製造業の生産管理には、業務フロー図が欠かせません。
理由は、業務フローが「業務の流れ確認・次にどの業務をするのか」という適切な業務組立に必須の存在であるためです。
しかし、業務フロー図の理解が浅いと、上手に活用できずに課題として発展することも。
そこで本記事では、より適切で高効率な生産管理に役立つ製造業・生産管理の業務フロー図を解説します。
製造業、生産管理の業務フロー図5ステップ
製造業の生産管理の業務フロー図は、以下5つのステップから成り立ちます。
各ステップの詳細をみていきましょう。
製造業の業務フロー図1.注文内容の把握
生産管理、最初のステップは受注管理です。
受注管理の業務は、以下の3つにわけられます。
- 見積もり
- 契約
- 情報管理
受注管理は、営業が顧客から獲得してきた仕事の情報を、整理整頓するステップです。
納期・コスト・依頼内容など、情報を収集・整理して、生産計画策定の足掛かりを作ります。
製造業の業務フロー図2.生産計画策定
次のステップは、顧客の要望に従いつつ、工場の稼働状況・資材調達などを考慮した計画を練る、生産計画の策定。
中でも、特に大切なポイントは、スケジュール達成に必要な人材数の管理です。
ゴールデンウィークやシルバーウィークなど、大型連休をはじめ、お盆・年末年始なども視野に入れて管理するのがポイント。
前年の稼働状況があれば、必ずチェックしましょう。
工場の人員変動をシミュレーションしやすく、より的確な生産計画策定に役立ちます。
製造業の業務フロー図3.生産計画実行の指示
3つ目のステップ、生産計画の実行は煩雑さを極めます。
的確なタイミングでの指示に加え、生産の進捗を現場で管理、資材の在庫管理も必要です。
さらに、機械トラブルで計画に遅れが生じたケースでは、生産計画の練り直しが必要になるシーンもあるでしょう。
生産目標を達成させるためには、グループリーダーや工場長と密に情報共有できるかがポイント。
リアルタイムに情報を入手できるほど、全体像を把握しやすく、適切な指示を可能にします。
製造業の業務フロー図4.出庫・納品指示
4つ目は、納品物の出庫に向けたシミュレーションがカギとなるステップです。
ポイントは、生産終了予定時刻と納期。
出庫を担当する部門に対して、無事に引き継ぐために、どれくらいの時間が必要なのかをシミュレーションしましょう。
出庫・納品指示、それ自体は簡素な内容ですが、予定通り出荷・納品に必要な時間的余裕の確保に尽力する必要があります。
製造業の業務フロー図5.出荷後の情報管理
最後のステップは、出荷後のトラブルに備えた情報管理です。
製造業は出荷までが業務、と勘違いされがちですが、実際は異なります。
「仕事の受注から、製造した製品を顧客に届けるまでが業務」ですので、注意しましょう。
このステップに必要な情報は、おもに4つ。
- 出荷した製品数
- 製品の状態
- 製品の原材料
- 使用した配送ルート
中でも、製品の原材料は見落としがちです。
原材料によっては、振動や衝撃によって変形しやすい場合があります。
配送中の状態に留まらず、自社倉庫での保管状況も確認し、原材料に合った保管・配送ができるよう配慮しましょう。
製造業の業務フロー図のステップごとの進捗を管理
解説した5つのステップには、ステップごとの進捗管理が必要です。
ステップごとに業務内容は異なりますが、各ステップは密接に関わり合っています。
それぞれの関わりを理解し、的確に進捗管理するからこそ、スムーズな計画進行が可能なのです。
これらの観点から、生産管理の進捗管理がどれほど大切か、想像がつくかと思います。
適切な進捗管理のために、業務フロー図の理解は大切です。
製造業に業務フロー図が必須、生産管理が抱える3つの課題とは?
製造業の業務フロー図が抱える課題は、以下の3つです。
それでは、各課題について詳細をみていきましょう。
製造業の課題1.業務フロー図を把握せず管理方法を間違いやすい
生産方法が異なれば、管理方法も異なります。
一見当然なことかもしれません。
しかし、業務フロー図を把握できなければ、管理方法の勘違いに発展しかねません。
製造業の生産方法は、大きくわけて「見込み生産」と「受注生産」です。
この2つの方法は、不良在庫に気を付ける・納期までに時間がかかるなど、それぞれ注意すべきポイントが異なります。
そのため生産方法を把握していない場合、業務フローの初期段階である生産計画を間違える可能性も。
自社が、どの生産方式なのか、どんな業務フロー図を採用しているかを的確に把握する必要があります。
製造業の課題2.業務フロー図を把握せずヒューマンエラーが発生
生産管理を手作業でする企業に多い課題が、ヒューマンエラーです。
マンパワーに頼るのは、間違いではありません。
しかし、生産数の数え間違い・指示の確認漏れなど、ヒューマンエラーのリスクがある点に注意が必要です。
深刻なケースでは、明確な根拠のない生産計画策定により、不良在庫を抱えてしまうことも。
キャッシュフローを適正化するためにも、マンパワーを用いた生産管理のリスクを考慮しましょう。
製造業のヒューマンエラーは「製造業のヒューマンエラー対策とは?原因からわかる解決策を解説」で、詳しく解説しています。
製造業の課題3.業務フロー図を活かせず属人化
いくら業務フロー図を作成していても、生産管理をエクセルに頼るのはハイリスクです。
エクセルは、操作性が良く、様々なシステムとの高い連携性がメリット。
一方で、変更履歴が残らず、属人化を促進するリスクをはらんでいます。
結果的に、業務フロー図を活かせず、生産管理が機能しなくなる事態になりかねません。
エクセルによる属人化防止を、詳しく知りたい方は「製造業の生産管理を効率化!エクセルに頼らず属人化を防ぐ方法とは」をご覧ください。
製造業の生産管理を効率化可能なERP、3つの特徴
製造業、特に中小規模の場合、ERPの活用が問題解決の糸口になるケースがたくさんあります。
しかし、導入コストは決して安くはありません。
ERPの導入がなぜ必要なのか、特徴とともに解説します。
ERPの特徴1.情報の一元管理で全社的な業務効率アップ
生産管理の業務に、生産管理システムを導入している企業がほとんどです。
しかし、生産管理システムは、他システムとの連携が図りにくいのがネック。
ERPは、全社的にシステム導入でき、システム間連携を考慮する必要がありません。
ERPと生産管理システムの違いについては「ERPと生産管理システムは何が違う?どちらを導入すべきか徹底解説」で、詳しく解説しています。
ERPの特徴2.中小企業が導入しやすい柔軟性
中には、豊富なモジュールタワーから機能を選択し、フィット性の高いERPがあります。
独特の慣習がありがちな、中小企業にもフィットしやすく、近年注目を集めています。
中小企業におすすめのERP比較は「【2022年】中小・中堅企業向け10種のクラウドERPを徹底比較!」をご覧ください。
ERPの特徴3.業務フロー図に頼らず可視化
業務フロー図は、業務の可視化に便利ですが、ERPはそれ以上の役割を果たします。
管理権限があれば、デスクから動かずに現在の情報を把握でき、必要時にはスピーディに対応可能。
状況把握がしやすいERPは、生産管理にとって大きな力となるでしょう。
より詳細にERPを知りたい方は「【入門編】ERPシステムとは?導入効果・手順と注意点を解説」をご覧ください。
製造業の業務フロー図を作るときの3つの注意点とは?
時間と手間をかけた業務フロー図も、業務に活かせなければ本末転倒です。
本章では、現場で活用されやすくするための業務フロー図作成の注意点を解説します。
業務フロー図作成の注意点
注意点1.製造業の業務フロー図は理解しやすさにこだわる
業務フロー図は、1回の作成で完成させるのは困難です。
各業務の流れや詳細が異なり、現場で活用した結果、不足する部分が表出する可能性が高いためです。
そのため、わかりやすい業務フロー図作成は、社員からフィードバックを受けながら作るのが最善。
完成目標は「誰が見てもわかる業務フロー図」です。
修正を繰り返しながら、よりわかりやすい業務フロー図の作成に努めましょう。
注意点2.業務フロー図作成の目的・活用先の明確化
業務フロー図は、部門内業務の効率化が目的です。
業務フロー図作成者は、部門内の業務に精通している必要があり、そのための聞き取りが必須でしょう。
聞き取りの際は、時系列に沿った業務内容の把握にとどまってはいけない点に注意。
社員から、どうすればより効率的になるか、という現場の意見を聞きながら情報収集にあたります。
業務フロー図は、現場社員ならではの声を反映させてこそ、適正な活用が可能です。
注意点3.製造業の業務フロー図は使用する記号を限定
業務フロー図の作成を、チームで推進する企業が多いのではないでしょうか。
チームで業務フロー図作成にあたる場合、使用記号を統一しましょう。
使用記号がバラバラでは、現場は・作成側も混乱してしまうためです。
業務フロー作成チーム内で、使用記号のルールを決め、混乱予防に努めましょう。
このとき、使用記号の種類は最低限にしておくのがポイント。
使用記号の種類を抑えると、より効率的に業務フロー図作成に効果を発揮します。
業務フロー図で製造業の生産管理を効率化したい方へ
今回は、業務フロー図に関する4つのポイントを解説しました。
- 生産管理の業務フローは5ステップ
- 生産管理には、業務フローで解決可能な課題がある
- 業務フロー図はわかりやすさ・活用しやすさを考慮して作成する
- ERPは、業務フロー図以上の業務効率化が可能
業務フロー図は、生産管理の業務効率向上が可能です。
しかし、昨今のデジタル化の波に乗り遅れないためには、より効果的な手段を模索すべきなのも事実でしょう。
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