近年、市場規模を拡大させているクラウドERP。
対象業種や特徴が異なった、数多くの製品が提供されています。
ただ、あまりにも多くの製品があることで、自社に適したERPシステムを決めかねている方も多いでしょう。
本記事では、中小・中堅企業向けの製品に的を絞り、10種類のクラウドERPを比較。
クラウドERPの基礎知識・選定時のポイントとあわせて、ご参考ください。
クラウドERPの基礎知識
かつてのERPシステムは、大企業が導入するオンプレミス型が主流でした。
しかし、インターネットの普及に伴い、より低コストで導入・運用できるクラウドERPが注目を集めています。
本章では基礎知識として、クラウドERPの概要とオンプレミスとの違いを紹介します。
クラウドERPとは?
クラウドERPとは、システムベンダー企業が管理するERPを、インターネットを介して利用する形態のこと。
ERPの母体や管理データは、ベンダーが管理するサーバー上に保管されます。
そのため、導入企業が自らサーバーを設置する必要がありません。
クラウドERPの特徴は、下記の通りです。
メリット | デメリット |
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|
近年では、中小企業向けの製品や特定業種に特化したシステムなど、さまざまな製品が提供されています。
クラウドERPとオンプレミスの違い
オンプレミス型とは、自社が管理するサーバー上にERPシステムを導入する形態のことです。
社内ネットワークを介して利用するため、外部への情報漏洩リスクが低いとされています。
クラウドERPとの違いは、下記の通りです。
オンプレミス | クラウド | |
システムの導入先 | 自社のサーバー | ベンダー企業管理のサーバー |
利用インフラ | 社内ネットワーク | インターネット |
システム保守の担当者 | 自社 | ベンダー企業 |
コスト面 | 高額 | 安価 |
セキュリティ面 | 自社のセキュリティレベルに依存 | ベンダー企業のセキュリティレベルに依存 |
カスタマイズ性 | 高い | 低い |
オンプレミスERPは、買い切り型やフルスクラッチが一般的です。
そのため、自社の要件を反映させやすく、自由に拡張・カスタマイズできます。
ただし、サーバーの設置費用や運用・メンテナンス費用がかかるため、コスト負担が大きい導入形態です。
一方のクラウドERPは、ベンダー企業が用意した環境下でシステムを利用できるため、低コストな導入・運用が可能です。
また、インターネットさえあれば利用できるため、グループ企業と本社を統合的に管理する二層ERPや、テレワークへの対応など、自由度の高い利用体系を構築できます。
【中小・中堅企業向け】10種のクラウドERPを比較!
数あるクラウドERPの中でも、特におすすめな10種類の製品を比較。
それぞれの製品詳細と特徴を紹介します。
- クラウドERP比較
-
ERPの種類
提供形態 対象業種 価格 IFS Applications 統合型・コンポーネント型 クラウド・オンプレミス 製造業・航空事業・エネルギー事業・建設業・サービス業 ー クラウドERP freee 業務ソフト型 クラウド 全業種 ー クラウドERP ZAC 業種特化型 クラウド・オンプレミス 広告業・イベント事業・コンサルティング事業 社員数50名 :ライセンス費用300万円 導入支援費用0円 保守費用9.5万円/月 GRANDIT 統合型 クラウド・オンプレミス 製造業・小売業・情報サービス業・サービス業 ー Oracle NetSuite 統合型 クラウド・オンプレミス 全業種 ー SAP Business One 業種特化型 クラウド・オンプレミス 製造業・小売業・サービス業 ー OBIC7 コンポーネント型 クラウド・オンプレミス 製造業・小売業・物流事業・不動産業・金融業・建設業 ー Infor SyteLine 業種特化型 クラウド・オンプレミス 製造業 ライセンス価格:3,760,000円〜 マネーフォワード クラウドERP 業務ソフト型 クラウド 全業種 スモールビジネス:3,980円/月 35,760円/年
ビジネス:5,980円/月 59,760円/年
クラウドERP1.IFS Applications
画像引用:IFS.com
ERPの種類 | 統合型・コンポーネント型 |
提供形態 | クラウド・オンプレミス |
対象業種 | 製造業・航空事業・エネルギー事業・建設業・サービス業 |
価格 | ー |
ホームページ | IFS.com |
- スウェーデンのソフトウェア会社、IFS社が開発した製造業特化型のEPRパッケージ
- ハイブリッド生産や特注品生産などの複雑な生産方式や、商習慣・各種法令にも対応
- オールインワンパッケージでありながら、機能組み替えが容易なコンポーネント構造を採用
- 操作性にこだわった独自アプリやレスポンシブデザインにより、従業員への定着を推進
クラウドERP2.クラウドERP freee
画像引用:クラウドERP freee
ERPの種類 | 業務ソフト型 |
提供形態 | クラウド |
対象業種 | 全業種 |
価格 | ー |
ホームページ | クラウドERP freee |
- 業務フローの円滑化・人手業務の削減を実現する、バックオフィス業務専用ERP
- 人工知能(AI)による自動仕訳機能で、決算書をワンクリック作成
- バックオフィス全域を一元的に管理し、入力ミス・書類紛失リスクを回避
- SOC1 Type2報告書を受領するなど、内部統制にも対応可能
クラウド会計ソフトとして、日本トップシェアを誇る「クラウドERP freee」。人気の理由は一体どのようなものなのでしょ…
クラウドERP3.クラウドERP ZAC
画像引用:クラウドERP ZAC
ERPの種類 | 業種特化型 |
提供形態 | クラウド・オンプレミス |
対象業種 | 広告業・イベント事業・コンサルティング事業 |
価格 | 社員数50名 :ライセンス費用300万円 導入支援費用0円 保守費用9.5万円/月 |
ホームページ | クラウドERP ZAC |
- IT業や広告・イベント業・コンサルティング業に特化したクラウドERP。
- 案件・契約・プロジェクト単位で売上・経費・利益を出力可能
- 収支状況をリアルタイムに出力でき、プロジェクトの改善サイクル短縮を実現
クラウドERP4.GRANDIT
画像引用:GRANDIT
ERPの種類 | 統合型 |
提供形態 | クラウド・オンプレミス |
対象業種 |
製造業・小売業・情報サービス業・サービス業 |
価格 | ー |
ホームページ | GRANDIT |
- 国内企業の要件から生まれた、統合型の国産ERPシステム。
- ワークフロー・EDI・EC・BIなどを標準搭載し、グループ企業までをシームレスに連携
- 販売・人事・生産などの基幹業務を統合し、業務効率化と社内の見える化を実現
クラウドERP5.Oracle NetSuite
画像引用:Oracle Netsuite
ERPの種類 | 統合型 |
提供形態 | クラウド |
対象業種 | 製造業・小売業・サービス業 |
価格 | ー |
ホームページ | Oracle Netsuite |
- グローバル経営にも対応した統合型のクラウドERPシステム
- 19の言語対応のみならず、190以上の通貨、法制度・税制にも対応
- 経営層〜現場の社員まで、それぞれの立場に応じたデータ出力・分析が可能
- 各レイヤーでは強固なセキュリティ対策を実施し、安全なシステム環境を実現
高いERPシェアを誇るOracle社は、2種類のERP製品を提供しています。 中でも、主力製品であるOracle ERP…
クラウドERP6.SAP Business One
画像引用:SAP Business One
ERPの種類 | 業種特化型 |
提供形態 | クラウド・オンプレミス |
対象業種 | 製造業・小売業・サービス業 |
価格 | ー |
ホームページ | SAP Business One |
- 世界屈指のシステム会社、SAP社のクラウドERPシステム
- 優良企業のベストプラクティスを集約し、導入企業の業務を最適化
- 購買・生産・販売データが管理会計モジュールに自動連携。複雑な原価計算を実現
「SAPはITに関する言葉らしいけど、何を表しているんだろう?」との疑問をお持ちではないでしょうか。 この記事では、SA…
クラウドERP7.OBIC7
画像引用:OBIC7
ERPの種類 | コンポーネント型 |
提供形態 | クラウド |
対象業種 | 小売業・物流事業・不動産業・金融業・建設業・サービス業 |
価格 | ー |
ホームページ | OBIC7 |
- 会計業務を軸とした統合型のクラウドERPシステム
- 業種・業務・部門別に構築された機能モジュールで、企業の情報管理をサポート
- 自社一貫体制だからこそできる充実のサポートサービス
クラウドERP8.Infor SyteLine
画像引用:Infor SyteLine
ERPの種類 | 業種特化型 |
提供形態 | クラウド・オンプレミス |
対象業種 | 製造業 |
価格 | ライセンス価格:3,760,000円〜 |
ホームページ | Infor SyteLine |
- 中堅の組立製造業向けに開発されたクラウドERPシステム
- アジア圏を含む20以上の言語対応、100カ国に直営サポート拠点を設置し、企業のグローバル化をサポート
- 61のアベイラビリティゾーンでシステムを管理し、天災・トラブルによるリスクを最小化
製造業に特化し、ガートナー社からリーダーに認定された「Infor SyteLine」。どのようなERP製品で、導入により…
クラウドERP9.マネーフォワード クラウドERP
画像引用:マネーフォワード クラウドERP
ERPの種類 | 業務ソフト型 |
提供形態 | クラウド |
対象業種 | 全業種 |
価格 |
スモールビジネス:3,980円/月 35,760円/年 ビジネス:5,980円/月 59,760円/年 |
ホームページ | マネーフォワード クラウドERP |
- 人事労務業務・会計業務をシームレスに統合、バックオフィス専用のクラウドERPシステム
- IT初心者でも扱いやすいシンプルなUI設計
- 外部システムのみならず、銀行口座・法人カードとの連携も可能。
- 人手業務を最小限に削減し、業務効率化を実現
バックオフィス用ERPとして注目を集める、マネーフォワードクラウドERP。一体どのようなシステムで、競合のクラウドERP…
クラウドERP10.GLOVIA iZ
画像引用:GLOVIA iZ
ERPの種類 | 統合型 |
提供形態 | クラウド・オンプレミス |
対象業種 | 製造業・貿易業・小売業 |
価格 | ー |
ホームページ |
- 国内トップシェアを誇る国産クラウドERPシステム
- 経営・会計・人事給与・就業・販売・貿易・生産と現場業務を統合し、DXを推進
- モジュール単位で導入形態を選べるハイブリットシステム
- 経営テンプレートで、社内を俯瞰的に可視化し改善行動をサポート
クラウドERPの選定ポイント
クラウドERPを選定する際は、下記3つのポイントが大切です。
- 導入目的に適した機能が備わっているか
- サポート体制が充実しているか
- 企業の成長に合わせたカスタマイズが可能か
3つのポイントを順に紹介します。
選定ポイント1.導入目的に適した機能が備わっているか
1つ目のポイントは、導入目的に適した機能が備わっているかです。
ERPシステムは社内業務を統合管理するシステムですが、製品ごとに対象範囲や搭載機能が異なります。
たとえば、販売・経理・人事などのバックオフィス業務の効率化を目的としたERPシステムもあれば、基幹業務全体を統合し、全社最適化を目的とした製品もあります。
システムの導入によって、自社の目的が達成できるのかを基準に、システムを選定するとよいでしょう。
選定ポイント2.サポート体制が充実しているか
2つ目のポイントは、サポート体制が充実しているかどうかです。
サポート体制は、クラウドERPのメリットですが、具体的な内容はベンダーごとに異なります。
たとえば、リモートでのトラブル対応や、コンサルティングによる導入・定着サポートなどです。
万が一の事態に備え、ベンダーのサポート体制をチェックしましょう。
また、クラウドERPでは、ベンダー企業のセキュリティレベルも重要なポイントです。
どのデータセンターで、どのようなセキュリティ対策を施しているのかを確認することが大切です。
選定ポイント3.企業の成長に合わせたカスタマイズが可能か
3つ目のポイントは、企業の成長に合わせたカスタマイズが可能かどうかです。
企業が成長するにつれ、業務や情報が複雑化し、従来の機能のみでは管理しきれない恐れが出てきます。
仮に、導入したERPシステムが企業の成長に対応できない場合、生産性や競争力の低下を招きます。
また、より高度な管理機能を搭載した、別のシステムを導入しなおさなければなりません。
これには当然、膨大な時間とコストがかかるため、ERPシステムの長期的な運用を見据え、カスタマイズ性を考慮することが大切です。
クラウドERPを比較中・ご検討中の方へ
本記事では、中小・中堅企業向けの製品に的を絞り、9種類のクラウドERPを比較しました。
クラウドERPは、オンプレミスよりもコスト負担が少なく、中小企業〜中堅企業でも導入しやすい形態です。
ただ、製品ごとに特徴が大きく異なるため、下記のポイントを押させて選定すると良いでしょう。
- 導入目的に適した機能が備わっているか
- サポート体制が充実しているか
- 企業の成長に合わせたカスタマイズが可能か
弊社では、製造業のお客様を対象に、クラウド型ERPならびにERP導入サポートをしております。
業務効率化や保守切れなどのお悩みがあるご担当者の方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。