産効率改善・品質向上による信頼獲得につながる

  • 業務効率改善・組織体制強化
  • 法令順守(コンプライアンス)推進
  • 見える化による事業継承の円滑化
  • KPI(キーパフォーマンス指標)管理
  • 品質保証による社会的信頼及び顧客満足度の向上
  • 企業価値の向上
  • 海外企業を含む取引要件の達成

ISO9001取得による効果は上記の通り。

認定組織からの認証を得るためには、自社の品質マネジメントシステムを見直し、組織の要求事項を満たす必要があります。

コストも時間も必要ですが、ISO9001獲得は自社の品質マネジメント力を示す証となります。

ISO9001獲得後は品質マネジメントシステムの改善により、生産効率・品質向上が可能となるのです。

ISO9001取得で自然にグローバルスタンダードへの対応が可能

イメージしやすく例えるのであれば、ISO9001取得は筋トレのようなものです。

はじめは華奢だった体も、PDCAサイクルを活かして筋トレを続ければ、国際的なボディビル大会に出場できる程の肉体が手に入ります。

ISO9001獲得に向けた努力や投資が、自社の力となって返ってくる点で同じです。

ISO9001は環境を整備していれば認証される規格ではありません。

しかし、自社の力を少しずつ強化していくからこそ世界で競争できるほどの力が身に付くのです。

製造業がISO9001認証を得るための手順とは【グローバルスタンダード】

ISO9001取得に向けて取るべき手順を解説します。

ISO9001は順序だてて行動を起こさなければ取得は困難。

コストと時間を無駄にしないためにも、ISO9001取得の手順を確認して頭に入れておきましょう。

手順1.グローバルスタンダードISO9001取得に向けた計画立案

計画立案の際に話し合うべきポイントは以下の通り。

  • ISO9001を取得する期限はいつにするか
  • 外部サポートを受けるかどうか
  • コストをどの程度見込むか
  • 審査機関はどこにするか

特に外部サポートを受けるかどうかは十分に検討すべきです。

品質マネジメントシステムの構築は自社だけでは困難であり、専門的な外部サポートを受ける必要があります。

審査機関については、現段階では必ずしも必要という訳ではありません。

しかし審査機関は国内に60程度あり、審査申し込み直前に決めるのは困難。

ISO9001に向けた取り組みを実施しながら選定しておくのがベストです。

手順2.品質マネジメントシステム構築・運用

自社に合っているシステム構築を目指すのが大切です。

既にISO9001を取得した他社のフォーマットを流用する方法を思い浮かぶ方がいらっしゃるかもしれませんが、ハイリスクです。

なぜなら、流用するシステムの運用先と全く同じ環境でない限り、使い勝手が悪くなり運用が大変なため。

自社の特徴や基準を確認し、専門家の意見を聞きながら規格要求事項に沿って落とし込みましょう。

運用が始まると、PDCAサイクルに則ったマネジメントを。

常に向上心を抱え、より良いシステムになるようPDCAサイクルを繰り返します。

手順3.グローバルスタンダードISO9001の審査を受ける

審査機関に申請した後の審査は2回。

一次審査ではマニュアルを始めとした文書や記録が、二次審査では計画から改善まで、実際の業務も含めた全てがチェックされます。

どちらの審査にも共通しているのは、改善点が認められた場合は審査機関の指示を無視せず、期限内に是正処置をとること。

審査結果が合格となればISO9001規格を掲げられます。

ISO9001は取得がゴールではない点に注意が必要です。ISO9001を掲げ続けるためには、毎年の審査をクリアし続ける必要があり、年々厳しくなるでしょう。常に向上心を持って業務に取り組み、よりよい生産体制を築き上げなければなりません。

製造業グローバルスタンダードはBOMの見直しから

BOM(Bill of Materials)は製造業における生産管理の基本です。

BOMは製造業がグローバルスタンダードに足並みを揃えようと規格取得に向けて動く際、決してないがしろにしてはいけません。

業務効率化をどの部門から進めていくのか、どのように進めていくと生産性が向上するかは、手元にあるBOMを見直して改善点を見つけ出すべきです。

トヨタ自動車株式会社ジャスト・イン・タイムも、BOMを見直した生産計画の平準化をもとに進められています。

なお、生産計画の平準化は以下で詳しく解説しておりますので、ぜひご覧ください。

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製造業のグローバルスタンダードにはIT化でも対応できる

ISO9001取得は製造業にとって大きな力となるのは明確です。

しかし、中小企業にとって現実的な方法とは言えません。

ISO9001取得に必要な人材もコストも不足しているためです。

中小企業が世界と肩を並べる方法を解説します。

グローバルスタンダードで達成できる目標はIT化でも可能

作業効率・生産性向上を可能にするのはISO規格のようなグローバルスタンダードだけではありません。

組織変革を目指すDX(デジタルトランスフォーメーション)やデジタル技術を利用して業務効率化を図るIT化でも可能です。

特にIT化は、低コストで業務効率化が可能な場合もあります。

グローバルスタンダードに固執しすぎず、柔軟かつ様々な視点で考えてみましょう。

製造業における作業の効率化には「ERP」が最適

ERPは、総務課や営業課などで独立している現存のシステムを接続するパイプ役となるソフトウェアです。

たとえば総務課が、経費の計算に必要な書類があるとしましょう。

各課のシステムが独立している場合は、書類は直接取りに行かなければならず、仕事を進めるうえで大きな無駄となります。

しかしERPによって各課のシステムが接続されていれば、自分の席に座ったままで必要な情報を速やかに入手可能です。

作業におけるムリ・ムダ・ムラをなくし、作業の効率化を図れます。

さらに低コストで導入可能で運用の手間も少なく済むのもポイントです。

ISO規格取得後は、毎年審査を受けなければなりませんが、ERPには審査がありません。

品質マネジメントシステムと同様に、PDCAサイクルによる改善を繰り返す必要があるものの、審査がないぶん手間もコストも抑えられます。

クラウドを利用したコンポーネント型ERPならスモールスタートしやすい

コンポーネント型ERPとは、自社に必要なサービスのみを選び、パズルを組み立てるようにして形にしていくタイプのERP。

スモールスタートが可能で、自社のスタイルに合わせたシステム構築が容易にできます。

ERPについては、詳しく解説している下記記事にて詳細をチェックしてみてください。

グローバルスタンダードに対する悩みをお持ちの方へ

製造業でのグローバルスタンダードについて、基礎知識と取り組むべきこと・ISO9001取得情報とともに解説ました。

ポイントは下記3つです。

  • 「日本製」というブランドが消失しつつあり、製造業は世界的な競争力を身に付ける必要がある
  • 世界的な競争力の基本としてグローバルスタンダードISO9001取得が望ましい
  • ISO9001取得が困難な中小企業はERPソフトの導入が現実的

製品の品質・作業効率・生産性向上を目的とした様々な取り組みがありますが、自社に合った方法で効率的に進めていくのが大切です。

当メディアを運営するチェンシージャパン株式会社は、日本の製造業に特化したERPソリューションを提供しております。

「グローバルスタンダードに足並みを揃えようとISO取得を検討したが困難だった」という場合など、お気軽にご相談ください。

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