2021年に延期が決定!中小企業投資促進税制の改正内容と申請方法を解説

  • 2022年2月20日
  • DX, ERP
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中小企業投資促進税制とは、中小企業の生産性向上を図るための優遇税制のこと。

2021年度の改正により、従来の適用期限「令和3年3月31日」が「令和5年3月31日」へと延長されました。

本記事では、新:中小企業投資促進税制の概要をお伝えしつつ、改正内容・申請方法を紹介します。

設備投資をご検討中の方は、ぜひ最後までご覧ください。

中小企業投資促進税制とは

中小企業投資促進税制とは、青色申告書を提出する中小企業者などの生産性向上を図るために、特定の設備投資に対し、特別償却または税額控除を認める制度のこと。

この章では、中小企業投資促進税制の概要にあたる下記の3項目を、国税庁の情報をもとに紹介します。

  • 対象企業
  • 対象設備
  • 2種類の優遇処置

中小企業投資促進税制の利用をご検討中の方は、ぜひ参考にしてください。

中小企業投資促進税制の対象企業

中小企業投資促進税制の対象企業は、青色申告をする中小企業者・農業協同組合・商店街振興組合等です。

適用対象となる業種は、下記の通りです。

製造業、建設業、農業、林業、漁業、水産養殖業、鉱業、採石業、砂利採取業、卸売業、道路貨物運送業、倉庫業、港湾運送業、ガス業、小売業、料理店業その他の飲食店業(料亭、バー、キャバレー、ナイトクラブその他これらに類する事業にあっては、生活衛生同業組合の組合員が行うものに限ります。)、一般旅客自動車運送業、海洋運輸業、沿海運輸業、内航船舶貸渡業、旅行業、こん包業、郵便業、情報通信業、損害保険代理業、不動産業、駐車場業、物品賃貸業、学術研究、専門・技術サービス業、宿泊業、洗濯・理容・美容・浴場業、その他の生活関連サービス業、映画業、教育、学習支援業、医療、福祉業、協同組合(他に分類されないもの)及びサービス業(他に分類されないもの)
引用:中小企業投資促進税制(5 指定事業)|国税庁

映画業を除くスポーツ・音楽・舞台などの娯楽業と、性風俗関連特殊営業は、適用対象外です。

中小企業投資促進税制が定める中小企業の定義

中小企業投資促進税制が定める中小企業とは、下記を満たした法人等です。

  • 資本金額または出資金額が1億円以下の法人・農業協同組合・商店街復興組合等
  • 資本又は出資を有しない法人(社団法人など)のうち、常時使用する従業員が1,000人以下の法人
  • 従業員数1,000人以下の個人事業主

上記に当てはまる場合でも、下記の要件に該当する法人は本制度の対象外です。

  • 事業年度開始の日前3年以内に終了した各事業年度の所得金額の年平均額が15億円を超える法人
  • 発行株式数・出資総額・出資総数いずれかの、2分の1以上を同一の大規模法人に所有されている法人(子会社など)
  • 発行株式数・出資総額・出資総数いずれかの、3分の2以上を複数の大規模法人に所有されている法人
  • 受託法人

中小企業投資促進税制が定める中小企業の定義は、中小企業庁が定める定義と異なるため注意が必要です。

万が一、自社が適用対象なのかを判断できない場合は、国税局電話相談センターへ問い合わせてみてください。

中小企業投資促進税制が適用される設備・ソフトウェア

中小企業投資促進税制が適用される設備・ソフトウェアは、下記の通りです。

  • 1台160万円以上の機械・装置
  • 製品の品質向上等に用いる1台120万円以上の測定・検査工具
  • 測定・検査工具の合計額が120万円以上のもの(1台30万円以上)
  • 車両総重量3.5トン以上の貨物自動車
  • 内航海運業で使用する船舶(取得価額の75%が対象)
  • 1つ70万円以上・複数合計70万円以上のソフトウェア(一部のぞく)

中小企業投資促進税制が適用させる設備・ソフトウェアは、指定期間内(平成10年6月1日から令和5年3月31日)に取得・使用した新品のものに限ります。

期間外に取得・使用した設備や、いわゆる中古の場合は、中小企業投資促進税制が適用されません。

また、下記に該当するソフトウェアも優遇税制の適用外です。

  • 複写して販売するための原本
  • 開発研究用のソフトウェア
  • サーバー用のOSのうち一定のもの

国税庁の情報では、対象となるソフトウェアの定義が曖昧なため、導入を検討している方は国税局へ確認すると良いでしょう。

中小企業投資促進税制における2種類の税制処置

中小企業投資促進税制では、下記2種類の税制処置が用意されています。

引用:中小企業投資促進税制とは?申請方法から要件までを解説|ZAC

個人事業主・資本金3,000万年以下の中小企業等は、特別償却(30%)または税額控除(7%)のいずれかを選択できます。

一方、資本金が3,000万円を超える場合は、特別償却のみが適用可能です。

2021年度の改正で、中小企業投資促進税制が延長に!

中小企業投資促進税制の改正により、適用期限が令和2年度末(令和3年3月31日)から令和4年度末(令和5年3月31日)へと、2年延長されました。

またこの改正により、対象企業の一部も変更されています。

  • 中小企業等に「商店街振興組合」が追加
  • 飲食店業に「料亭・バー・キャバレー・ナイトクラブ」が追加
  • 新たに「不動産業・物品賃貸業」が追加

従来の中小企業投資促進税制よりも対象業種が増加したことで、より多くの企業で優遇税制が期待できます。

ただし、新たに追加された上記業種の企業は、令和3年4月1日前に取得した設備に対して税制優遇が受けられません

たとえば、不動産業企業が令和3年1月にソフトウェアAを、令和3年5月1日にソフトウェアBを導入した場合、本制度が適用されるのは、ソフトウェアBのみ。

中小企業投資促進税制の適用を受ける際には、設備の導入・使用開始日に注意が必要です。

中小企業投資促進税制の申請方法とは

中小企業投資促進税制の申請に特別な手続きは不要で、法人税の確定申告書に必要書類を添付するだけで申請が完了します。

特別償却と税額控除では必要書類が一部異なるため、いずれかを選択する資本金3,000万円以下の企業の方は注意してください。

まず、特別償却を選択する場合の必要書類は、下記の2つです。

  • 適用額明細書
  • 特別償却の付表(中小企業者等又は中小連結法人が取得した機械等の特別償却の償却限度額の計算に関する付表)

続いて、税額控除を選択する場合は、下記2種類の書類を添付します。

  • 適用額明細書
  • 特別控除の明細書(中小企業者等が機械等を取得した場合の法人税額の特別控除に関する明細書)

上記書類のテンプレートと記載要項は、国税庁のホームページからダウンロードできます。

  • 特別償却の付表欄の(2):中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却
  • 別表六関係 6(14):中小企業者等が機械等を取得した場合の法人税額の特別控除に関する明細書

別の書類テンプレートも掲載されているため、上記の項目を参考にしてください。

【注意】中小企業投資促進税制と「中小企業経営強化税制」は別物

中小企業投資促進税制によく似た制度として、「中小企業経営強化税制」が挙げられます。

中小企業の設備投資に対して優遇処置をとる点では同様ですが、適用条件や適用処置が大きく異なります

この章では、中小企業経営強化税制の概要を紹介します。

中小企業経営強化税制とは?

中小企業経営強化税制とは、中小企業等の経営力向上を図るため、経営力向上計画に基づく設備投資に対し、即時償却または10%の税額控除(資本金3,000万円超1億円以下は7%)を認める制度のこと。

本制度の対象は、青色申告をする下記要件を満たす法人です。

  • 資本金または出資金の額が1億円以下の法人
  • 常時使用する従業員が1,000人以下の資本又は出資を有しない法人・個人事業主
  • 中小企業等経営強化法の経営力向上計画の認定を受けている法人

ただし、下記に該当する場合は、本税制処置を受けられません。

  • 事業年度開始の日前3年以内に終了した各事業年度の所得金額の年平均額が15億円を超える法人
  • 発行株式数・出資総額・出資総数いずれかの、2分の1以上を同一の大規模法人に所有されている法人
  • 発行株式数・出資総額・出資総数いずれかの、3分の2以上を複数の大規模法人に所有されている法人
  • 受託法人

中小企業経営強化税制の対象企業は、中小企業投資促進税制とほとんど同様といえます。

中小企業経営強化税制に該当する4つの設備

中小企業経営強化税制が適用される設備は、主に下記の4つです。

  • 機械及び装置
  • 工具、器具及び備品
  • 建物附属設備
  • ソフトウェア

また、各設備の使用目的に応じて、4つの類型に分類されます。


引用:中小企業税制(P09)|中小企業庁

類型ごとに担当者や対象設備が異なるため、中小企業経営強化税制を利用する際は適用される類型を把握する必要があります。

ただし、適用には中小企業等経営強化法の認定が必要

中小企業経営強化税制の適用を受けるには、設備取得前に経営力向上計画を申請し、認定されなければなりません。

例外的に、設備取得日から60日以内に経営力向上計画を申請すると、認定がない場合でも税制の適用を受けられます。

ただし、事業年度末までに認定を受ける必要があるため、経営力向上計画の申請から認定されるまでの期間を見越して設備を取得しましょう。

中小企業投資促進税制のよくある質問Q&A

中小企業庁が発行している中小企業投資促進税制パンフレットの中に、よくある質問という項目があります。

質問と回答の中でも、注意すべき下記3つの内容をピックアップしました。

  • どのようなソフトウェアが中小企業投資促進税制の対象ですか?
  • 国や自治体の補助金と中小企業投資促進税制を併用できますか?
  • パソコンも対象設備に入りますか?

この章では、上記それぞれの回答をわかりやすく説明しますので、ご参考ください。

どのようなソフトウェアが中小企業投資促進税制の対象ですか?

中小企業投資促進税制の対象となるソフトウェアは、1つ70万円以上または複数合計70万円以上のものです。

たとえば、基幹システム・ERPの他、ワープロソフト・表計算ソフト・経理ソフト・給与ソフトなどです。

一方、サーバー用オペレーティングシステム・サーバー用仮想化ソフトウェア・データベース管理ソフトウェア・連携ソフトウェア・不要アクセス防止ソフトウェアのうちISOとIECの規格外のものは、本制度の対象外です。

中小企業投資促進税制は、度重なる改正で対象ソフトウェアが変化しているため、自身で判断するのではなく、税理士や税務署に問い合わせると良いでしょう。

参照:中小企業投資促進税制|中小企業庁

国や自治体の補助金と中小企業投資促進税制を併用できますか?

原則として併用が可能です。

ただし補助金の種類によっては、中小企業投資促進税制との併用を制限している場合があります

また、中小企業投資促進税制の特別償却・税額控除は、他の制度における特別償却・税額控除と重複適用が認められないため注意しましょう。

参照:中小企業投資促進税制|中小企業庁
参照:No.5433 中小企業投資促進税制(中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は税額控除)|国税庁

パソコンも対象設備に入りますか?

パソコン(=電子計算機)は、対象外です。

また、デジタル複合機・試験機器・測定機器も平成29年の改正により対象外となりました。

ただし、これらの電子機器は経営力強化に含まれる可能性があるため、中小企業経営力強化税制を活用すると良いでしょう。

参照:中小企業投資促進税制|中小企業庁

延期された中小企業投資促進税制を活用し、設備投資を進めよう

この記事では、中小企業投資促進税制を紹介しました。

本制度が延長されたことで、より多くの企業が、設備投資に対する優遇税制を受けられるでしょう。

また、中小企業投資促進税制の適用外な設備投資でも、中小企業経営強化税制の適用が受けられるケースもあります。

これらの制度をうまく活用し、自社の設備投資を推進しましょう。

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