製造業のコスト削減はリソース活用が必須!アイデア捻出方法も解説

  • 2022年11月9日
  • 2023年12月15日
  • 製造業

製造業のコスト削減は、利益率向上のために有効な手段です。

一方で、「どこから手を付けて良いのかわからない」と悩む製造企業は意外とたくさんいます。

そこで今回は、製造業のコストを削減するためのポイントを解説。

どのような視点で物事を考えるべきかなどのコツとあわせて紹介しますので、アイデア捻出の際にお役立てください。

製造業のコスト削減には「情報リソース分析」が必要

コスト削減が可能な個所を探るには、自社が蓄積した情報リソースが必須です。

他社のコスト削減事例を参考にする方法もありますが、同じ手法が自社に当てはまるとは限りません。

たとえば、ペーパーレス化によるコスト削減を成功した企業があり、自社も同じ手法を試みるとします。

実際にペーパーレス化を開始すると、データでのやり取りに難色を示す取引先がいることが判明。

ペーパーレス化にかけた手間と時間に見合った結果が得られず、コスト削減は失敗という結果に終わるでしょう。

「どの部分を・どのようにしてコスト削減できるのか」という点においては、自社の情報リソースを活用し、的確に分析すべきです。

製造業で削減可能な3つのコストとは?

製造業で削減可能なコストは、おもに下記の3つです。

各項目について、詳しく見ていきましょう。

削減可能コスト1.利益率に直結「原材料費」

石油燃料の価格高騰に加え、円安が続く昨今では、原材料費に悩む企業が増加しています。

原材料費と製品価格の間で板挟みとなり、頭を抱えているのです。

原材料費を抑えるのにも、製品価格を上乗せするのにも、取引先との関係が悪化するリスクがあります。

上記のような背景もあり、経済産業省の「2021年 企業活動基本調査」では、製造業の原価率は80.1%と高い値を推移。

原材料費のコスト削減を検討する際は、取引先との関係や今後の原油価格などを見通した、俯瞰的な視点で考える必要があるでしょう。

削減可能コスト2.必要経費の大部分を占める「労務費(人件費)」

労務費は削減しやすい反面、従業員のモチベーション低下リスクを抱えるコストです。

中でも、むやみな賃金低下やリストラは代表的な例でしょう。

そこで必要なのが、業績連動型の給与形態への変更・フロー型人材の確保・外注費化です。

業績連動型の給与形態では、給与の一部を業績給にするケースや、賞与の割合を増やして評価に応じた支給にするケースがあります。

フロー型人材とは、アルバイト・パート・契約社員・派遣社員のこと。

フロー型人材は、受注量に対して柔軟に対応でき、コストを抑えやすいのがメリットです。

外注費化は、人件費を安定させたい場合に有効です。

繁忙期のみを外注に頼れば、人件費が通年フラットになります。

それぞれの方式を併用すると、柔軟な生産体制のキープと低コスト化を実現可能でしょう。

削減可能コスト3.ムダをなくして大幅減「製造経費」

製造経費には、機械の維持費・光熱費・通信費などが含まれます。

中でも、削減しやすいのが光熱費と通信費です。

光熱費は、自家水道システム導入・照明のLED化・設備のインバーター化などによって削減可能。

蛍光灯やスポット照明などは、本体を交換せずとも、電球を交換するだけで省エネ効果に期待できます。

通信費は、インターネット・携帯電話などの契約内容を見直すといいでしょう。

各回線の運用状況を把握し、利用状況に合ったプランを選ぶのがポイントです。

製造業でコスト削減を実施、3つの手順とは?

本章では、的確なコスト削減を実施して、十分な結果を得るための手順を解説します。

ぜひ、コスト削減の準備段階から実施・実施後までの流れをイメージしながらご覧ください。

コスト削減の流れが具体化し、検討しやすくなるはずです。

手順1.製造業でコスト削減できる項目をリスト化

情報リソースの分析で得られた、コスト削減が可能な項目をリスト化します。

同時に、どの程度のコスト削減が可能かや、コスト削減にかかる手間を算出。

検討会を実施して、優先順位を決めておきましょう。

検討会では、どの程度のコスト削減ができるか・効率的な計画が策定できるかなど、総合的な視点で話し合うのがポイントです。

コスト削減可能リストの中には、同時進行で計画できる項目があるかもしれません。

より効率的なコスト削減計画が策定できれば、必要な人材やコストを最小限に抑えられます。

手順2.製造業でコスト削減を実施

策定した計画に沿って、コスト削減を実行します。

コスト削減を実行する際は、想定外の事態を予測して、余裕を持たせるのがポイントです。

たとえば、工場内の電球交換によるコスト削減を実行する場合。

工場内の電球数が多く、予定日までに納品されない可能性や、作業員が不足する可能性が考えられます。

工場内での作業は、ラインの生産能力が低下するリスク回避のため、前もって現場担当者と打ち合わせをしておきましょう。

手順3.コスト削減後の結果分析

コスト削減を実行した後、実際にどれくらいのコストが削減されたか・作業環境に支障がないかなどを分析します。

作業環境に支障をきたしている場合は、早急に対策を打ち出さなければなりません。

PDCAサイクルを繰り返しながら、コスト削減と良好な作業環境構築の両立を目指してください。

同時に、さらなるコスト削減が可能なのかについても検討しておきましょう。

費用対効果を考慮しつつ、さらなるコスト削減ができる見込みがあれば、計画の再策定です。

今回実施したコスト削減を振り返り、反省点を踏まえた計画を策定できれば、より効率的な計画が策定できます。

製造業のコスト削減、3つのポイントとは?

コスト削減に取り組む前に、前提としての以下3つのポイントをおさえておきましょう。

解説するポイントは、いずれも基本的な内容かもしれません。

しかし、基本的な内容を押さえるだけでも、コスト削減につながるケースも存在するのは事実です。

本章は、再確認の意味も含めてご覧ください。

ポイント1.製造業のコスト削減で役立つ「7つのムダ」の視点

自社の情報リソースをやみくもに分析するのでは、いくら時間があっても足りません。

そこで、下記7つの視点からムダをチェックしてみましょう。

  • つくり過ぎのムダ:過剰な人員・設備が引き起こす材料の先食い
  • 手持ちのムダ:自動化設備を見ているだけ・機械故障による作業停止
  • 運搬のムダ:不必要な運送ルート選択・仮置きや二度手間運搬
  • 加工そのもののムダ:作業者の力量不足による作業状態不安定
  • 在庫のムダ:倉庫費・運搬費などの管理費のムダ、部品の経年劣化
  • 動作のムダ:無理な作業姿勢、動線の悪さによる非効率化
  • 不良を作るムダ:資材・部品の浪費、製品数減少

7つのムダは、製造業の中でも、ムダのチェックに使用する代表的な存在として知られています。

一方で、部門間連携が不適切・工場の可視化が進んでいないなどの理由により、7つのムダを見落としている企業が存在するのが実情。

自社の状態を見直し、コスト削減以前にやるべきことがないかを確認しましょう。

ポイント2.製造業の現場で「5S」を徹底

5Sとは、整理・整頓・清潔・清掃・しつけのイニシャルをとったものです。

製造業の現場では、作業環境を整えるために5Sを徹底している場合がほとんど。

作業しやすい環境構築は、作業効率や製品品質の向上、不良品数の低下などの効果に期待できます。

ポイント3.コスト削減が生産性低下を招いてはいけない

残念ながら、間違えたコスト削減により生産性が低下してしまうケースが実在します。

たとえば基幹システムです。

基幹システムの老朽化に伴い、使用感の悪さを理由に更新をストップしたとしましょう。

確かに、基幹システムの維持費用は不要になるかもしれません。

しかし、基幹システムの支援が途切れたことにより、業務はほぼ確実に非効率化するでしょう。

非効率的な業務が生産性低下の原因になってしまっては、コスト削減する意味を失ってしまいます。

コスト削減を意味ある取り組みにするためにも、生産性を低下させないように考慮すべきです。

【事例】ERP導入でコスト削減&業務効率化が成功した道のりとは?

本章では、日本工作油株式会社がERP導入に踏み切ってから、コスト削減と業務効率化に成功するまでの道のりを紹介します。

導入に至った背景や導入までのスケジュールなど、ERP導入の参考にしてみてください。

1.ERP導入の背景、既存システムのブラックボックス化

日本工作油株式会社は、約30年前に開発したフルクラッチシステムを使用していました。

作り変えを繰り返し、無理につなぎ合わせたシステムはブラックボックス化。

手作業による非効率的な業務が増加する、正確な原価把握が困難になるなど、企業に不利益を与える様々な課題を残す結果となりました。

社内の主幹業務はシステムに頼っていた反面、システムの管理は属人化していたため、システムを活用できる見通しは立ちません。

日本工作油株式会社は、上記の背景をもとにERP導入を決意します。

2.ERP導入までの期間は約1年半、ベンダーがスケジュール管理で企業をフォロー

日本工作油株式会社がERP導入を決定したのちに、生産管理・品質保証・営業・購買・会計など、ほぼ全ての業務をカバーできるシステム構築を開始しました。

楽々明細と連携したシステムの開発は、想定外のトラブル発生によるスケジュールの遅れが生じることがあったものの、最終的にはスケジュール通りの開発が成功。

これまで手作業で行っていた請求業務がデジタル化され、業務効率は大幅に改善しました。

さらに、ペーパーレス化や正確な原価把握が可能になったことで、コスト削減にも成功しています。

日本工作油株式会社のリアルな声を知りたい方は「【導入事例】ERP(IFS)で業務効率化・利益率向上!導入の背景と効果とは?」をご覧ください。

製造業のコスト削減でお悩みの方へ

今回は製造業のコスト削減について、下記2つのポイントとともに、ERP導入事例をお伝えしました。

  • コスト削減は情報リソース活用が不可欠
  • コスト削減はPDCAサイクルを活用すると、より効果的

安易なコスト削減は、思わぬダメージを企業に与える可能性を含むため、慎重にならざるを得ません。

しかし、現状で踏みとどまったままでは企業を成長させるのは困難ではないでしょうか。

当メディアを運営するチェンシージャパン株式会社では、IFS社のERPを用いて、製造業の様々な課題解決をサポートしております。

コスト削減でお悩みの方は、ぜひ以下より生産性向上・業務高利化を果たしたお客様の声をご覧ください。

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グローバルERP IFS導入におけるシステムインテグレーター『チェンシージャパン株式会社』

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